King Crimson - Beat (1982)
King Crimson『Beat』
1982年6月に英E.G.レコーズから出た、King Crimsonの通算9作目のスタジオ・アルバム。前作『Discipline』で再始動した1980年代の編成、ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー、トニー・レヴィン、ビル・ブルーフォードの4人が、そのまま同じ顔ぶれで制作した作品である。バンド史上、前作と同一ラインナップで次のアルバムまで進んだのはこれが初めてとされる。
制作背景と録音の経緯
本作は、ジャック・ケルアックの『路上(On the Road)』出版25周年に触発され、1950年代アメリカのビート・ジェネレーションに捧げられたアルバムとして構想された。作詞とボーカル面ではエイドリアン・ブリューが中心的な役割を担い、プロデューサーにはロキシー・ミュージックなどを手がけたレット・デイヴィスが、King Crimsonとしては初めて外部から起用された。
制作は順調一辺倒ではなく、フリップとブリューのあいだで音楽的な対立が強まり、ブリューが一時スタジオを離れる場面もあったという。そうした緊張のなかで仕上がったことは、アルバム全体の印象を語る際によく触れられる点になっている。なお、初回盤のジャケット内側には歌詞を収めたプリント・インナーが付属し、レーベル面には「Copyright © EG Music Ltd. 1982」「℗ 1982 EG Records Ltd.」「Made in England」と記されている。
曲と作品の輪郭
収録曲では、ケルアックと相棒ニール・キャサディの名を冠した「Neal And Jack And Me」が冒頭を飾る。続く「Heartbeat」は、繊細でポップな曲として挙げられることが多い。さらに、タンジールを旅したビート作家たちに捧げられたインストゥルメンタル「Sartori In Tangier」、ポリリズミックな演奏が話題になる「Waiting Man」、ギンズバーグの詩に触発されたとされる「The Howler」、そしてフリップのフリッパートロニクスが前面に出る即興演奏「Requiem」まで、曲ごとの材料が明確なアルバムになっている。
時代の中での位置づけ
1980年代初頭のポスト・パンク/ニュー・ウェイヴの流れを受けながら、King Crimsonはこの時期に、ポリリズムやガムラン的ミニマリズム、ツイン・ギターの緻密な組み合わせを前面に出した。『Beat』は、その80年代クリムゾン第2章の中心に置かれる作品として扱われている。70年代のヘヴィなプログレッシブ・ロックから、より鋭いアート・ロック/ニュー・ウェイヴ寄りの方向へ進んだ流れの中で、前作『Discipline』の延長線上にあるアルバムでもある。
評価とその後
全英アルバムチャートでは39位、米ビルボード200では52位を記録した。後年の影響としては、トニー・レヴィンのチャップマン・スティック、ブルーフォードのアコースティック/電子ドラムの併用、フリップとブリューの幾何学的なギター・アンサンブルが、マスロックやポスト・ロック、オルタナティヴ・ロックの一部のアーティストに影響を与えたとされる。
トラックリスト
- A1 Neal And Jack And Me 4:21
- A2 Heartbeat 3:54
- A3 Sartori In Tangier 3:35
- A4 Waiting Man 4:22
- B1 Neurotica 4:47
- B2 Two Hands 3:22
- B3 The Howler 4:10
- B4 Requiem 6:30
動画プレイリスト
このアーティストについて
King Crimson(キング・クリムゾン)は、1968年にロンドンで結成されたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドである。ギタリストのRobert Fripp(...
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