King Crimson - In The Wake Of Poseidon (1970)
King Crimson 1970

King Crimson - In The Wake Of Poseidon (1970)

Rock Prog Rock

King Crimson『In The Wake Of Poseidon』

King Crimsonの2作目となる『In The Wake Of Poseidon』は、1970年5月15日にUKで発表されたアルバムだ。デビュー作『In the Court of the Crimson King』で一気に名前を広めた直後の作品であり、いわゆる初期King Crimsonの流れをそのまま受けながらも、内部の人員変動を抱えたまま制作された一枚でもある。プログレッシブ・ロックの初期を語るうえで、かなり重要な位置にある作品として見られている。

デビュー作の直後に出た、早い段階の変化

本作が出た時点で、King Crimsonはすでに安定したバンドではなかった。前作の中心だったイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズは脱退し、グレッグ・レイクも本格的には去っていたが、本作ではボーカルの多くを担当している。結果として、前作の延長線上にありながら、演奏体制はかなり流動的だ。ロバート・フリップが軸として残り、そこにゲストや旧知のミュージシャンが加わる形で、作品は組み立てられている。

参加メンバーには、ゴードン・ハスケル、メル・コリンズ、キース・ティペット、ピーター・ジャイルズらが名を連ねる。サックスやフルート、ピアノが加わることで、ギター中心のロック・バンドという枠を越えた音像になっている。前作の重厚さを引き継ぎつつ、ジャズ寄りの揺れや室内楽的な感触が入り込む構成だ。

収録曲とアルバムの流れ

収録曲の中では「Pictures Of A City」がよく知られている。もともとは1969年のアメリカ・ツアーで「A Man, A City」として演奏されていた曲で、ライブを経てアルバム用に整理された形になっている。導入から緊張感が強く、リズムの切り替えも多い。King Crimson初期のアンサンブルの特徴が、かなりはっきり出た曲だ。

「Cat Food」はシングルとしても出た曲で、アルバムの中では比較的わかりやすい存在感を持つ。BBCの『Top of the Pops』で口パク演奏したことでも知られており、King Crimsonにとっては同番組への唯一の出演だった。変拍子や不協和な要素を含みながらも、曲の輪郭は比較的明快で、アルバム全体の中では異色のアクセントになっている。

一方で、「Cadence And Cascade」はゴードン・ハスケルが歌うことで、他の曲とは空気が少し変わる。ピーター・シンフィールドの詞と、メロディの流れが前面に出た曲で、激しさよりも線の細さが印象に残る。そして「The Devil’s Triangle」は、ホルストの「火星(戦争をもたらす者)」の流れを下敷きにした長尺曲で、アルバムの中でも特に実験性が強い。組曲的な構成が、初期プログレの文脈をそのまま示している。

録音と発売時の仕様

録音はロンドンのウェセックス・サウンド・スタジオで行われ、1970年2月3日から4月6日までのセッションを経て完成した。オリジナルUK盤はIsland RecordsのILPS 9127で、テクスチャード仕様のピンクIラベル、テクスチャード・ゲートフォールド・スリーブでのリリースとなっている。盤面とジャケットでカタログ番号の位置が異なる点も、この時代のUK盤らしい特徴だ。

ジャケットにはタモ・デ・ヨングの絵画「12 Archetypes」が使われている。顔のイメージを並べた印象的なビジュアルで、音の複雑さと同じく、視覚面でも単純なロック・アルバムとは違う存在感を持っている。

前作とのつながりと、当時の位置づけ

本作は、デビュー作ほどの一発の衝撃で語られることは少ないが、King Crimsonが「一度きりの成功」で終わらず、早い段階から別の方向へ動こうとしていたことを示す作品でもある。前作が巨大な完成度で知られるぶん、本作は比較されやすい。ただ、比較の中でこそ、演奏の細部や曲ごとの役割分担が見えやすい。

チャート面では全英4位を記録しており、当時のバンドとしては高い位置につけた。プログレッシブ・ロックがまだ定型化する前の時期に、ジャズ、クラシック、実験性をロックのフォーマットへ押し込んだ一枚として、後の多くのバンドに通じる要素を含んでいる。YesやGenesisのような同時代の英国プログレとは違う、もっと硬質で、少し不穏な手触りが残るのもこの作品らしさだ。

King Crimsonの初期を追うとき、『In The Wake Of Poseidon』は前作の次に置かれるだけのアルバムではない。バンドの分裂、再編、ゲスト参加、シングル曲の扱い、長尺曲の構成など、1970年時点のKing Crimsonが抱えていた要素がそのまま詰まっている。作品単体でも、バンドの変化を読む材料としても、見どころの多い一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Peace - A Beginning
  2. A2 Pictures Of A City (Including 42nd At Treadmill)
  3. A3 Cadence And Cascade
  4. A4 In The Wake Of Poseidon (Including Libra's Theme)
  5. B1 Cat Food
  6. The Devil's Triangle
  7. B3 Peace - An End

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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