Orlandivo - Orlandivo (1977)
Orlandivo / Orlandivo(1977, Copacabana)
Orlandivoが1977年にCopacabanaから発表したセルフタイトル作。ブラジル盤オリジナルのCOLP12088で、名義どおり本人の輪郭がそのまま盤面に出た一枚である。Orlandivoは1937年生まれの作曲家、歌手、パーカッショニストで、リオのダンスホール文化の中から育ったサンバランソの重要人物のひとりとして知られる。ボサノヴァの時代がひと区切りついた1977年という時期に出た本作も、その流れを引き継ぎながら、サンバ、ファンク、フォホーを自然に混ぜた内容になっている。
Orlandivoという人
Orlandivoはサンタカタリーナ州イタジャイ生まれ。幼少期にリオデジャネイロへ移り、1961〜62年頃にはオルガン奏者Ed Lincolnのバンドで歌手として注目を集めた。1962年にはMusidiscから初LP『A Chave Do Sucesso』を発表している。この時の「Orlann Divo」名義や、キーホルダーを打楽器のように使う独特のスタイルは、彼の記憶され方をそのまま象徴している。作曲家としても「Bolinha De Sabão」などを残し、Dóris Monteiro、Jorge Ben、Wilson Simonalらの周辺にも名前が見える存在だった。
2017年の訃報では、1960年代のJorge Ben Jorに影響を与えた作曲家としても紹介されていた。サンバランソの軽やかさ、歌とリズムの距離の近さ、ダンスホール由来の実用性。そのあたりがOrlandivoの持ち味で、本作にもその感覚がきれいに残っている。
1977年作としての位置
本作の軸はボサノヴァに置かれているが、1960年代の洗練だけで終わらない。サンバの跳ね方、ファンクの刻み、フォホーの土着的な推進力が、楽曲の中で無理なく並んでいる。1970年代後半のブラジル音楽は、MPBの広がりの中でより多様になっていた時期で、このアルバムもその空気の中にある。とはいえ、耳に残るのは時代の大きな流れより、Orlandivo自身の軽い歌い口とリズムの運びのほうで、そこがこの作品の芯になっている。
参加者も豪華で、João Donatoがピアノとオルガンを担当し、Sivucaがアコーディオンと編曲を受け持っている。さらにAzymuthのドラマーIvan Contiも加わる。名前だけでも濃いが、演奏はそれぞれが前に出すぎず、Orlandivoの曲を支える方向にまとまっている。ブラジル盤のオリジナルならではの、70年代の国産グルーヴ作品らしいまとまりがある。
収録曲と耳に残る場面
収録曲の中では、自作の「Bolinha De Sabão」がまず重要だ。Orlandivoの作曲家としての顔がそのまま出る曲で、彼の代表曲のひとつとして語られることが多い。加えて、後年とくに評価を集めたのが「Onde Anda O Meu Amor」と「Tamanco No Samba」で、DJやコレクターのあいだで人気曲として扱われてきた。実際に聴くと、どちらも派手さで押すタイプではなく、リズムの置き方と歌の間合いで引っ張る作りになっている。グルーヴが前に出る一方で、メロディはきちんと歌ものとして残る。
本作全体も同じで、音数で盛るより、打楽器的な細部や鍵盤の色づけで流れを作っていく。João Donatoの鍵盤が入ると、曲の輪郭が少し丸くなり、Sivucaのアコーディオンが入ると、都市的なサンバだけではない広がりが出る。そこにOrlandivoの声とパーカッションが乗る形で、ボサノヴァの枠に収まりきらない温度が生まれている。
再評価の流れ
このアルバムは発売当時の一枚で終わらず、後年になって再評価が進んだ。2000年代初頭にはKindred Spiritsから公式再発盤が出ている。さらに2020年10月には、英Mr Bongoが「Brazil 45」シリーズで「Onde Anda O Meu Amor」を7インチ化した。同レーベルはこの曲を、長年多くの顧客からリクエストが寄せられてきた特別な曲のひとつとして紹介している。こうした動きからも、アルバムの中の特定曲がコレクターやDJの現場で長く引っかかってきたことがわかる。
このブラジル盤オリジナルについて
今回の盤は1977年のブラジル盤オリジナル、CopacabanaのCOLP12088。レーベルのロゴが1970年代後半の仕様に移っていく時期のプレスで、オリジナル期の空気がそのまま入った一枚である。後年の再発盤がこの作品を改めて広めた一方で、オリジナル盤は当時のブラジル国内の制作感覚をより素直に伝える存在として見ておきたいところだ。
Orlandivoのキャリアの中では、初期のサンバランソ的な感覚を70年代のMPB文脈に持ち込んだ盤として位置づけやすい。1960年代に築いた軽快さと、1970年代後半の洗練が同居した作品で、本人の作曲家・歌手・パーカッショニストという三つの顔が、バランスよく見える内容になっている。
トラックリスト
- A1 Tudo Jóia
- A2 Um Abraço No Bengil
- A3 Gueri - Gueri
- A4 Tamanco No Samba
- A5 Juazeiro
- B1 Onde Anda O Meu Amor
- B2 Disse Me Disse
- B3 Palladium
- B4 Bolinha De Sabão
- B5 A Felicidade