Oliver Nelson - Skull Session (1975)
Oliver Nelson『Skull Session』
モダン・ジャズ史に輝く不朽の名盤『The Blues and the Abstract Truth(ブルースの真実)』(1961年)や、数々の映画・TVドラマ(『鬼警部アイアンサイド』『600万ドルの男』など)の劇伴音楽で名声を博した大作編曲家/サックス奏者、Oliver Nelson(オリヴァー・ネルソン)。彼が1975年にボブ・シールの名門レーベル「Flying Dutchman」から発表したジャズ・ファンク屈指の傑作が本作『Skull Session』である。1975年1月にロサンゼルスで録音されたが、同年10月にネルソンが43歳の若さで心臓発作により急逝したため、彼の最晩年の先進的な音楽的探求を刻んだスタジオ録音作となった。
制作背景・豪華参加ミュージシャン
本作のバックを固めるのは、西海岸の一流スタジオ・ミュージシャンと名ジャズマンたちによる超豪華な布陣だ。同レーベルの盟友であるLonnie Liston Smith(ロニー・リストン・スミス)がフェンダー・ローズを奏で、Mike Wofford(マイク・ウォフォード)がARPシンセサイザーやチェンバロを担当。ギター陣には若きLee Ritenour(リー・リトナー)やDennis Budimir、Laurindo Almeidaが名を連ね、Willie Boboのパーカッション、Shelly ManneやJim Gordonのドラム、Chuck Domanicoのベースが鉄壁のリズム隊を形成している。
さらに、Oscar Brashear、Bobby Bryantのトランペット、Bud Shank、Jerome Richardson、Buddy Colletteらのサックス/木管隊が重厚かつシャープなホーン・セクションを構成し、ネルソンの緻密で複雑怪奇なビッグバンド・スコアを見事に具現化している。
時代の文脈
1970年代中期のブラック・エクスプロイテーション映画音楽の隆盛や、マイルス・デイヴィス以降のエレクトリック・マイルス/ジャズ・ファンクの成熟を背景に、ハリウッドの一線で活躍していたネルソンが、自らの重厚なビッグバンド・オーケストレーションに70年代型のヘヴィなファンク・ビートと電子シンセサイザーを大胆に導入。伝統的なアコースティック・ジャズの知性とストリートの野性味が激突する、スリリングなクロスオーバー・サウンドを展開した。
サウンドと聴きどころ
冒頭を飾るタイトル曲「Skull Session」は、重厚なホーン・リフと唸るファズ/シンセサイザー、そして鋭利なドラム・ブレイクが疾走する極上のジャズ・ファンク・クラシック。続くハーレムの喧騒をサスペンスフルに描いた「125th St. And 7th Ave.」や、土臭いグルーヴがうねる「Dumpy Mama」、優美なラテン・フュージョン「Baja Bossa」、そして日本の伝統音楽的モチーフと前衛シンセが交錯する異色曲「In A Japanese Garden」まで、多彩な音彩のコントラストが圧倒的な完成度で迫る。
後世への影響と評価
1990年代以降のレア・グルーヴ・ムーヴメントやアシッド・ジャズ、ヒップホップのサンプリング・カルチャーにおいて決定的な再評価を獲得。タイトル曲をはじめとする力強いドラム・ブレイクとファンキーなホーン・フレーズは数多くのDJやプロデューサーに愛され、ジャズ・ファンク/ライブラリー・ミュージックの最高峰としてカルト的人気を博している。
オリヴァー・ネルソンの膨大なディスコグラフィのなかでも、ストリート感あふれるファンクと室内楽的ビッグバンドが奇跡的な均衡を保った70年代Flying Dutchman期を象徴する一枚であり、早すぎる死の直前に到達した先進的クロスオーバーの極地として語り継がれている。
トラックリスト
- A1 Skull Session 5:59
- A2 Reuben's Rondo 2:57
- A3 125th St. And 7th Ave. 6:19
- A4 One For Duke 4:30
- B1 Dumpy Mama 4:38
- B2 Baja Bossa 7:16
- B3 In A Japanese Garden 3:07
- B4 Flight For Freedom 4:25