Quincy Jones - Sounds...And Stuff Like That!! (1978)
Quincy Jones 1978

Quincy Jones - Sounds...And Stuff Like That!! (1978)

Jazz Funk / Soul Funk Soul Jazz-Funk Soul-Jazz

Quincy Jones『Sounds...And Stuff Like That!!』レビュー

クインシー・ジョーンズが1978年にA&M Recordsから発表した『Sounds...And Stuff Like That!!』は、ジャズを軸にしながら、ファンク、ソウル、ディスコの要素を強く取り込んだアルバムだ。プロデュース、編曲はもちろんクインシー本人。録音はロサンゼルスのCherokee Recording StudiosとWestlake II、ニューヨークのA&R Recordingで行われている。西海岸と東海岸のトップ・プレイヤーを集め、当時のクロスオーバーな空気をそのままパッケージしたような内容である。

クインシーはこの時期、ジャズ・コンポーザーというより、ジャンルをまたぐ総合プロデューサーとしての存在感を一段と強めていた。翌1979年にはマイケル・ジャクソンの『Off the Wall』を手がけることになるが、その直前に出た本作には、のちの80年代的な洗練へつながる感触がすでに入っている。オーケストレーションの整理のしかた、リズムの置き方、歌ものとインストの切り替え方、そのあたりにクインシーらしい手際が出ている。

豪華な参加陣が支えるアルバム

この作品の大きな特徴は、参加ミュージシャンの顔ぶれの広さだ。ヴォーカルにはアシュフォード&シンプソン、チャカ・カーン、パティ・オースティン、ルーサー・ヴァンドロス、グウェン・ガスリーらが並ぶ。演奏陣も、ハービー・ハンコック、ヒューバート・ロウズ、エリック・ゲイル、スティーヴ・ガッド、リチャード・ティー、アンソニー・ジャクソン、ラルフ・マクドナルド、マイケル・ブレッカー、トム・スコットといった面々で固められている。ジャズ、ソウル、R&B、フュージョンの現場をまたいできた人たちが同じ作品に集まっている構図である。

聴いていてまず目立つのは、音の密度よりもグルーヴの運び方だ。派手なソロを前面に押し出す場面もあるが、全体はあくまで曲の推進力を優先している。クインシーの作品にありがちな、細かく分けた役割がきれいに噛み合う感じが強い。録音場所が複数にまたがっていても、仕上がりはまとまりがある。

代表曲「Stuff Like That」

冒頭の「Stuff Like That」は、本作を語るうえで外せない曲だ。クインシー、アシュフォード&シンプソン、スティーヴ・ガッド、エリック・ゲイル、ラルフ・マクドナルド、リチャード・ティーの共作で、もともとはスタジオで練り上げたリズム・トラックに、チャカ・カーンとアシュフォード&シンプソンの歌を重ねて完成したという流れが知られている。シングルとしては1978年6月に出て、Billboardのソウル・シングル・チャートで1位、Hot 100で21位、全英で34位を記録した。

曲の骨格はかなり明快で、リズムの反復に対して、歌とホーンや鍵盤が少しずつ色を足していく作りだ。ディスコの時代性を持ちながら、単純なダンス・トラックに寄り切らないのは、やはりクインシーの編曲感覚によるところが大きい。あとから聴くと、この曲がのちの彼の大きなポップ・プロダクションへつながる入口にも感じられる。

収録曲の幅と選曲の妙

アルバム全体では、オリジナル曲とカバーがうまく混ざっている。「I’m Gonna Miss You In The Morning」ではパティ・オースティンとルーサー・ヴァンドロスの歌が前に出て、ソウル寄りの流れがはっきりする。「Superwoman」はスティーヴィー・ワンダーの曲で、パティ・オースティンの歌唱を軸に、原曲の持つ繊細さを別の角度から見せる構成だ。「Takin’ It To The Streets」ではルーサーとグウェン・ガスリーが歌い、ドゥービー・ブラザーズの曲を黒っぽい質感に寄せている。

さらに「Tell Me A Bedtime Story」ではハービー・ハンコック作の楽曲を取り上げ、ジャズの文脈もきちんと残している。ここでのジャズは、古い様式の再現ではなく、1978年の都会的な録音感覚の中に置かれたものだ。こうした選曲は、クインシーがジャズの人であると同時に、R&Bやポップの現場を深く理解していたことを示している。

時代背景と位置づけ

1970年代後半のアメリカ音楽では、ジャズがフュージョンやソウル、ディスコと交差する流れが強かった。本作もその中央にある。ハービー・ハンコックやスティーヴィー・ワンダー、ドゥービー・ブラザーズの楽曲が同じアルバムの中に並んでも違和感がないのは、クインシーがジャンルの境目を実務的に整理していたからだろう。のちに彼がマイケル・ジャクソン作品で見せる統率力は、この時点でかなり形になっている。

なお、本作は後年の評価ではプラチナ認定を受けている。初回盤のアメリカ盤には、銅色の箔押しを施したジャケットや、ポスター、Tシャツ応募用のインサートが付く仕様もあった。レーベル面の表記や盤の刻印からは、当時のA&Mの製造事情も見えてくる。オリジナルの1978年盤としては、音楽そのものに加えて、80年代へ向かう直前の大規模なスタジオ制作の空気まで含めて残した一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Stuff Like That 6:15
  2. A2 I'm Gonna Miss You In The Morning 3:34
  3. A3 Love, I Never Had It So Good 5:14
  4. B1 Tell Me A Bedtime Story 6:45
  5. B2 Love Me By Name 4:08
  6. B3 Superwoman (Where Were You When I Needed You) 5:25
  7. B4 Takin' It To The Streets 4:24

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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