George McCrae - Rock Your Baby (1974)
George McCrae『Rock Your Baby』(1974)
George McCraeの『Rock Your Baby』は、1974年にUSのT.K. Recordsから出たアルバムで、同年にタイトル曲が大きなヒットを記録した作品だ。George McCraeは1944年10月19日、フロリダ州ウェスト・パーム・ビーチ生まれ。ソウル歌手Gwen McCraeの元夫としても知られ、フロリダのローカルなソウル/R&Bの流れの中から、70年代ディスコ前夜の空気を全国区に押し広げた人物の一人である。
タイトル曲「Rock Your Baby」の存在感
このアルバムを語るうえで中心になるのは、やはり表題曲「Rock Your Baby」だ。1974年5月に発売され、Billboard Hot 100で2週連続1位、R&Bチャートでも1位、UKシングル・チャートでも3週1位を獲得した。オーストリア、ベルギー、イタリア、ノルウェー、スウェーデン、スイス、西ドイツ、カナダなどでも1位を記録し、世界的な成功につながった楽曲である。セールスは全世界で1,100万枚以上とされる。
制作面でも興味深い。作曲とプロデュースは、KC and the Sunshine BandのHarry Wayne CaseyとRichard Finchが担当している。バック・トラックは、約45分で録られたデモが元になっており、Caseyがキーボード、Finchがベースとドラム、Jerome Smithがエレクトリック・ギターを担当したという。スタジオにいたGeorge McCraeが、その場で独特のファルセットを重ねたことで、リズムと声の組み合わせがはっきりとした形になった。最初から彼のために用意された曲ではなかった、という点もこの曲の面白さだ。
アルバムとしての位置づけ
『Rock Your Baby』は、George McCraeにとって代表作の核になるアルバムだ。単独の大ヒット曲で知られがちだが、作品全体としても、ソウルの歌唱とディスコの推進力がつながる時期の記録として見ておきたい。収録曲には「I Can't Leave You Alone」「I Get Lifted」「It's Been So Long」などが並び、特に「I Can't Leave You Alone」はUKでTop 10入りしている。アルバム単位で見ると、タイトル曲だけが突出しているというより、その成功を起点にGeorge McCraeの存在を広く印象づけた作りになっている。
1970年代前半のソウル/ディスコ周辺では、サウンドの輪郭が少しずつ変わっていく。リズムはより前に出て、ベースとドラムの反復が曲を押し進める。『Rock Your Baby』もその流れの中にあり、KC and the Sunshine Band周辺の制作感覚と、McCraeの高いファルセットが結びついたことで、かなりはっきりした推進力を持っている。後年のディスコ・ヒットに比べると構成は素朴だが、その分、ボーカルとビートの結びつきが見えやすい。
同時代とのつながり
この作品は、フロリダのミュージック・シーン、とくにマイアミ・サウンドの文脈で見ると分かりやすい。T.K. Recordsはヘンリー・ストーンが立ち上げたレーベルで、マイアミの録音文化を支えた存在でもある。KC and the Sunshine Bandの成功とも近い場所にあり、70年代ディスコの初期形を作ったレーベルのひとつとして扱われることが多い。『Rock Your Baby』は、その中でも特に広い市場に届いた作品だ。
また、後のポップやディスコへの影響も大きい。John Lennonが「自分が書きたかった」と語ったことや、ABBAのメンバーが「Dancing Queen」の着想源の一つとして挙げた話は、曲の持つリズム感とメロディの結びつきを示している。さらに1992年にはKWSがこの曲をカバーし、UKで8位を記録している。オリジナルの存在感が、その後も長く参照されていたことが分かる。
レーベルと盤の情報
この盤はUSリリースで、レーベルはT.K. Records、カタログ番号はT.K. 501。クレジットには「All songs: Sherlyn Publishing Co., Inc. (BMI)」「© 1974 T.K. Records, a div. of T.K. Productions, Inc.」「Tm T.K. Records」などが見える。ラベルはT.K. Recordsの初期カタログらしい佇まいで、マイアミ産ソウルの勢いをそのままパッケージしたような一枚だ。ランアウトには「SON」の表記があり、これはSon pressingを示すものとされる。
盤の年も1974年で、作品のオリジナル年と同じ。つまり、後年の再発盤ではなく、当時の空気をそのまま伝えるオリジナル期のリリースとして扱える。表題曲のヒットだけで片づけるには惜しいが、やはりまずは「Rock Your Baby」という一曲が、このアルバムの輪郭を決めている。ソウルの歌唱、ディスコの推進力、マイアミの制作感覚が重なった、1974年らしい記録である。
トラックリスト
- A1 Rock Your Baby 6:20
- A2 I Can't Leave You Alone (I Keep Holdin' On) 3:10
- A3 You Got My Heart 2:35
- A4 You Can Have It All 2:40
- B1 Look At You 4:55
- B2 Make It Right 2:57
- B3 I Need Somebody Like You 3:34
- B4 I Get Lifted 2:50
- B5 Rock Your Baby (Reprise) 2:05