War - Galaxy (1977)
War『Galaxy』(1977年)レビュー
1970年代のアメリカン・ファンクを語るとき、Warは外せない存在だ。ロサンゼルス周辺で育ったラテン系メンバーを中心に、ソウル、ファンク、ジャズ、ラテンの要素を混ぜ合わせながら独自のグルーヴを作ってきたバンドである。そんなWarが1977年に発表した『Galaxy』は、United Artists時代を経てMCAへ移籍して最初のアルバムにあたる作品で、バンドの後期を代表する一枚として知られている。
MCA移籍後の第一作としての位置づけ
本作は、1970年代前半に築いたWarの流れを引き継ぎながら、当時のディスコやジャズ・ファンクの空気も取り込んだアルバムだ。制作はデビュー以来バンドを支えてきたジェリー・ゴールドスタインが担当し、Far Out Productions名義で進められている。録音はFar Out Studios、Cherokee Studios、Record Plant Sausalito、Sound City、Crystal Soundなど複数のスタジオで行われ、制作体制の厚みも感じられる。
参加メンバーにはロニー・ジョーダン、ハワード・スコット、B.B.ディッカーソン、ハロルド・ブラウン、チャールズ・ミラー、リー・オスカー、パパ・ディー・アレンら、1970年代Warを支えた顔ぶれがそろう。のちに編成が変わっていくことを思うと、この時期のバンドのまとまりを記録した作品としても重要だ。
タイトル曲「Galaxy」とシングルの存在感
アルバムの核になるのは、やはりタイトル曲「Galaxy」だ。宇宙をテーマにした曲で、同年に公開された映画『スター・ウォーズ』の熱気を思わせる要素もある。Warらしいベースラインとリズムの粘りに、シンセやホーンが重なり、ファンクの骨格を保ったまま、当時のポップな感覚へ寄せていく構成になっている。
この「Galaxy」はシングルとしてもヒットし、全米Billboard Hot 100で39位、R&Bチャートで5位、全英シングル・チャートで14位を記録した。Warにとって全米トップ40入りを果たした最後の曲とされる点も、この作品の大きな意味を持つ。続く「Hey Señorita」もシングル化され、R&Bチャート70位、全英40位を記録している。
サウンドの特徴
『Galaxy』の音は、従来のラテン・ファンクを軸にしながら、より整った構成とディスコ寄りの推進力を持っている。前作までの土臭さやジャム感に比べると、曲の輪郭がはっきりしていて、リズムの反復がそのままダンスの動きにつながる作りだ。ホーンの使い方も派手すぎず、ベースとドラムのうねりを邪魔しない位置に置かれている。
実際に聴くと、A面は比較的コンパクトにまとまり、曲間の流れも良い。グルーヴが前に出る一方で、メロディはきちんと耳に残る。Warの強みである「踊れるが、ただ軽いだけではない」バランスが、この時期らしく整理された形で出ている印象がある。
一方でB面は、ヒット曲のあとに長尺曲「The Seven Tin Soldiers」を置く構成で、アルバム全体のテンションが少し変わる。ここではジャズ・ファンク的な展開や、70年代後半らしい組曲風の進み方が見える。派手な瞬発力より、じわじわと展開していくタイプの曲作りで、当時のファンク・アルバムに見られる長尺志向の一例でもある。
当時の文脈の中で
1977年という年は、ファンクがディスコと強く接近していく時期でもあった。Warもその流れの外にはおらず、『Galaxy』にはその時代性がはっきり刻まれている。Sly & the Family StoneやThe Isley Brothers、Ohio Playersあたりと並べて聴くと、70年代中盤から後半にかけてのブラック・ミュージックの変化が見えやすい。Warはその中でも、ラテン色のあるリズム感と、演奏の密度で独自性を保っていた。
また、本作の後にはB.B.ディッカーソンの脱退やチャールズ・ミラーの死もあり、グループの転換点が近づいていく。そうした意味で『Galaxy』は、Warが大きく崩れる直前のまとまった姿を残したアルバムでもある。
評価と現在の見え方
批評面では賛否が分かれた。ロバート・クリストガウはB評価を与え、野心の強さは薄いがA面の出来を評価している。AllMusicでは5点満点中2点、Rolling Stone Album Guideでは3点とされている。評価の差はあるものの、ヒット曲の強さと、バンドが当時の音楽環境に合わせて形を変えた記録としては、今も見どころのある一枚だ。
結果として『Galaxy』は、Warの代表曲を含む後期の重要作であり、ファンク、ソウル、ディスコの境目に立つ1977年の空気をそのままパッケージしたアルバムになっている。派手な転換よりも、持ち前のグルーヴをどこまで時代に接続できるか、その試行の跡が残る作品だ。
トラックリスト
- A1 Galaxy 8:08
- A2 Baby Face (She Said Do Do Do Do) 5:03
- A3 Sweet Fighting Lady 7:11
- B1 Hey Señorita 5:46
- B2 The Seven Tin Soldiers 14:14