Voyage - Voyage (1977)
Voyage『Voyage』(1977)
フランスのディスコ・グループ、Voyageが1977年に発表したデビュー作。バンド名と同じタイトルを持つこの1枚は、70年代後半のヨーロピアン・ディスコを語るうえで外せない作品として知られている。フランス制作でありながら、録音はロンドンのTrident Studios、追加録音はパリのStudios Ferberで行われていて、当時の国際的な制作体制がそのまま音にも反映されている。
作品の立ち位置
Voyageはフランス発のディスコ・グループとして活動し、70年代後半から80年代初頭にかけて4作を残した。この『Voyage』はその出発点にあたるアルバムで、後年の代表曲「From East to West」や「Souvenirs」へつながる基本形を示した一枚でもある。単なる流行追従ではなく、クラブ向けの推進力と、欧州らしい構成感を持った作品として受け止められてきたようだ。
メンバーはSylvia Mason-James、Slim Pezin、Marc Chantereau、Sauveur Mallia、Pierre-Alain Dahan。制作クレジットには、Sirocco Productions、Sforzando/Siroccoの表記がある。Brillant EkambiがS. Pezin Productions経由で参加している点も記録されている。アルバム全体は、演奏者主体のディスコという印象が強く、ボーカルとリズム、アレンジの組み立てで引っ張るタイプの作品。
サウンドの特徴
聴き進めると、まずリズムの押し出しがはっきりしている。4つ打ちを基盤にしながら、ベースとギター、鍵盤が細かく動き、上物のコーラスがその上を流れていく。ディスコとしての機能性は保ちながら、曲ごとにメロディや展開をきちんと作っているので、単調さよりも組曲的な感触が残る。クラブで長く回されていたという背景にも納得しやすい構成だ。
一般的なアメリカン・ディスコと比べると、ストリングスで大きく押す場面と、バンド演奏の手触りが近い場面が併存している。Boney M.のようなポップな広がりと、よりオーケストラ寄りのディスコの中間にある、と評されることがあるのも理解しやすい。ジャズやロック、ポップの経験を持つ演奏陣が関わっているだけあって、リズムだけで押し切るのではなく、フレーズの置き方に細かさがある。
代表曲とアルバムの流れ
この時期のVoyageを代表する曲としては「From East to West」がよく挙げられる。アルバム全体の中でも、東西のイメージを前面に出したこの曲は、Voyageの国際色を象徴する楽曲として扱われてきた。「Souvenirs」も含め、彼らの楽曲は後のヨーロピアン・ディスコの文脈でしばしば参照される。米国ではアルバム単位でダンス/ディスコ・チャートに入り、UKではシングルが上位に到達している。
収録曲の流れは、DJが片面ごと流し込むような聴かれ方とも相性がよさそうな作り。各曲が独立しているというより、テンポと質感を保ちながらつながっていく感覚がある。実際、クラブDJの支持で広がったという経緯があり、輸入盤から評価が膨らんでいった作品でもある。
フランス盤の特徴
今回のフランス盤はPolydorからのリリースで、カタログ番号は2.933.803。ラベルには「℗ 1977」「Fabriqué en France」とあり、バックカバーにも同番号が記されている。1977年以降のPolydorらしいラベル表記で、同じアルバムでも別仕様のフランス盤が存在することが確認できる。なお、センターラベルではB2曲名が「Bavou Village」と誤記されている点も記録されている。
この盤は、Voyageというグループの出発点をそのまま伝える初期プレスとして意味がある。後の再発盤と比べると、ジャケットやラベルの表記、プレスの違いが見られることがあるが、作品の基本はこの1977年盤で形になっている。Polydorのフランス盤としても、当時のヨーロッパ・ディスコの流通を知るうえで興味深い一枚だ。
まとめ
『Voyage』は、フランスのディスコが国際市場で成立しうることを示した初期の重要作のひとつ。派手さだけで押すのではなく、演奏、アレンジ、録音の各要素をきちんと積み上げたアルバムで、Voyageの核になる方向性が最初から見えている。フランス盤のオリジナルを手にすると、70年代後半のクラブ文化とヨーロッパ制作の接点が、かなり具体的に見えてくる。
トラックリスト
- A1 From East To West 7:08
- A2 Point Zero 4:35
- A3 Orient Express 5:01
- B1 Scotch Machine 3:27
- B2 Bayou Village 1:50
- B3 Latin Odyssey 4:49
- B4 Lady America 6:57