Patto - Patto (1970)
Patto 1970

Patto - Patto (1970)

Rock Prog Rock Hard Rock

Patto / Patto(1970)

Pattoのデビュー作『Patto』は、1970年にUKのVertigoから登場したアルバム。元Timeboxのメンバーを中心に、バンド名も新たに出し直した最初の作品で、いわばPattoという名前の出発点にあたる一枚です。Timebox時代のポップ寄りの流れから離れ、ここではロックを軸にしながら、ジャズ寄りの展開や変則的なリズム、演奏の切り返しを前面に出している。英国のプログレッシブ・ロック周辺で語られることが多い作品ですが、実際の手触りはかなり硬質で、ハードロックの推進力も強い。

バンドの成り立ちとこの作品の位置づけ

Pattoは、ボーカルのMike Pattoを中心に、Ollie Halsall、Clive Griffiths、John Halseyの編成で始動したバンド。もともとのTimeboxはシングル単位で活動していたグループで、そこから名前を変えたのがPattoという流れになる。このアルバムは、その新体制の最初の記録として重要で、後の2作へつながる土台にもなっている。プロデュースはMuff Winwood。彼の関与によって、ただ演奏が荒々しいだけではなく、曲の輪郭がある程度整理された印象もある。

当時の英国ロックは、ハードロック、ブルースロック、プログレッシブ・ロックがそれぞれ別の方向へ伸びていた時期だが、Pattoはそのどれかにきれいに収まらない。曲の進み方は予測しづらく、短いフレーズが急に崩れたり、リフの反復から別の展開へすぐ移ったりする。そうした作りが、いわゆる“聴きやすさ”よりも、バンドの演奏そのものを前に出している。

演奏の中心にあるもの

このアルバムでまず目立つのはOllie Halsallのギター。単に速いとか歪んでいるという話ではなく、フレーズの置き方が細かい。リフを刻む場面でも、音数で押し切るのではなく、間を使って曲の重心をずらしていく。ギターだけでなくヴィブラフォンも扱う人物らしく、音の配置に独特の感覚がある。バンド全体の中で、Halsallの動きが曲の方向を決めている場面が多い。

Mike Pattoの歌も印象に残る。ソウルフルという言い方がよく使われるが、実際には声の伸びや細かな崩し方に加えて、感情を前に出しすぎない冷静さがある。演奏が複雑になっても、歌が曲の芯を保っている感じ。John Halseyのドラムは、単なる拍の支えではなく、展開の切り替えを促す役割が大きい。Clive Griffithsのベースも、リズムを固定するより、曲の隙間を埋める動きが多い。

曲の流れと聴きどころ

代表曲として挙げられることが多いのは、冒頭の「The Man」。勢いのある導入で、Pattoというバンドの性格を最初に示す曲になっている。リフの押し出し、歌の強さ、ギターの切れ味がまとまっていて、アルバム全体の入口として機能している。ほかにも、展開の変化が多い曲、テンポの揺れが大きい曲が並び、アルバム単位で聴くと、一本調子にならない構成が見えてくる。

制作面では、音が過度に磨かれていないのも特徴。楽器の分離は比較的はっきりしている一方で、演奏の生々しさが残っている。ライブ感のある録音で、各パートが互いに食い込むような瞬間が多い。スタジオ作品でありながら、ステージ上でそのまま崩れそうな緊張感がある。

当時の評価とその後

発売当時は大きな商業的成功にはつながらず、英国チャートで目立つ記録も残していない。売上は少なかったとする回想もあり、広くヒットしたアルバムではない。ただ、批評面では演奏力、とくにHalsallのギターとPattoの歌が高く評価された。John Peelの番組で流れたことや、ライブでの評判がバンドの存在を支えたという話も残っている。

後年の視点で見ると、この作品は70年代初頭の英国ロックの中でもかなり個性的な位置にある。プログレッシブ・ロックの複雑さと、ハードロックの直進性が同居し、しかも両方をきっちり“整える”より、演奏の癖そのものを残している。比較対象としては、同時代の英ロックでも、よりジャズ寄りの感覚を持つバンドや、演奏主導のグループが思い浮かぶが、Pattoはその中でもかなり独自の音を持っている。

『Patto』は、売れ筋のロックとは別の場所で作られたアルバムだが、演奏の密度、曲の組み立て、バンドとしての初期衝動がそのまま記録された作品でもある。Pattoという名前が、最初からこの方向を向いていたことがよく分かる一枚。

トラックリスト

  1. A1 The Man 6:12
  2. A2 Hold Me Back 4:40
  3. A3 Time To Die 2:54
  4. A4 Red Glow 5:15
  5. B1 San Antone 3:07
  6. B2 Government Man 4:20
  7. B3 Money Bag 10:04
  8. B4 Sittin' Back Easy 3:42

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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