Johnny Marr - Call The Comet (2018)
Johnny Marr 2018

Johnny Marr - Call The Comet (2018)

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Johnny Marr『Call The Comet』──元The Smithsのギタリストが描く、2018年のソロ第3作

Johnny Marrの『Call The Comet』は、2018年に登場したソロ3作目のアルバムである。The Smithsで一世を築いたギタリストとして知られるMarrだが、ソロ名義では作曲、歌唱、演奏の中心を自分で担い、バンド時代とは少し違う形で音楽を組み立てている。本作もその延長線上にあり、ギター主体のロックを軸にしながら、現代の空気を取り込んだ作品としてまとまっている。

このレコードはUSA & Europe盤で、Warner Bros. Recordsからのリリース。ジャケットはゲートフォールド仕様で、デジタルダウンロードカード付き。レコード本体は右側のスリムな黒い内袋に収められており、見開きを開くとアートワーク、クレジット、歌詞が確認できる。シュリンク付きの個体では、右上に黒い丸形の「JOHNNY MARR」ステッカーが貼られ、裏面のバーコードを隠す白いステッカーも付く仕様になっている。

作品の位置づけ

『Call The Comet』は、Marrのソロ活動の中でも3作目にあたる。前2作『The Messenger』『Playland』を経て制作され、UKアルバムチャートでは自己最高の7位を記録した。制作はマンチェスターの自身のスタジオ、The Crazy Face Factoryで2017年から2018年にかけて進められ、James Doviakとの共同プロデュース。長くギターの名手として語られてきた人物が、ソングライターとして前に出た時期の到達点として見ると整理しやすい。

Marr自身は本作を明確なコンセプトアルバムとは呼んでいないが、彗星衝突後の未来社会や、地球外の知性が人類を救うという設定が通底している。1曲目の「Rise」はその未来社会に生きる2人を描き、「The Tracers」では救助に来た進化した人類の姿が歌われる。こうした物語性を、Marrは「マジックリアリズム」と表現している。2016年のブレグジットや米大統領選以降の不安定な空気を背景に、現実を直接なぞるのでなく、別の世界を置いて応答する構図が見える。

サウンドの印象

実際に耳を通すと、まずギターの輪郭がはっきりしている。The Smiths時代から続く細かなフレーズや、音の隙間を活かした組み立てはここでも健在で、リフやアルペジオが曲の骨格を作る場面が多い。そこに2010年代のインディー・ロックらしい乾いた質感が乗り、80年代の英国ギター・ポップをそのまま引きずらない仕上がりになっている。メロディは耳に残りやすいが、過度に装飾せず、曲の推進力で聴かせるタイプ。

「Easy Money」や「Hi Hello」のような曲では、ソロ作でありながらバンド感のある演奏が前に出る。「Rise」はアルバムの入口として機能し、物語の世界へ自然に引き込む役割が強い。「The Tracers」は本作の中でも設定が見えやすい曲で、単なる近未来の描写に留まらず、人間の変化や再生をテーマに置いている。シングル曲としては「Easy Money」が代表的な一曲で、アルバムの筋を掴むには分かりやすい。

同時代の文脈

2010年代後半の英国ロックを眺めると、過去のギター・バンドの語法を引き継ぎながら、政治的不安や都市の空気を作品に落とし込む動きが目立つ。本作もその流れの中に置ける。とはいえ、Marrの場合は単なる回顧ではなく、The Smithsで確立したギターの語彙を、より現在の制作環境に合わせて再配置している印象が強い。David BowieやNew Order以降の英国的な感覚、あるいはインディー・ロックの軽さと硬さの両方が、曲ごとに入れ替わる構造。

批評面では評価が割れたが、少なくとも本作がMarrのソロ活動の中で重要な位置を占めることははっきりしている。ギタリストとしての名声だけでなく、アルバム単位で世界観を組み立てる作家性を前面に出した作品であり、2018年の時点での彼の現在地を示す一枚。邦盤・輸入盤を問わず、ジャケットの見開きや歌詞を含めて眺めると、音だけでなく物語の設計まで含めて作られていることがわかる。

盤の仕様について

このUSA & Europe盤は2018年の初出仕様で、レーベルはWarner Bros. Records、カタログ番号はNVLPH004。ラベルにはWarner Bros.のロゴが入り、Made in the EUの表記がある。オリジナル年と盤のリリース年が同じため、作品としては初出時の姿をそのまま押さえた版として扱いやすい。ゲートフォールド、歌詞入り、ダウンロードカード付きという構成も含め、2010年代後半のLPらしいパッケージングになっている。

『Call The Comet』は、Johnny Marrがギタリストからソロ・アーティストへと軸足を移した流れの中で、物語性と演奏性を両立させた一枚である。The Smithsの延長だけでもなく、単独の実験作でもない、その中間にある作品として残る。

トラックリスト

  1. A1 Rise
  2. A2 The Tracers
  3. A3 Hey Angel
  4. A4 Hi Hello
  5. A5 New Dominions
  6. A6 Day In Day Out
  7. B1 Walk Into The Sea
  8. B2 Bug
  9. B3 Actor Attractor
  10. B4 Spiral Cities
  11. B5 My Eternal
  12. B6 A Different Gun

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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