Cannonball Adderley Written And Narrated By Rick Holmes / The Nat Adderley Sextet - Soul Zodiac (1972)
Cannonball Adderley / The Nat Adderley Sextet / Rick Holmes『Soul Zodiac』
キャノンボール・アダレイ名義で1972年にキャピトル・レコードから発表された2枚組のジャズ・ファンク・コンセプト作。ジャケットには「Cannonball Adderley Presents」と大きく打ち出されているが、実際の演奏は実弟ナット・アダレイ率いるザ・ナット・アダレイ・セクステット(The Nat Adderley Sextet)が担い、ロサンゼルスの名門ジャズラジオ局KBCA-FMの人気DJリック・ホームズ(Rick Holmes)が全編で作・語り(スポークン・ワード)を担当している。キャノンボール自身もプロデュースを手掛け、一部トラックでサックスを演奏している。
制作背景・エピソード
本作の中心人物であるリック・ホームズは、南カリフォルニアのKBCA-FMで夜間番組『Rick's Family Affair』を担当し、洗練された語りとジャズの選曲で知られたラジオ・パーソナリティ。日頃から占星術に精通していたホームズの語りを軸に、黄道十二宮(12星座)を題材にした壮大な音楽作品として企画された。
共同プロデューサーを務めたのはキャノンボール・アダレイと、重厚でシネマティックな音響空間で知られる名匠デヴィッド・アクセルロッド(David Axelrod)。演奏には、ジョージ・デューク(George Duke:Fender Rhodes)、アーニー・ワッツ(Ernie Watts:サックス、フルート)、マイク・ディーシー(Mike Deasy:ギター)、ウォルター・ブッカー(Walter Booker:ベース)、ロイ・マッカーディ(Roy McCurdy:ドラム)が参加。重心の低いホームズのバリトン・ボイスと、百戦錬磨のプレイヤー陣によるスペーシーなアンサンブルが見事に融合している。見開き(ゲートフォールド)仕様のジャケットには、各星座に対応する詩の抜粋が記載された。
時代の文脈とサウンド
1970年代初頭のブラック・アメリカにおいて、占星術や宇宙哲学、スピリチュアリズムへの関心が急速に高まる中、本作はその精神的気運をジャズ・ファンク/ソウル・ジャズへ鮮やかに昇華させた。エレクトリック・マイルス以降の電化ジャズの熱気とアクセルロッド特有のオーケストラルな音響美学が結実している。
イントロダクションに続く「Aries」のタイトなドラムブレイクとジョージ・デュークのエレピ、「Libra」のメロウで浮遊感あふれるグルーヴ、そして13分超にわたってスリリングなインタープレイが繰り広げられる大作「Taurus」など、単なる星座解説にとどまらない骨太なジャズ・ファンク・アンサンブルが全編にわたって展開される。
後世への影響・評価
1970年代のリリース後、90年代以降のアシッド・ジャズやレアグルーヴの再評価ムーヴメントにおいてカルト的な人気を獲得。ヒップホップ界隈ではサンプリング・ソースの宝庫として重宝され、「Aries」や「Libra」「Capricorn」などのメロウなフェンダー・ローズのフレーズやファットなドラムブレイク、リック・ホームズの独特な語りは数多くのビートメイカーによってサンプリングされた。
占星術を扱ったスポークン・ワード入りの変則的な2枚組作品でありながら商業的にも成功を収め、米ビルボードの総合アルバム・チャート(Billboard 200)で最高75位(20週にわたりチャートイン)、R&B/ソウル・アルバム・チャートでは最高11位を記録。アダレイ兄弟とデヴィッド・アクセルロッドの野心的な試みが刻まれた名盤である。
トラックリスト
- A1 Introduction 3:00
- A2 Aries 4:52
- A3 Libra 3:15
- A4 Capricorn 6:10
- B1 Aquarius 7:47
- B2 Pisces 3:53
- B3 Sagittarius 5:15
- C1 Gemini 4:35
- C2 Leo 2:51
- C3 Virgo 4:10
- C4 Scorpio 4:23
- D1 Cancer 2:45
- D2 Taurus 13:52
動画プレイリスト
このアーティストについて
Cannonball Adderleyは、アメリカのジャズ・アルトサックス奏者、作曲家、バンドリーダー、プロデューサーだ。1928年9月15日にフロリダ州タンパで生ま...
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