Krokofant With Ståle Storløkken & Ingebrigt Håker Flaten - Q (2019)
Krokofant 2019

Krokofant With Ståle Storløkken & Ingebrigt Håker Flaten - Q (2019)

Rock Jazz Prog Rock Fusion

Krokofant With Ståle Storløkken & Ingebrigt Håker Flaten『Q』

ノルウェーのKrokofantが、キーボードのStåle Storløkken、ベースのIngebrigt Håker Flatenを加えて発表した2019年作。もともとのKrokofantは、ギター、サックス、ドラムの編成で、ロック寄りの推進力とフリー寄りの即興性を両立させてきたトリオだったが、この『Q』ではそこにオルガンとベースが加わり、音の層が一気に厚くなっている。Rune Grammofonからのリリースで、ノルウェー産のジャズ/プログレ文脈をそのまま引き継いだ作品としてまとまっている。

編成の変化がそのまま音の変化につながった作品

本作の大きなポイントは、Krokofantの核にある鋭いリフと強いドライブ感が、拡張された編成によって別の形で前に出ていることだ。Axel Skalstadのドラム、Jørgen Mathisenのサックス、Tom Hasslanのギターという基本の3人に、Storløkkenの鍵盤が加わることで、単音の押し出しだけではなく、和音の重なりや持続音の広がりが生まれる。さらにHåker Flatenの低音が入ることで、曲の下支えが明確になり、長い展開でも輪郭が崩れにくい。

収録は全4曲で、中心になるのは約44分に及ぶタイトル曲「Q」。これを4つのパートに分けて配置しており、曲単位というより大きな流れの中で聴かせる構成になっている。短い楽曲を積み重ねるタイプではなく、ひとつの大きな展開をじっくり見せる作り。ライブ感の強い演奏が、組曲的な構造の中に収まっている。

70年代プログレとフリー・ジャズの接点

Krokofantは、初期から70年代のプログレッシブ・ロックとフリー・ジャズの接点に立つバンドとして語られてきた。鋭いリフ、歪んだギター、サックスの突き抜ける音色、そしてリズムの押し引き。『Q』でもその基本線は変わらないが、Storløkkenのオルガンが入ることで、単なる爆発力だけでなく、持続する重さや空間の密度が増している。Håker Flatenのベースも、ただの土台ではなく、音の流れを前へ押し出す役割を担っている。

海外レビューでも、この作品はライヴ感の強さや、トリオ時代より増した音の層に触れられることが多かった。実際、演奏は細かく整え込むというより、勢いの中で形を作っていく印象がある。だが、勢い任せで散らばるのではなく、長尺の中でリフが戻り、即興が膨らみ、また元の推進力に戻る流れがはっきりしている。そこにKrokofantらしさがある。

バンドの転機に置かれた作品

『Q』は、Krokofantにとって編成拡張の流れを強く示した作品でもある。のちの再編成へつながる前段階として、トリオの鋭さに、鍵盤と低音の厚みを足した形を提示した。単なるゲスト参加ではなく、バンドの方向性そのものを広げる役割を持った一枚として見ると、位置づけがはっきりする。

また、Rune Grammofonらしい作品でもある。ノルウェーの先鋭的なジャズや実験寄りロックを多く扱ってきたレーベルの中で、Krokofantは比較的ロックの推進力が前に出るバンドだが、このアルバムではその傾向がより整理され、鍵盤を含んだアンサンブルとしてまとまっている。ジャズの即興性とプログレの構成感、その両方が前面に出た2019年の一作。

作品の輪郭

  • 2019年発表のKrokofant拡張編成作
  • Ståle Storløkkenの鍵盤とIngebrigt Håker Flatenのベースが加わった編成
  • 全4曲構成、タイトル曲「Q」が大作
  • ロックの推進力と即興性、オルガンの厚みが同居
  • トリオから次の段階へ進んだ転機の記録

『Q』は、Krokofantの持つ鋭さをそのままに、編成の拡張で音の見え方を変えた作品だ。ギター、サックス、ドラムだけでも強かったバンドが、オルガンとベースを得ることで、長い展開の中でも密度を保つようになっている。ノルウェーのジャズ/プログレの現在地を示す一枚として、2019年の時点でかなり明確な形を持っていた。

トラックリスト

  1. A1 Q - Part 1
  2. A2 Q - Part 2
  3. B1 Q - Part 3
  4. B2 Q - Part 4
  5. CD1 Q - Part 1
  6. CD2 Q - Part 2
  7. CD3 Q - Part 3
  8. CD4 Q - Part 4

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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