Pentangle - Open The Door (1985)
Pentangle 1985

Pentangle - Open The Door (1985)

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Pentangle『Open The Door』について

Pentangleは、1960年代後半から1970年代初頭にかけて活動した英国のフォーク・ロック・バンドとして知られる。ジャズ的な感覚、アコースティック主体の編成、伝統曲の扱いとオリジナル曲の共存で独自の立ち位置を築いたグループで、Jacqui McShee、John Renbourn、Bert Jansch、Danny Thompson、Terry Coxという初期の顔ぶれは、英国フォークの文脈では特に重要な存在として語られてきた。この『Open The Door』は1985年にUSのVarrick Recordsから出た作品で、Pentangleという名前が80年代半ばにどのような形で鳴っていたかを知るうえで興味深い一枚になっている。

1985年という時期にこのバンド名が出てくると、まず気になるのは、全盛期のPentangleとの距離感だろう。実際、この作品にはJacqui McShee、John Renbourn、Bert Jansch、Danny Thompson、Terry Coxといった核となるメンバーに加え、Gerry Conway、Alan Thomson、Peter Kirtleyの名もクレジットされている。つまり、初期Pentangleの記憶を引き継ぎながら、当時の編成で再び音を鳴らした記録として捉えやすい。英国フォークの名残と、1980年代の録音作品としての輪郭、その両方が同居するタイプのタイトルだ。

この作品の位置づけ

Pentangleの代表的な評価は、やはり1960年代末から1970年代前半にかけての活動に集中している。そこでは、Jacqui McSheeの歌声、Bert JanschとJohn Renbournのギター、Danny Thompsonのコントラバス、Terry Coxのドラムが、フォーク・ソングを室内楽のような感覚で組み立てていく。その意味で『Open The Door』は、バンドの最初期の革新性をそのまま更新した作品というより、後年の時点からPentangleの音楽を再確認する性格が強い盤として見るほうが自然だろう。

80年代のフォーク/ルーツ系の録音は、70年代のアコースティック路線を引き継ぎながらも、録音の輪郭やアンサンブルの置き方が少し変わることが多い。この作品も、その時代の空気の中でPentangleの持ち味を再提示しているように感じられる。派手な装飾で押すのではなく、声、弦、低音、打楽器の役割分担を見せながら進むあたりに、このバンドらしい整理された演奏感がある。

注目したいポイント

まず耳を引くのは、Jacqui McSheeのボーカルと弦楽器群の関係だ。Pentangleの魅力は、歌が前面に出ながらも、伴奏が単なる下支えにとどまらないところにある。この作品でも、その基本線は変わらないように聴こえる。声がメロディを運び、ギターが細かな隙間を埋め、ベースが全体の重心を作る。その組み立てがはっきりしているため、曲ごとの表情が大きく変わらなくても、アンサンブルの動きで聴かせる場面が多い。

John RenbournとBert Janschの2本のギターが並ぶ場面では、Pentangleらしい指弾きの感触が見えやすい。どちらかが主役に立つというより、フレーズの受け渡しや和声の置き方で空気を作っていくタイプの演奏だ。フォーク・ロックという言葉で括るには、かなり繊細なバランス感覚が前に出る。アコースティック楽器の生々しさを残しつつ、曲の構造はきちんと整理されていて、聴き手は旋律だけでなく、音の配置そのものを追うことになる。

リズム隊と音の厚み

Danny Thompsonのダブルベースは、このバンドの音に独特の重さを与える存在だ。ロック的な直進性より、音程を持った低音がアンサンブルの芯になる感じで、曲の推進力を押し出すというより、全体の呼吸を整えている印象が強い。そこにTerry Coxのドラムが加わることで、フォークの枠に収まりきらない立体感が生まれる。Pentangleの録音を聴くと、打楽器が派手に目立つというより、フレーズの間を埋める配置として機能していることが多く、この作品でもその感覚は確認しやすい。

80年代の盤としては、演奏の密度に対して音の見通しが保たれている点も印象に残る。楽器が多く入っても混線しにくく、それぞれの役割が追いやすい。こうした整理のされ方は、Pentangleの持つ室内楽的な側面を見せるうえで重要だろう。大きな音圧で押すのではなく、編成の妙で聴かせる作り。

タイトル曲まわりの聴きどころ

『Open The Door』というタイトルは、Pentangleの作品群の中でもわかりやすい言葉を選んでいる。初期のバンドがしばしば見せた、伝統曲や古い民謡の感触を現代的な演奏で開き直す姿勢とも響き合う。実際に聴くと、歌の言葉を前に出しながら、伴奏がそれを囲い込まずに支える構造が見えやすい。扉を開く、という表現に対して、音のほうも閉じすぎず、余白を保った進行になっているように感じられる。

この曲が作品内でどんな位置に置かれているかは、Pentangleの再編成期を考えるうえで大きい。かつての代表曲群のような強い知名度で語られるタイプではないにしても、バンドの持ち味を短くまとめる役割は担っている。Jacqui McSheeの声、2本のギター、低音、ドラムという基本セットが、過不足なくまとまるところに、このタイトルの骨格がある。

まとめ

Pentangle『Open The Door』は、1960年代末の英国フォーク・ロックを代表するバンドが、1985年という時点で自分たちの音をどう鳴らしていたかを示す作品として見えてくる。初期メンバーの名が並ぶことで、バンドの歴史的な連続性も意識しやすい。派手な展開や大きなヒット性で押す盤ではなく、アコースティック楽器の絡み、声の置き方、低音の支え方といった基本要素で聴かせる内容。Pentangleの名前にある種の期待を持って向き合うと、その期待がどの部分で満たされるのかが見えやすい一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Open The Door 4:15
  2. A2 Dragonfly 3:09
  3. A3 Mother Earth 2:36
  4. A4 Child Of The Winter 5:04
  5. A5 The Dolphin 2:39
  6. B1 Lost Love 3:35
  7. B2 Sad Lady 3:40
  8. B3 Taste Of Love 4:05
  9. B4 Yarrow 4:35
  10. B5 Street Song 5:37

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