Michael Jackson - Forever, Michael (1975)
Michael Jackson『Forever, Michael』(1975年)レビュー
『Forever, Michael』は、マイケル・ジャクソンが1975年にモータウンから発表した4作目のソロ・スタジオ・アルバムであり、モータウン時代の最後のソロ作でもある。前年までのジャクソン5の勢いを引き継ぎながらも、ここではまだ10代半ばのマイケルが、少年らしい歌唱から大人の声へと移り変わる途中の姿をそのまま記録している。ソウル、ポップ、リズム・アンド・ブルース、バラードを軸にした構成で、モータウンらしい整った作りの中に、声の変化そのものが作品の輪郭として残っている。
モータウン期の締めくくりとしての位置づけ
マイケルは1971年にソロ活動を開始し、ジャクソン5の看板を背負ったまま個人名義の作品も重ねていった。『Forever, Michael』は、その流れの中でモータウンとの関係を締めくくる一枚である。翌1976年にはジャクソン5がエピック・レコードへ移るため、このアルバムはマイケルにとってモータウン在籍期の最終章にあたる。モータウンの制作体制の中で、歌、編曲、演奏、パッケージングまでがきれいに組み上げられた作品だが、その中心にいるのは、声変わりを終えたばかりの若いシンガーという事実である。
当時16歳のマイケルにとって、本作は新しい声質を前面に出した最初期のアルバムでもある。少年ソプラノの印象が強かった時期から、より低いレンジのテナーへ移った声は、歌の運びに落ち着きを与えている。一方で、モータウン側の楽曲設計は、依然として若い恋心や純情を軸にしており、その歌詞世界と歌声の成熟度の差が作品の特徴になっている。
収録曲と聴きどころ
制作にはホランド=ドジャー=ホランド・プロダクションをはじめ、ハル・デイヴィス、フレディ・ペレン、サム・ブラウンIIIらが関わっている。A1、A2、B1はホランド=ドジャー=ホランド制作で、モータウンらしいビート感とコーラスの組み立てがはっきりしている。録音はカリフォルニア州ハリウッドのモータウン・レコーディング・スタジオで行われた。
このアルバムで特に知られているのが「One Day in Your Life」だ。発売当時は大きなヒットにはならなかったが、のちに再評価され、1981年の再発で状況が変わった。イギリスではマイケルにとって初のソロ1位を記録し、アイルランド、ベルギー、オランダ、南アフリカでも首位を獲得した。発売から数年を経てから広く聴かれるようになった、遅れて届いた代表曲である。
アルバム全体を通して聴くと、派手な仕掛けよりも、歌そのものの整理された表情が前に出る。ファンク寄りの曲でも過度に荒れず、バラードでは声の伸びとフレーズの置き方がよく分かる。若い歌手の作品でありながら、すでにフロントマンとしてのコントロールが見える内容だ。
同時代のモータウン文脈
1970年代半ばのモータウンは、60年代の「モータウン・サウンド」をそのまま繰り返す時期ではなく、ソウル、ポップ、R&Bを横断しながら新しい形を探していた時期でもある。その中で『Forever, Michael』は、伝統的なモータウンの作法を保ちながら、10代後半のマイケルの声をどう活かすかに焦点が置かれた作品として位置づけられる。テンプテーションズやミラクルズ、スプリームスらの黄金期を思わせる整ったプロダクションの延長線上にありつつ、中心人物の若さが作品の印象を決めている。
のちの『Off the Wall』や『Thriller』のような大規模なダンス・ポップへ向かう前段階として見ると、ここにはまだモータウン的な制約と、そこから抜け出しつつある気配が同居している。つまり、完成度の高いソウル・ポップ作品であると同時に、マイケル・ジャクソンという表現者が次の段階へ移る直前の記録でもある。
オリジナル盤と再発盤の違い
今回のUS盤は1975年のオリジナル期のリリースで、レーベル表記はMotown M6-825S1。ラベル上には「Ⓟ1975 Motown Record Corporation」の表記がある仕様で、同系統の別バリエーションとは区別される。こうした細部はコレクター向けの確認点になるが、音楽そのものとしては、モータウン末期のマイケルの声と制作陣の仕事がまとまった一枚として見ておきたい。
まとめ
『Forever, Michael』は、モータウンの伝統の中で作られた、若きマイケル・ジャクソンの節目のアルバムである。声変わり直後の歌唱、抑制の効いたプロダクション、そして後年に大きく評価を伸ばした「One Day in Your Life」。華やかな代表作群の前に置かれることが多いが、ここにはすでに後の大スターへつながる歌い方と表現の基礎が見えている。モータウン期の最後を飾る作品として、静かな重要性を持つ一枚だ。
トラックリスト
- A1 We're Almost There 3:41
- A2 Take Me Back 3:29
- A3 One Day In Your Life 4:15
- A4 Cinderella Stay Awhile 3:11
- A5 We've Got Forever 3:12
- B1 Just A Little Bit Of You 3:14
- B2 You Are There 3:23
- B3 Dapper-Dan 3:08
- B4 Dear Michael 2:37
- B5 I'll Come Home To You 3:05
動画プレイリスト
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Michael Jackson - 1975 - 01 - We're Almost There
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Michael Jackson - 1975 - 02 - Take Me Back
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Michael Jackson - 1975 - 03 - One Day in Your Life
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Michael Jackson - 1975 - 04 - Cinderella Stay Awhile
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Michael Jackson - 1975 - 05 - We've Got Forever
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Michael Jackson - 1975 - 06 - Just a Little Bit of You
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Michael Jackson - 1975 - 07 - You Are There
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Michael Jackson - 1975 - 08 - Dapper Dan
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Michael Jackson - 1975 - 09 - Dear Michael
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Michael Jackson - 1975 - 10 - I'll Come Home to You