The Cure - Kiss Me Kiss Me Kiss Me (1987)
The Cure『Kiss Me Kiss Me Kiss Me』
1987年5月にフィクション・レコーズ(Fiction Records)からリリースされたThe Cure(ザ・キュアー)の通算7作目のスタジオ・アルバム。前作『The Head on the Door』(1985年)の世界的な成功を経て発表された本作は、2枚組LP・全18曲という堂々たるスケールを誇り、初期のダークなゴシック・ロックから極上のポップ、ファンク、サイケデリアまであらゆる音楽性を貪欲に飲み込んだキャリア中期の金字塔である。
制作背景・エピソード
レコーディングは南フランス・プロヴァンス地方の名門Studio Miraval(スタジオ・ミラヴァル)で行われた。バンドは数週間にわたりスタジオに滞在しながらリラックスした環境でセッションを重ね、プロデュースはロバート・スミス(Robert Smith)とデイヴ・M・アレン(Dave M. Allen)が共同で担当した。サックスのパート(アンドリュー・ブレネン参加)はバハマ・ナッソーのCompass Point Studiosでミックス作業中に録音され、最終ミックスはブリュッセルのICPスタジオで実施。マスタリングにはタウンハウス・スタジオでのダイレクト・メタル・マスタリング(DMM)技術が採用されている。
なお、UKオリジナル盤(FIXH 13)はピクチャー・ラベル仕様の2枚組LPで、光沢仕上げのシングルポケット・スリーブに収められている。
時代の文脈
1980年代前半のダークで救いのないポストパンク/ゴス・シーンを牽引してきたザ・キュアーだが、1980年代半ば以降はポップなメロディと実験性を高次元で両立させていった。『Kiss Me Kiss Me Kiss Me』はその多様性が極限まで開花した作品であり、重厚なワウ・ファズ・ギターが唸る怒涛のオープニング曲「The Kiss」から、エキゾチックで催眠的な「The Snakepit」、ホーンを取り入れた軽快なダンス・ナンバー「Why Can't I Be You?」まで、万華鏡のように表情を変える楽曲群が並ぶ。
本作はイギリス国内(全英アルバムチャート6位)にとどまらず、アメリカのメインストリーム・シーンにおいても決定的な商業的ブレイクスルーを果たした。米ビルボード200で35位を記録し、バンドにとって初となる全米トップ40入りとプラチナム認定(100万枚出荷)を達成した。
後世への影響・サウンドの評価
本作の最大のハイライトであるシングル「Just Like Heaven」は、みずみずしいギターリフと完璧なポップ・メロディを持つ不朽の名曲として世代を超えて愛され、ダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)による名カバーをはじめ無数の後続アーティストに影響を与え続けている。同曲は全米シングルチャート(Hot 100)でも40位にランクインし、アメリカでのキュアー人気を決定づけた。
AllMusicのスティーヴン・トーマス・アールワイン(Stephen Thomas Erlewine)は、本作を「バンド史上最も親しみやすく、同時に最も野心的な作品」と評し、ロバート・スミスが持ち前のポップ・センスと壮大なギター・アンサンブルを惜しみなく注ぎ込んだ大作として称賛している。本作で獲得した国際的な名声とスケール感は、次作の世界的メガヒット作『Disintegration』(1989年)でのスタジアム級の成功へと直結していった。
トラックリスト
- A1 The Kiss
- A2 Catch
- A3 Torture
- A4 If Only Tonight We Could Sleep
- B1 Why Can't I Be You?
- B2 How Beautiful You Are...
- B3 The Snakepit
- B4 Hey You!!!
- C1 Just Like Heaven
- C2 All I Want
- C3 Hot Hot Hot!!!
- C4 One More Time
- C5 Like Cockatoos
- D1 Icing Sugar
- D2 The Perfect Girl
- D3 A Thousand Hours
- D4 Shiver And Shake
- D5 Fight
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Cure(ザ・キュアー)は、1976年にイングランド南東部ウェスト・サセックス州クローリーで結成されたイギリスのロック・バンドだ。フロントマンの...
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