Livy Ekemezie - Friday Night (1983)
Livy Ekemezie『Friday Night』
1983年にナイジェリアのLinic Major Production Recordsからリリースされた、Livy Ekemezie唯一のスタジオ・アルバム。カタログ番号はLMP 001で、オリジナル盤は美しい半透明のブルー・ヴァイナル仕様でプレスされた。高校を卒業したばかりのエケメジーが、当時席巻していた欧米のディスコやファンクに強い憧れを抱き、「ベースが主役のファンキーなサウンド」を目指して完全な自費制作で作り上げた幻の名盤だ。
制作背景
本作の制作は、レコード会社の後ろ盾が一切ない状態からスタートした。エケメジーは友人たちから資金を借り集め、スタジオの使用料とセッション・ミュージシャンのギャランティを自力で工面。録音はナイジェリア東部エヌグに位置する、名エンジニア兼ギタリストのGoddy Okuが所有する24トラック・スタジオ「Godiac Studios」で行われた。
さらにプレスの工程は、同じくエヌグに自前のレコード工場を持っていた電子音楽の先駆者William Onyeaborの施設で実施された。資金調達からスタジオ録音、レコード・プレスに至るまで、当時のナイジェリア国内の独立したネットワークを駆使して形にされたもので、レーベルのLinic Major Production Records自体も本作限りのワンオフとなった。
時代の文脈
1980年代前半のナイジェリアは、オイル・ブームの熱気の中で都市部の若者層を中心にディスコ、ブギー、シンセ・ポップのブームが急速に広がっていた。『Friday Night』は、その熱気のただ中で生まれたナイジェリアン・ブギー/アフロ・シンセ・ファンクの象徴的な一枚だ。ハイライフやフェラ・クティらのアフロビートとは一線を画し、欧米の最新ダンス・ミュージックをナイジェリア現地の感性で咀嚼・昇華した独自のサウンドを鳴らしている。
エケメジーにとって本作は最初で最後のスタジオ・アルバムとなった。大手メジャー主導の商業音楽とは異なり、若きアーティストの情熱とDIY精神が純粋な形で刻み込まれている。
曲とサウンドの聴きどころ
本作の最大の魅力は、弾力のある太いスラップ・ベース、愛嬌のあるチープなシンセサイザー、そして哀愁と親しみやすさを帯びたメロディだ。軽快なカッティング・ギターと爽快なディスコ・ビートが疾走する「Holiday Action」やタイトル曲「Friday Night」、浮遊感あるシンセと粘り強いグルーヴがフロアを揺らすキラー・チューン「Delectation」など、どの楽曲も瑞々しい魅力に溢れている。エケメジーの飾り気のない柔らかな歌声と、ハンドメイドな温もりを感じさせるビートが、唯一無二の心地よさを生み出している。
後世への影響
発売当時の流通量は極めて少なく、長年にわたりレコード・コレクターやディガーの間で「アフロ・ブギーの聖杯」と称される幻のレア盤として語り継がれてきた。しかし2017年、ナイジェリア音楽の発掘を手がけるOdion Livingstoneレーベルの記念すべき第1弾リイシューとして正式に復刻され、世界的な再評価へと結びついた。
80年代初頭のエヌグで鳴らされたピュアなDIYファンクは、クラブDJやディスコ愛好家を通じて時空を超えてフロアを満たし、今やアフロ・ディスコ/ブギーの金字塔として確固たる地位を築いている。
トラックリスト
- A1 Get It Down
- A2 Holiday Action
- A3 I Wan' My Bab' Back
- B1 Friday Night
- B2 Classic Lover
- B3 Night Party
- B4 Delectation.
動画プレイリスト
このアーティストについて
Livy Ekemezie(リヴィ・エケメジー)は、ナイジェリア出身のミュージシャン/シンガー。1983年にプライベート・レーベルからリリースした唯一の自主...
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