Sex Pistols - Never Mind The Bollocks Here's The Sex Pistols (1977)
Sex Pistols 1977

Sex Pistols - Never Mind The Bollocks Here's The Sex Pistols (1977)

Rock Punk

Sex Pistols『Never Mind The Bollocks Here's The Sex Pistols』レビュー

Sex Pistolsの唯一のスタジオ・アルバム『Never Mind The Bollocks Here's The Sex Pistols』は、1977年のUKパンクを象徴する1枚だ。バンドの荒々しいイメージだけでなく、Chris Thomasのプロデュースによって、演奏の輪郭や曲の構造が意外なほど明瞭に整理されている点も重要である。パンクの初期衝動をそのまま封じ込めた作品というより、短い曲の連打の中に、はっきりしたフックと反復の強さを持ち込んだアルバムとして捉えると分かりやすい。

1977年UKパンクの中心にある作品

Sex Pistolsは、Johnny Rotten、Steve Jones、Glen Matlock、Paul Cookを軸に始まり、アルバム制作期にはSid Viciousがベースに加わった。だが本作の録音では、実際にはGlen Matlock在籍時の曲作りと、後の編成変更が混ざり合っている。結果として、バンドの内部事情そのものが作品の背景に刻まれている。The Clashのように政治性を前面に出すバンドとも、Buzzcocksのようにメロディを強く押し出すバンドとも違い、Sex Pistolsはもっと直接的で、音の切れ味と挑発の言葉が前に出る。

このアルバムは、1977年10月下旬に先行流通し、11月4日の正式発売を待たずに市場へ出回った。UKアルバム・チャートでは初登場1位を記録し、発売前から予約注文が12万5000枚に達していたという事実も残る。パンクが単なるアンダーグラウンドの騒ぎではなく、当時の英国で大きな商業的反応を伴っていたことが、この数字からも見えてくる。

収録曲とアルバムの流れ

代表曲としてまず挙がるのは「Anarchy in the U.K.」「God Save the Queen」「Pretty Vacant」あたりだろう。特に「Anarchy in the U.K.」は、Sex Pistolsの名刺代わりの一曲で、攻撃的な言葉と分かりやすいリフが直線的に進む。「God Save the Queen」は、英国社会への挑発をそのまま曲にしたような内容で、発表当時の反応の強さも含めて有名だ。「Pretty Vacant」は、怒鳴るだけではない、言葉の置き方とリズムの噛み合いが目立つ。聴き進めると、どの曲も同じ速度感で押すだけではなく、ギターの刻みやベースの動きに少しずつ違いがある。

11曲版と12曲版が存在する点も、このアルバムの初期史を語るうえで外せない。初期のUK盤では「Submission」を外した11曲仕様が先に出回り、すぐに12曲仕様へ切り替わった。今回の盤は1977年UKの12曲版で、「Submission」をB3に収録する形だ。レコードを実際に聴くと、曲順の流れがかなり重要で、前半の押しの強さから後半にかけての緊張感の持続がアルバム全体を支えていることが分かる。

UK初期盤としての仕様

この盤はVirginのカタログ番号V 2086、UKプレスで、青いVirginラベルが使われている。マスターノートにある通り、12曲版の初期UKプレスには袖やラベルの細かな違いが複数存在し、ラベル表記やクレジットにも揺れがある。今回のリリースノートでは、Daygloの背面ジャケットで「Submission」の表記が抜けている一方、ラベルには曲タイミングがなく、Copyright Control 1977、プロデューサー表記が「Chris Thomas Or Bill Price」となっている。こうした初期盤特有の混乱も、本作が短期間に急いで形になっていったことを示している。

Virginの青ラベルは、1977年から1978年にかけて使われたデザインで、この作品の初期UK盤らしさを強く感じさせる要素でもある。のちの再発では、Virginのスカウル表記や緑赤系のラベルに移るが、オリジナル初期の青ラベル盤は、発売当時の空気をそのまま持つ物として見られている。

騒動込みで広がった存在感

タイトルの「Bollocks」をめぐる騒動も、このアルバムの歴史の一部だ。大手チェーンの販売拒否や、ノッティンガムでの猥褻広告法違反をめぐる裁判は、結果的に「Bollocks」が卑猥語ではないと認められる判決につながった。作品そのものの話というより、レコードが社会とぶつかった記録として残っている。Sex Pistolsのイメージは、音だけでなく、こうした出来事と結びついて定着した面が大きい。

音楽面では、後のハードコア・パンクやオルタナティヴの初期衝動にも通じる、短く、鋭く、無駄を削った構成が目立つ。だが本作は単なる原型ではなく、1977年の英国で実際に大きな波紋を起こした具体的な作品である。荒さだけで押し切るのではなく、曲としての強さを残したまま時代の緊張を封じたアルバム、そんな位置づけがしっくりくる。

トラックリスト

  1. A1 Holidays In The Sun
  2. A2 Bodies
  3. A3 No Feelings
  4. A4 Liar
  5. A5 God Save The Queen
  6. A6 Problems
  7. B1 Seventeen
  8. B2 Anarchy In The UK
  9. B3 Submission
  10. B4 Pretty Vacant
  11. B5 New York
  12. B6 E.M.I.

動画プレイリスト

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