Sylvia - Pillow Talk (1973)
Sylvia『Pillow Talk』
1950年代にデュオ「ミッキー&シルヴィア」として「Love Is Strange」の全米ヒットを放ち、後にシュガーヒル・レコーズ(Sugar Hill Records)を創設して「ヒップホップの母」と称されることになる伝説の女性プロデューサー/シンガー、シルヴィア・ロビンソン(Sylvia Robinson)が1973年に発表したソロ・アルバム。夫ジョー・ロビンソンとともにニュージャージー州イングルウッドで運営していたオール・プラチナム・レコーズ(All Platinum Records)傘下のVibrationレーベルからリリースされた。
制作背景とアル・グリーンを巡るエピソード
表題曲「Pillow Talk」は、元々シルヴィアが名ソウル・シンガーのアル・グリーン(Al Green)のために書き下ろした楽曲であった。しかし敬虔なクリスチャンであったアル・グリーンは、歌詞があまりに官能的すぎるとしてレコーディングを固辞。そこでシルヴィア自身がマイクに向かい、甘美なウィスパー・ボイスと艶めかしい吐息を交えて自ら吹き込んだところ、これが運命的な大ブレイクをもたらすこととなった。
アルバムには、シルヴィアがプロデュースを手掛けた名コーラス・グループ、ザ・モーメンツ(The Moments)のヒット曲「Not On The Outside」の濃厚なセルフカバーや、愛らしいメロウ・ソウル「My Thing」「Sunday」などを収録。オール・プラチナムお抱えのハウス・ミュージシャンによるタイトで洗練されたバッキングの上で、シルヴィアの親密なボーカルが前面にフィーチャーされている。
時代の文脈とプロト・ディスコとしての先駆性
1970年代初頭のソウル・シーンにおいて、女性のセクシュアリティを大胆かつエレガントに肯定した先駆的アルバムとして名高い。ドナ・サマーの「Love to Love You Baby」(1975年)に数年先駆けて、息づかいを強調したウィスパー・ボーカルと官能的なストリングス、そして催眠的なソウル・グルーヴを融合させ、「セクシー・ソウル」および初期ディスコ(プロト・ディスコ)の礎を築いた。
タイトル曲「Pillow Talk」は、さざ波のようなフェンダー・ローズのコード感、流麗なフルート、抑制の効いたタイトなドラム、そして耳元で囁きかけるようなシルヴィアのボーカルが極上の親密さを生み出すベッドルーム・ソウルの金字塔である。
評価と歴史的意義
シングル「Pillow Talk」は全米ビルボードR&Bチャートで1位を獲得し、ポップチャート(Hot 100)でも最高3位を記録するミリオンセラーを達成。第16回グラミー賞では「最優秀女性R&Bボーカル・パフォーマンス賞」にノミネートされた。
男性優位だった当時の音楽産業において、自らインディペンデント・レーベルを運営し、プロデュース、作詞作曲、そして歌唱に至る全プロセスを女性アーティスト自身が主導して成し遂げた記念碑的名盤である。
トラックリスト
- A1 Pillow Talk 4:20
- A2 Give It Up In Vain 3:55
- A3 Sunday 3:08
- A4 Don't Leave Me Starving 2:51
- A5 My Thing 2:45
- B1 Didn't I 3:30
- B2 Had Any Lately 2:55
- B3 Not On The Outside 6:45
- B4 Cowards Way Out 3:15
動画プレイリスト
このアーティストについて
Sylvia Robinson(シルヴィア・ロビンソン、1935年5月29日 - 2011年9月29日)は、アメリカ・ニューヨーク出身のシンガー、ソングライター、音楽プロデ...
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