James Brown - Hot Pants (1971)
James Brown 1971

James Brown - Hot Pants (1971)

Funk / Soul Funk

James Brown『Hot Pants』(1971)

James BrownがPolydorから放った1971年作『Hot Pants』は、ファンクという言葉をそのまま実演したようなアルバムだ。前年までのソウル/R&Bの流れを引きずりながらも、ここではリズムの切れ味がさらに前面に出ていて、バンド全体が「歌を支える伴奏」ではなく「グルーヴそのもの」として機能している。1971年にUS盤としてリリースされた本作は、BrownがPolydorと組んだ時期の初期作にあたり、70年代の彼の音楽がどこへ向かうかを示す重要な一枚といえる。

James Brownは1960年代にすでにソウルの革新者として確立していたが、70年代に入ると、その発想はさらにリズム中心へと傾いていく。『Hot Pants』はその変化がかなり分かりやすく表れた作品で、短いフレーズ、反復、強いビート、ブラスの合図が積み重なる作りになっている。派手な展開で引っ張るというより、同じ型を少しずつずらしながら押し通す構成が目立つ。聴き進めるほど、James Brownのバンド運営の精密さが見えてくるタイプのアルバムだ。

アルバム全体の位置づけ

1971年という時期は、Brownにとってレーベル面でも大きな節目だった。長くKing周辺で活動してきた彼は、この時期にPolydorへ移り、以後70年代を通してこのレーベルで多くの作品を残している。『Hot Pants』はその新しい環境での初期の成果であり、いわば「70年代James Brown」の輪郭がはっきり見える作品群の一つだ。ファンクの骨格を作った人物としてのBrownが、自分の方法をさらに研ぎ澄ませていく段階の記録でもある。

当時のファンクは、Sly & The Family StoneやParliament-Funkadelicのように、ロックやサイケデリアとの接点を広げながら発展していたが、Brownはそうした大きな装飾よりも、拍の置き方やカッティングの鋭さで勝負する場面が多い。本作でもその姿勢は変わらず、曲の中心には常にドラム、ベース、ギターの反復がある。耳を引くのはメロディよりも、リズムの配置そのものだ。

注目曲「Hot Pants」

タイトル曲「Hot Pants」は、このアルバムを語るうえで外せない中心曲だ。タイトル自体が当時の流行語として機能していたこともあり、曲はその時代の空気を強くまとっている。James Brownらしいコール&レスポンス、鋭いホーンの差し込み、そして細かく刻むリズムが前に出て、ひとつのフレーズを押し切る力がある。構造はシンプルだが、演奏の密度が高く、拍のどこに身体を乗せるかで印象が変わるタイプの曲だ。

実際に聴くと、歌そのもの以上にバンドの「間」が印象に残る。音を詰め込みすぎず、しかし隙間も大きく空けない。そのバランスが、James Brownのファンクを唯一無二のものにしている。タイトル曲はアルバム全体の方向性を端的に示していて、70年代初頭のBrownがどれだけリズムの推進力を重視していたかが分かりやすい。

アルバムの聴きどころ

『Hot Pants』の魅力は、1曲ごとの派手さよりも、全体を通した推進力にある。曲が進むにつれて、Brownのバンドが同じリフをどう保ち、どう崩すかに耳が向く。ファンクの基本動作を、実演で見せるような内容だ。ジャズやロックのようにソロで大きく展開するのではなく、反復の中で微妙なニュアンスを積み上げていく。そのため、聴き手にはテンポの速さ以上に、各パートの噛み合い方が残る。

James Brownの作品群の中では、60年代のヒット曲ほど広く知られる一枚ではないかもしれないが、70年代ファンクの核心に近い位置にある作品として見ることができる。後のヒップホップやダンス・ミュージックが参照していく要素、つまりブレイクの感覚、反復の強さ、声とリズムの関係が、ここでもかなり明確だ。結果として、『Hot Pants』は「歌のアルバム」というより「グルーヴの設計図」として耳に残る。

盤の情報について

このUS盤はPolydorのPD 4054。Polydorがアメリカ市場に本格的に入っていく時期のリリースでもあり、レーベルのロゴや番号体系からも1970年代前半の盤らしさが見える。オリジナルの1971年盤として扱えるため、当時のJames Brownの最新作として聴くと、レーベル移籍後の勢いがそのまま伝わってくる。

総じて『Hot Pants』は、James Brownのファンクがもっとも実務的に、もっとも機能的に鳴っている時期の記録だ。大きく語るより、ビートで押す。そうしたBrownの基本が、1971年の時点でかなり完成していることが分かる一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Blues & Pants 9:40
  2. A2 Can't Stand It 4:40
  3. Escape-Ism
  4. B2 Hot Pants (She Got To Use What She Got To Get What She Wants) 8:42

動画

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