The Headhunters - Survival Of The Fittest (1975)
The Headhunters『Survival Of The Fittest』(1975)
The Headhuntersの『Survival Of The Fittest』は、1975年にAristaから出たデビュー作。ハービー・ハンコックのバックを務めていた面々が独立して結成したグループで、ジャズ、ファンク、ロックの要素を一本の流れにまとめた初期の重要作として知られている。ハンコックはグループの生みの親ではあるが、このアルバムでは演奏には参加していない。制作の中心にはハンコックとデヴィッド・ルービンソンがいて、録音はサンフランシスコのWally Heider Studiosで行われた。
バンドの出発点としての一枚
Headhuntersといえば、ハービー・ハンコックの『Head Hunters』の延長線上にある存在として語られることが多いが、このアルバムはその後のバンド名義をはっきり打ち出した最初の作品。前のバンドサウンドをなぞるだけではなく、よりグループとしてのまとまりを前面に出している印象がある。1970年代半ばのジャズ・ファンクは、ジャズ側の即興性と、ファンク側の反復するグルーヴが交差していた時期だが、本作もそのど真ん中に置ける内容。Weather ReportやReturn to Foreverのような同時代のフュージョン勢と比べると、より地に足のついたリズムの押し出しが強い。
「God Make Me Funky」の存在感
収録曲の中で特に知られているのが「God Make Me Funky」。ポインター・シスターズがヴォーカルで参加している曲で、マイク・クラークのドラム・ブレイクは後のヒップホップで非常に多く参照された。N.W.A、De La Soul、Nas、Q-Tip、Madlib、Kendrick Lamarなど、世代も地域も違うアーティストたちがこの一節を拾ってきた事実だけでも、曲が持つ寿命の長さが見えてくる。単なる「サンプリング元」ではなく、リズムの切れ目そのものが素材として機能しているタイプの録音。
サウンドの輪郭
聴き進めると、ベースとドラムの噛み合わせがかなり細かく作られているのがわかる。派手なソロで引っ張るより、短いフレーズを反復しながら少しずつ熱を上げていく構成が多い。Bill Summersのパーカッション、Bennie Maupinの管楽器、Mike Clarkのドラム、Paul Jacksonのベースがそれぞれ前に出すぎず、しかし埋もれない。ファンク寄りの推進力がありつつ、ジャズ由来の間合いも残るあたりがこのグループらしいところ。
実際に聴くと、音数そのものは過密ではないのに、隙間が妙に緊張感を持つ。リズム隊が一定のパターンを保ちながら、上物が細かく色を変えるため、1曲の中で景色が少しずつ動く。派手な転調や大きな山場で押すというより、グルーヴの粘りで持っていくタイプのアルバム。
1975年盤としての位置づけ
このUS盤はAristaのAL 4038。レーベルの初期仕様にあたる青系のラベルデザインの時期で、1975年という発売年がそのまま作品の初出年でもある。盤面の注記としては、時間表記にNON-STRAIGHTの表記があり、ラベル周囲にWHITE textが回るバリエーション。録音はWally Heider Studios、サンフランシスコ。
後年の再発では、2001年にBMGフランスからオリジナル・マスターテープを用いた24bitリマスターCDが出ている。アナログ初出盤と比べると、再発では音の輪郭をより見やすくした形で受け取る人もいるはずだが、元の録音が持つ乾いた粘りはこの1975年盤の時点でかなりはっきりしている。
まとめ
『Survival Of The Fittest』は、Headhuntersがハービー・ハンコックの周辺から独立し、バンドとしての輪郭を示した初期の代表作。ジャズ・ファンクの文脈では外せない一枚で、「God Make Me Funky」のような曲を通じてヒップホップ以降にも影響を残した。1970年代のフュージョンを、技巧の誇示ではなくリズムの持続で組み立てた作品として、その役割はかなり明確なものになっている。
トラックリスト
- A1 God Make Me Funky 9:35
- A2 Mugic 3:31
- A3 Here And Now 7:07
- B1 Daffy's Dance 6:05
- B2 Rima 8:14
- B3 If You've Got It, You'll Get It 6:26