Madonna - Like A Prayer (1989)
Madonna『Like A Prayer』
1989年に発表されたマドンナの4作目のスタジオ・アルバム。前作『True Blue』の大きな成功のあとに作られた作品で、私生活では俳優ショーン・ペンとの破局と離婚を経験し、30歳を迎えた時期の作品でもある。収録曲は、カトリックの信仰、母の死、父との関係、愛の破綻、罪悪感といった題材に向き合っている。プロデュースはパトリック・レナードとスティーヴン・ブレイが担当した。
制作背景とエピソード
このアルバムで特に知られるのが、プリンスとの関わりだ。プリンスはペイズリー・パークでマドンナと「Love Song」を共作・録音しており、タイトル曲「Like a Prayer」の冒頭で鳴る重いディストーション・ギター・リフも、プリンスによるノンクレジット演奏とされている。さらに同セッションで録音された長いギターソロは、本編では採用されず、最終曲「Act of Contrition」で逆回転させて使われた。
オリジナル盤にはいくつか特徴がある。ジャケットはグロス仕上げで、歌詞とクレジットを載せたインナー・スリーブが付き、さらに「The Facts About AIDS」と題されたインサートが封入された。安全なセックスとエイズへの偏見撤廃を訴える内容で、マドンナ自身がこの封入を主張したとされる。また、初回プレスにはパチョリの香りが付けられていた。制作の細部まで、音だけでなく物理的なパッケージにも手が入れられている。
時代の文脈
収録曲では、ゴスペル、ファンク、ロック、サイケデリック・ポップの要素が入り交じる。名門アンドレ・クラウチ合唱団が参加した「Like a Prayer」、ブラスが前に出る「Express Yourself」、ショーン・ペンとの破局を歌った「Till Death Do Us Part」、母への思いを歌う「Promise to Try」、父への感情を扱う「Oh Father」など、曲ごとの題材がはっきりしている。
タイトル曲「Like a Prayer」のミュージック・ビデオは大きな論争を呼んだ。燃える十字架、黒人の聖人との口づけ、聖痕といったイメージがバチカンや宗教団体から強い批判を受け、巨額契約を結んでいたペプシコーラはCM放映を中止した。アルバム本体だけでなく、映像も含めて議論の的になった作品として記憶されている。
この時期のマドンナは、ダンス・ポップのスターという枠に収まらない表現を押し出していた。『Like A Prayer』は、その転換点に置かれるアルバムとして語られることが多い。米ビルボード200で6週連続1位を記録し、各国でも首位を獲得したほか、シングル「Like a Prayer」「Express Yourself」「Cherish」「Oh Father」「Keep It Together」が順にヒットした。
後世への影響
この作品は、ポップ・スターが私生活の傷や信仰、セクシャリティをアルバム単位で提示する流れの先例として参照されてきた。レディー・ガガやビヨンセ、テイラー・スウィフトらが自らの内面や信念をトータル・コンセプトとして作品化する現代ポップ・アルバムの青写真とも位置づけられ、ローリング・ストーン誌の歴代最高アルバム企画でも上位の常連となっている。後年のポップ作品に接続される文脈の中で、しばしば重要な節目として扱われる。『Like A Prayer』は、音楽面だけでなく、オリジナル盤のパッケージや「The Facts About AIDS」インサートを含めて、1989年のマドンナをそのまま封じ込めた記録として残っている。
トラックリスト
- A1 Like A Prayer 5:39
- A2 Express Yourself 4:37
- A3 Love Song 4:52
- A4 Till Death Do Us Part 5:16
- A5 Promise To Try 3:36
- B1 Cherish 5:03
- B2 Dear Jessie 4:20
- B3 Oh Father 4:57
- B4 Keep It Together 5:03
- B5 Spanish Eyes 5:15
- B6 Act Of Contrition 2:19
動画プレイリスト
このアーティストについて
Madonnaは、1958年8月16日にミシガン州ベイシティで生まれたアメリカのシンガー、ソングライター、俳優、プロデューサー、監督、実業家だ。音楽活動で...
Madonna のプロフィール・作品一覧Madonna の他のレビュー