Brass Construction - Brass Construction II (1976)
Brass Construction『Brass Construction II』について
Brass Constructionは、1970年代のニューヨーク・ファンクを語るうえで外せないバンドのひとつだ。ブルックリンで結成され、ホーン・セクションを前面に押し出した演奏と、踊れるビートを土台にしたサウンドで存在感を示した。そんな彼らの2作目にあたるのが、1976年の『Brass Construction II』である。前作で「Movin'」をヒットさせた直後の作品で、バンドの持ち味を保ちながら、さらに曲調の幅を広げた内容になっている。
前作の勢いを受けた2作目
このアルバムは、1976年10月にUnited Artists Recordsから発売された。制作面ではJeff Laneがプロデュースを担当し、作編曲の中心はRandy Muller。Brass Constructionの音楽は、Mullerの構想を軸に、バンド全体のアンサンブルで組み立てられている。録音はニューヨーク州ヘンプステッドのUltra-Sonic Recording Studiosで行われた。ライナー情報にもある通り、録音とミックスは同スタジオで進められている。
作品の位置づけとしては、デビュー作で確立したホーン主体のファンク/ソウルを、より多面的に展開した1枚という印象が強い。前作が持っていた直進的な推進力に対して、本作ではラテン、アフロ・キューバン、レゲエ、ロック・ソウルといった要素が曲ごとに差し込まれ、リズムの組み方にも変化がある。とはいえ、土台はあくまでファンクで、ホーンの切れ味とベースの粘りが全編を支えている。
「Ha Cha Cha (Funktion)」の存在感
このアルバムでまず触れられるのは、「Ha Cha Cha (Funktion)」だろう。先行曲としても知られ、米ビルボードHot 100で51位、UKシングルチャートで37位を記録している。ライブで先に演奏されていた曲でもあり、スタジオ録音に入る前からバンドの定番として機能していたようだ。Randy Mullerのガイアナ系のルーツに由来するスペイン語のチャントが加えられている点も、この曲の特徴になっている。
実際に聴くと、タイトル通りの掛け声感と、ホーンの反復が強く残る。ファンクの骨格は明快だが、単純に押し切るだけではなく、細かな合いの手やリズムの抜き差しが効いている。Brass Constructionの曲の中でも、バンドの推進力がそのまま形になったような1曲だ。
サブタイトル付きの曲構成
本作の面白い点として、各曲のタイトルに括弧書きのサブタイトルが付いていることが挙げられる。Randy Mullerはこれについて、A面とB面で曲の性格が少し違う、という趣旨のユーモラスな説明をしていたようだ。実際、前半の勢いと後半の落ち着きには差があり、アルバム全体の流れにもメリハリがある。
ファンク・バンドの2作目というと、デビュー作の延長線上で同じ型を強めるケースも多いが、『Brass Construction II』はその中で少し視野を広げている。ホーン・バンドらしい強いアタックは保ちながら、曲によってはディスコ寄りの滑らかさや、ラテン由来のリズム感が前に出る。1976年という時期を考えると、ファンクとディスコが近い場所で交差していた空気も感じやすい。
チャート成績と評価
アルバムはビルボード200で26位、ソウル・アルバム・チャートで9位を記録し、アメリカではゴールド認定を受けている。前作の成功に続いて、Brass Constructionが単発のヒットで終わらなかったことを示す成績だ。『Movin'』で知られるバンドとして見られがちだが、本作を置くと、彼らがアルバム単位でも十分に機能するグループだったことが見えてくる。
当時の受け止められ方としては、荒さのあるファンクと、滑らかに整えた部分の両方がある点が評価されていた。聴感上も、勢いだけで押し切らずに、ブレイクや間の取り方で曲を立たせている。ホーン・セクションの強さは、後のアシッド・ジャズやヒップホップのサンプリング文脈でも参照された。
後年へのつながり
Brass Constructionは、同時代のファンク・バンドの中でも、演奏の密度とアレンジの整理が両立している部類に入る。Earth, Wind & Fireのような大編成の洗練とは少し違い、より街場の熱を残した鳴り方がある。The Metersのような泥臭いグルーヴともまた異なり、ホーンの配置が前面に出ることで、ダンス・ミュージックとしての輪郭がはっきりしている。
『Brass Construction II』は、そのバンド像を2作目でさらに具体化したアルバムだ。代表曲「Ha Cha Cha (Funktion)」の存在、ラテンやレゲエを織り込んだ曲作り、そしてホーン主体のファンクという軸。1970年代半ばのニューヨークの空気を、かなり具体的に伝える1枚として残っている。
基本情報
- アーティスト: Brass Construction
- タイトル: Brass Construction II
- リリース年: 1976年
- リリース国: US
- レーベル: United Artists Records
- プロデュース: Jeff Lane
- 録音: Ultra-Sonic Recording Studios, Hempstead, N.Y.
- 主な収録曲関連: 「Ha Cha Cha (Funktion)」
トラックリスト
- A1 Ha Cha Cha (Funktion) 5:51
- A2 Get To The Point (Summation) 4:18
- A3 Sambo (Progression) 5:18
- A4 Screwed (Conditions) 5:47
- B1 The Message (Inspiration) 4:42
- B2 Now Is Tomorrow (Anticipation) 5:55
- B3 Blame It On Me (Introspection) 3:20
- B4 What's On Your Mind (Expression) 3:24