Destination - From Beginning To End (1979)
Destination『From Beginning To End』について
Destinationの『From Beginning To End』は、1979年にUSのButterfly Recordsから出たディスコ・アルバム。アーティストとしては一発企画色の強いボーカル・ディスコ・グループで、プロデュースと編曲はElton Farokh Ahiが担当している。Danny Lugo、Kathy Bradley、Lovechyle Theusの3人による編成で、NY発のディスコ・プロジェクトとしてまとめられた作品だ。
このアルバムでまず外せないのが、「Move On Up Suite」。Curtis Mayfieldの「Move On Up」と、The Impressions時代の「Keep On Pushing」をつないだメドレーで、1979年のビルボード誌ディスコ/クラブ・プレイ・チャートでは4週連続1位を記録している。Destinationという名前自体はこの曲で広く知られるようになった印象が強い。
アルバムの構成と聴きどころ
『From Beginning To End』は、曲を1曲ずつ独立して並べるというより、A面の「The Beginning」からB面の「The End」までを通して聴かせる作り。収録曲のテンポも、A1が132 BPM、A2が138 BPM、A3が132 BPM、B1が130 BPM、B2aが128 BPMと、ダンスフロアを意識した流れになっている。実際、クラブ向けの長めの展開を前提にしたディスコ・アルバムらしい設計がはっきりしている。
サウンド面では、当時のUSディスコらしいストリングス、はっきりしたビート、反復を軸にした展開が中心。ソウルの歌い回しを土台にしながら、ミックスの中でリズムを前へ押し出していくタイプで、歌よりもグルーヴの持続に重心がある。個々の楽曲単位というより、数分から長尺の流れの中で熱量を保つ構成が目立つ。
「Move On Up Suite」の位置づけ
この作品の中心はやはり「Move On Up Suite」だ。Curtis Mayfieldの楽曲をディスコの文脈に置き換えたこのメドレーは、原曲の持つ高揚感と反復の強さをそのままクラブ仕様に持ち込んでいる。Mayfieldのソロ曲と、彼が在籍したThe Impressionsの楽曲をつなぐ発想も含めて、70年代後半のディスコ・リミックス文化をよく示す例になっている。
Destinationにとってこの曲は代表曲であり、グループの名前を決定づけたタイトルでもある。ワンオフのボーカル・ディスコ・グループという性格を考えると、アルバム全体の評価もこの1曲を軸に語られがちだが、実際にはアルバム全体が同じ方向を向いて組まれている点が重要になる。
Butterfly Recordsの時代性
リリース元のButterfly Recordsは、1977年に設立されたUSのディスコ・レーベルで、当時はMCAとの配給契約も結んでいた。70年代後半のディスコ市場を背景にしたレーベルで、このアルバムもその流れの中にある。後年、レーベルはクローズし、カタログは90年代にRhino Recordsへ渡っている。
盤面情報としては、インナーラベルにFLY-3103、ジャケット裏にFLY 3103の表記がある。1979年当時のオリジナル盤として流通したもので、同タイトルにはラベル表記の少し異なる別バージョンも存在する。
同時代のディスコとの関係
『From Beginning To End』は、同時代のディスコ・プロジェクトと並べて見ると輪郭がつかみやすい。ボーカル・グループとしての体裁を取りつつ、実際にはプロデューサー主導でクラブ向けの機能を優先した作品で、70年代後半のディスコ・アルバムに多い作り方だ。Thelma HoustonやM.F.S.B.周辺の洗練されたソウル・ディスコ、あるいは長尺のダンス・ミックスを前面に出した作品群と同じ空気を持っている。
一方で、Destinationはこの1枚と「Move On Up」のヒットで語られることが多く、アーティストとしての活動歴よりも、曲と企画の強さで記憶されている。Kathleen Bradleyが後年『The Price Is Right』で知られる人物になる、という周辺情報も含めて、グループ自体は短いながらも印象を残した存在だった。
まとめ
『From Beginning To End』は、1979年のディスコ・シーンをそのまま切り取ったようなアルバムだ。Curtis Mayfield曲のメドレーを核に、アルバム全体を通してダンスフロア向けの流れを組み立てている点が特徴的で、Destinationという名前を決定づけた作品でもある。ソウルの歌心とディスコの反復、そしてクラブでの機能性が、わかりやすく結びついた1枚。
トラックリスト
- The Beginning 3:58
- Move On Up Suite 8:35
- Castles Suite 9:28
- My #1 Request 9:39
- The End 6:36