Otis Redding - Otis Blue / Otis Redding Sings Soul (1965)
Otis Redding 1965

Otis Redding - Otis Blue / Otis Redding Sings Soul (1965)

Funk / Soul Soul

Otis Redding / Otis Blue / Otis Redding Sings Soul

Otis Reddingの『Otis Blue / Otis Redding Sings Soul』は、1965年にVoltから出た3作目のスタジオ・アルバム。Otis Reddingという名前をそのまま前面に出したタイトルどおり、この時期の彼の歌唱と選曲の要点がかなりはっきりまとまっている作品で、ソウル・シンガーとしての輪郭が強く出ている。メンフィスのStaxスタジオで、Booker T. & the MG'sをバックに録音されたことでも知られる一枚で、録音の中心が1965年7月9日から10日にかけての短い時間に集中的に行われたという点も、この盤の緊張感につながっている。

Otis Reddingの位置づけが見えやすい一枚

Otis Reddingは、1960年代アメリカのソウルとR&Bを代表する歌い手であり、作曲家、プロデューサー、アレンジャーでもある。このアルバムは、彼の自作曲だけでなく、当時の重要曲を自分の身体に通して歌い直す作業がはっきり出た内容になっている。全11曲のうち、自作曲が3曲、さらにSam Cookeの曲が3曲入っていて、Cookeへの敬意がそのままアルバムの骨格にもなっている。Cookeはこの録音の数か月前に急逝しており、本作が追悼盤の性格を帯びていることも自然に伝わる。

Otis Reddingのディスコグラフィーの中では、初期の勢いと表現力が大きく開いた時期の記録として重要な位置にある。のちの『(Sittin' On) The Dock of the Bay』のような後期の代表曲とは少し質感が違い、この盤では、歌の圧とバンドの推進力が前に出る。Stax周辺の録音らしい、リズム隊とホーンの絡みが、歌の隙間を埋めるのではなく押し出していく感じ。

収録曲の核にあるもの

このアルバムでまず外せないのは「Respect」。もともとはOtis Redding自身の曲で、男性目線の要求や関係性の駆け引きが前に出ている。1967年にAretha Franklinが大胆に組み替えてカヴァーしたことで、曲の意味は大きく広がった。Franklin版は公民権運動と女性解放運動の両方に結びつくアンセムとして定着しているが、その原型としてのRedding版がここに置かれている。オリジナルのほうは、リズムの切れと歌の直進性が目立ち、後の再解釈を知っている耳でも別の強さがある。

Sam Cookeの曲も重要だ。「A Change Is Gonna Come」は、公民権運動の象徴的な楽曲として知られるが、Otis Reddingの歌唱では、敬意を込めつつも自分の声に引き寄せた読み替えが起きている。「Shake」や「Wonderful World」も含め、Cookeの楽曲を通じて、Reddingがソウルの系譜の中で何を受け取っていたかが見えやすい。

Rolling Stonesの「(I Can't Get No) Satisfaction」のカヴァーも、この盤の聞きどころとしてよく挙げられる。ホーンを軸にした編成で、原曲のロック的な不満の表情を、より泥のついたグルーヴへ置き換えている。歌詞も細部まで整えたというより、うろ覚えのまま突き進んだような勢いが残り、その粗さがかえって引っかかる。Mick Jaggerがこのカヴァーを高く評価したという話も、この曲の存在感を裏づけるものとして有名だ。

1960年代ソウルの文脈の中で

『Otis Blue』は、Stax/Voltサウンドの代表例として語られることが多い。Motownが洗練されたポップ感覚を強く押し出していたのに対して、Stax/Voltはもっと演奏の現場感が前に出る。この盤でも、Booker T. & the MG'sの演奏は、整いすぎないまま楽曲を前へ押していく。Otis Reddingの声はその上で、叫ぶというより、押し返しながら歌っているように聞こえる。

曲順を追うと、カヴァーとオリジナルが交互に並び、歌い手としての幅が見えやすい構成。単にヒット曲を並べたアルバムではなく、当時のソウル、R&B、ポップ・ソングを自分の言葉に変換する作業が中心にある。Otis Reddingの代表作としてこの盤が長く参照されるのは、ヒット曲の強さだけでなく、その変換の精度が高いからだろう。

オリジナル盤について

1965年のUSオリジナル盤はVoltの400番台、VOLT 412。初回プレスではソリッド・イエローのレーベルに黒いVOLTロゴが入り、下部に「Distributed by Atco Record Sales Co.」表記がある。こちらはPitmanプレスのバリエーションとして知られ、ラベルの組版やランアウトの「CL」刻印で見分けられる。盤の見た目だけでも、後年の再発盤とはかなり違う印象がある。

『Otis Blue / Otis Redding Sings Soul』は、Otis Reddingの歌を知る入口としてだけでなく、1965年のソウル・アルバムがどんな速度と密度で作られていたかを示す記録でもある。短時間で録られたという事実に、演奏の勢いと歌の集中がそのまま残っている一枚。

トラックリスト

  1. A1 Ole Man Trouble 2:35
  2. A2 Respect 2:03
  3. A3 Change Gonna Come 4:13
  4. A4 Down In The Valley 2:55
  5. A5 I've Been Loving You Too Long 2:53
  6. B1 Shake 2:38
  7. B2 My Girl 2:53
  8. B3 Wonderful World 3:09
  9. B4 Rock Me Baby 3:22
  10. B5 Satisfaction 2:43
  11. B6 You Don't Miss Your Water 2:49

動画プレイリスト

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