Patrice Rushen - Now (1984)
Patrice Rushen『Now』
才媛ピアニスト/シンガー/プロデューサー、パトリース・ラッシェンが1984年に発表した通算8作目のスタジオ・アルバム。「Forget Me Nots」などのメガヒットを生んだ1982年の金字塔『Straight from the Heart』に続く作品であり、1978年から続いた名門エレクトラ(Elektra Records)における黄金期を締めくくる最後のアルバムである。US盤はElektraの赤/黒レーベル仕様で、質感のある厚紙スリーブとインナースリーブが付属している。
制作背景・参加ミュージシャン
本作はパトリース本人と、長年彼女の音楽的盟友を務めてきたチャールズ・ミムズ・ジュニアの共同プロデュースにより制作された。「レディ・フレディ」こと名ベーシストのフレディ・ワシントンが多くの楽曲をパトリースと共作し、躍動感あふれるベースラインとリズム・アレンジを提供している。
録音はロサンゼルスの「The Crib」をはじめコンウェイ・レコーディングやララビー・レコーダーズで行われ、ジェラルド・オルブライト、マーロ・ヘンダーソン、グレッグ・ムーアら西海岸の一流セッション・ミュージシャンたちが参加。精緻で洗練されたアンサンブルを構築している。
サウンドと聴きどころ
アルバムのオープニングを飾る「Feels So Real (Won't Let Go)」は、きらびやかなシンセ・リフ、フレディ・ワシントンのスラップ・ベース、そしてパトリースの爽快でシルキーなヴォーカルが完璧な調和を見せる極上の80sブギー・アンセムである。
続くB面冒頭の「Get Off (You Fascinate Me)」では、鋭角的なシンセ・ベースとエレクトロなビートが際立つタイトなダンス・グルーヴを披露。一方で、「Gone With The Night」やラストを飾る「To Each His Own」では、ジャズ由来の美しいコードワークとメロウな情感が溢れる洗練されたアーバン・バラードを聴かせる。
時代の文脈
1984年は、シンセサイザーやドラムマシンがメインストリームのブラック・ミュージックを席巻した変革期。幼少期からのクラシックやジャズの教育で培われたパトリースの卓越した音楽理論と鍵盤技巧は、当時の最先端シンセ・ファンクやアーバン・コンテンポラリーのサウンドに見事に落とし込まれ、単なるダンス・ポップの枠を超えた音楽的深みを与えている。
後世への影響
リード・シングルの「Feels So Real (Won't Let Go)」はHot Soul Songsチャートで3位、ダンス・クラブ・チャートで10位の大ヒットを記録し、アルバム自体もソウル・アルバム・チャートで4位まで登り詰めた。1990年代以降のR&Bやネオ・ソウル、そして近年の世界的な80sシンセ・ブギー/モダン・ファンクの再評価ムーヴメントにおいて、彼女のエレクトラ期を総括する傑作として今なお高い人気を誇っている。
トラックリスト
- A1 Feels So Real (Won't Let Go) 6:48
- A2 Gone With The Night 4:40
- A3 Gotta Find It 4:26
- A4 Superstar 4:56
- A5 Heartache Heartbreak 4:10
- B1 Get Off (You Fascinate Me) 6:18
- B2 My Love's Not Going Anywhere 4:18
- B3 Perfect Love 4:54
- B4 High In Me 4:13
- B5 To Each His Own 4:12
動画プレイリスト
このアーティストについて
Patrice Rushenは、1954年9月30日にロサンゼルスで生まれたアメリカのR&B/ディスコ/ジャズ系アーティストです。ボーカリスト、作曲家、クラシッ...
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