The Cure - Seventeen Seconds (1980)
The Cure『Seventeen Seconds』
The Cureの2作目となる『Seventeen Seconds』は、1980年4月18日にUKで発表されたアルバムで、Fiction RecordsのFIX 004として出た初期作品だ。レーベル主宰のChris Parryがバンドに手持ちの曲をすべて録らせ、収録曲を自ら選んだ前作『Three Imaginary Boys』に対し、この作品ではRobert Smithが自分たちの音をより前面に出している。
制作背景・エピソード
転機になったのは1979年。SmithはSiouxsie and the Bansheesのツアーで約2か月、ギターの代役を務めた。この時期に、Smithによれば、ベーシストのMichael Dempseyは「XTCの続編」を望み、自分は「Bansheesの続編」を望んでいた。意見の違いからDempseyは脱退し、Simon Gallupがベース、Matthieu Hartleyがキーボードで加入した。両者ともThe Magazine Spiesのメンバーだった。
曲作りは、Crawleyの実家でテープレコーダー付きのハモンド・オルガンを使って進められた。Smithは制作中にNick Drake『Five Leaves Left』、Van Morrison『Astral Weeks』、David Bowie『Low』、Jimi Hendrix『Isle of Wight』をよく聴いていたという。本人は、Bowie、Nick Drake、Hendrix、Van Morrison、ハチャトゥリアンをつなぐような音楽を、できるだけ少ない楽器で作りたかったと語っている。
録音は1980年1月、ロンドンのMorgan Studios Studio Oneで行われ、録音からミックスまで約1週間で終えた。予算は2,000〜3,000ポンドほど。プロデュースはSmithと、前作でエンジニアを務めたMike Hedgesの共同で進められ、HedgesはSmithから「第三者が入るより、2人でやった方が自分の望むレコードにできる」と提案されたという。Parryはセッションからほぼ外れていた。メンバーは元教会だったスタジオの床で寝泊まりし、1日16〜17時間作業した。Hedgesは「あまりに内省的で、あまりに憂鬱で、全員参ってしまった」と振り返っている。
音作りでは、ドラムの各パーツにコンタクト・マイクを付けて音のかぶりを避け、部屋鳴りは後からリバーブやディレイで足した。Hedgesは、この乾いたドラムの音がアルバム全体のムードを決めたと振り返っている。Smithはキーボードに和音ではなく単音のラインを求め、複雑なコードを好むHartleyとの間に摩擦も生まれた。「A Forest」は最も手間をかけた曲で、Hedgesによれば多い時でフランジャーを7台同時に使い、最終日の多くをそのミックスに費やした。Parryはラジオ向けにすればヒットすると言ったが、Smithは当初の音像を保ったという。
「The Final Sound」は本来もっと長い曲になる予定だったが、テープが尽きてしまい、録り直しもできずに50秒ほどの短い曲になった。ジャケット写真は録音後の朝にAndrew Douglasが撮影し、Smithの指示でピンぼけのものが使われた。Tolhurstは、見た目より音楽に注意を向けてほしかったと説明している。
時代の文脈
『Seventeen Seconds』は、The Cureのキャリアの中で重要な分岐点に置かれる作品だ。前作を「大嫌いだ」とまで語っていたSmithは、2005年のデラックス盤ライナーで「ずっと『Seventeen Seconds』こそが僕らの最初のアルバムだと思ってきた」と書いている。実際、この作品の後、バンドは3人編成を軸に『Faith』(1981)、『Pornography』(1982)へと進み、より暗い方向へ向かっていく。
Simon Reynoldsは本作を「半透明な響き」と表現し、The Durutti Column、Young Marble Giants、Brian Enoの『Another Green World』との共通点を挙げている。公式サイトの経歴によれば、発売後のツアーの後、Hartleyは「バンドが自殺的で陰鬱な音楽に向かっていると気づいた。それにはまったく興味がなかった」として脱退した。
発売時の評価は割れた。デビュー作を酷評したPaul MorleyはNMEで「並外れたLP」と評し、Phil SutcliffeはSoundsで「青灰色のムードと感情」を称えた。一方でJames TrumanはMelody Makerで「陰気なテレビドラマのよう」と書いている。全英チャートではアルバムが20位、「A Forest」が31位を記録し、バンド初のチャート・ヒットとなった。バンドは「A Forest」で初めて『Top of the Pops』に出演した。
後世への影響
本作はゴシック・ロック初期の例として扱われることが多く、Jeff Apterはその「陰鬱な音の風景」をこのムーヴメントの「音の試金石」と呼んでいる。『死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚』にも選ばれ、Rolling Stoneの「1980年の名盤80枚」(2020)にも入っている。
とくに「A Forest」は、その後もThe Cureの代表曲として扱われ続けている。Smith自身が「典型的なキュアーのサウンド」と考える曲で、2025年時点で1,225回以上演奏され、バンド最多の演奏曲になっている。カバーも多く、Carpathian ForestやBehemothが取り上げ、Blank & Jonesの2004年版ではSmith本人が歌っている。Gallupは、この曲のベースラインの一部がThe StranglersのJean-Jacques Burnelから着想を得たと語っている。
この盤は、表面に軽い凹凸のあるスリーヴとFiction Recordsのカスタム・レーベルを持つUK盤。ランアウトに同じ「FIX 4」が刻まれたプレスが2種類あり、この盤は裏ジャケットが「FIX 004」表記、後のプレスは「FIXD 4」表記になっている。
トラックリスト
- A1 A Reflection 2:08
- A2 Play For Today 3:40
- A3 Secrets 3:19
- A4 In Your House 4:07
- A5 Three 2:36
- B6 The Final Sound 0:52
- B7 A Forest 5:54
- B8 M 3:03
- B9 At Night 5:54
- B10 Seventeen Seconds 4:00
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Cure(ザ・キュアー)は、1976年にイングランド南東部ウェスト・サセックス州クローリーで結成されたイギリスのロック・バンドだ。フロントマンの...
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