Sloche - Stadacone (1976)
Sloche『Stadacone』
カナダ・ケベックのプログレ/フュージョン・バンド、Slocheが1976年に残した2作目であり、最後のアルバムが『Stadacone』。2019年にはReturn To Analogから500枚限定、通し番号入りで再発されている。オリジナルは1976年7月、RCAのStudio “B”で録音された。
制作背景・エピソード
この作品は、各メンバーがほぼ完成した形の曲を持ち寄り、そこへ他のメンバーが装飾を加えて仕上げる方法で作られたとされる。表題曲「Stadacone」と「Isacaaron(Ou le démon des choses sexuelles)」は、実はデビュー盤より前に書かれていた曲だったという話もある。
編成面では前作から少し変化があり、ドラム担当の交代に加えてパーカッションが増員された。双子のキーボードを軸にしながら、よりジャズ寄りでファンキーな色合いが前に出た、という評が見られる。再発盤は単独ジャケット仕様で、ポリライナー付きLPスリーブを透明の再封可能な袋に収め、フロントにヒップステッカーを貼った形で出ている。のちにクリア・ヴァイナルの2ndプレスも行われた。
時代の文脈
『Stadacone』は、1970年代半ばのケベック・プログレ/ジャズ・ロックの流れの中に置かれる。Slocheは前作『J’un Oeil』でケベック各地のラジオでも流れ、地元である程度の知名度を得ていたが、本作では歌ものをほぼ排したインストゥルメンタル中心の構成になった。
同時代の回想では、ケベックのシーン全体がこの時期に勢いを失い始め、Slocheも経済的事情で活動を終えたとされる。そうした流れの中で、『Stadacone』はバンドの終着点として語られている。批評では、Weather Report、Mahavishnu Orchestra、Stanley Clarke系のジャズ・フュージョン感覚に近いと評されることがあり、Sea of TranquilityのYves Dubéは、プログレ、ジャズ、クラシカルな要素が一体化していると書いている。
曲単位では、表題曲がFender Rhodes、ギター、シンセが渦巻く長尺曲として触れられ、「Ad Hoc」はより歯切れのよいグルーヴ曲、「Il Faut Sauver Barbara」はシンフォニックな鍵盤導入からファンキー/ジャジーな展開へ進む曲として紹介されている。『CitizenFreak』は前作の精神を保ちながら、よりファンキーになったと述べている。
後世への影響
直接的なカバーやサンプリングの記録は見当たらない一方で、2000年代以降の再発を通じて再評価が進み、「ケベック・プログレの名盤」として紹介される流れが定着している。日本でも再発をきっかけに取り上げられ、70年代カナダ・プログレの重要作として扱われている。
発売当時に大きなヒットやチャート実績はなく、批評家には好評だったもののチャートにはほとんど影響しなかった、という回想が残る。数字よりも、最後のアルバムとしての位置づけと、後年の再発で広がった評価のほうが、この盤の印象を形づくっている。
トラックリスト
- A1 Stadaconé 10:10
- A2 Le Cosmophile 5:36
- A3 Il Faut Sauver Barbara 4:13
- B1 Ad Hoc 4:30
- B2 La "Baloune" De Varenkurtel Au Zythogala 4:55
- B3 Isacaaron (Ou Le Démon Des Choses Sexuelles) 11:18
動画プレイリスト
このアーティストについて
Slocheは、カナダ・ケベック州で1971年ごろに結成されたプログレッシヴ・ロック/ジャズ・フュージョン・バンドだ。ロックとジャズを軸にしながら、キ...
Sloche のプロフィール・作品一覧