The Impressions - This Is My Country (1968)
The Impressions『This Is My Country』について
The Impressions(ジ・インプレッションズ)が1968年11月に発表したスタジオ・アルバム『This Is My Country』は、リーダーであり稀代のソングライターであったCurtis Mayfield(カーティス・メイフィールド)がマネージャーのエディ・トーマスとともに設立したインディペンデント・レーベル「Curtom Records(カートム)」の記念すべき第1弾LP(カタログ番号CRS-8001)である。大手ABCレコードから独立し、自ら原盤権と出版権を掌握したメイフィールドの先駆的なビジネス的決断と、公民権運動が激化した時代への鋭いレスポンスが結実した、ソウル・ミュージック史上に燦然と輝く金字塔である。
制作背景・エピソード
本作のサウンドを形作ったのは、長年インプレッションズを支えてきた名匠Johnny Pate(ジョニー・ペイト)による流麗かつダイナミックなオーケストレーションである。さらに本作には、当時ハワード大学を卒業したばかりでまだ無名に近かった若き天才Donny Hathaway(ダニー・ハサウェイ)がアレンジャー/ソングライターとして深く関与した。ダニー・ハサウェイは、カーティスおよび後にインプレッションズのリードを継承するリロイ・ハトソン(Leroy Hutson)と共作した名曲「Gone Away」や、「You Want Somebody Else」などを手掛け、洗練を極めたシカゴ・ソウルのサウンドスケープに豊かな音楽的滋養をもたらした。
表題曲「This Is My Country」は、キング牧師暗殺に揺れた1968年のアメリカ社会において、300年以上にわたり奴隷労働と汗によってこの国の礎を築いてきた黒人たちの正当な権利と誇りを堂々と宣言したプロテスト・ソングである。怒りを剥き出しにするのではなく、誇り高く甘美なメロディに乗せて静かに真実を突きつけるカーティス流のメッセージ・ソングの最高到達点となった。
時代の文脈
1968年は公民権運動が大きな岐路を迎え、ブラック・パワー・ムーブメントが全米を覆った激動の年であった。本作は、前作のヒット曲「We're a Winner」に続き、黒人コミュニティの自尊心と連帯を力強く鼓舞した。黒人ミュージシャン自らがレコード会社を設立し、クリエイティブとビジネスの両面で完全な自立を果たしたカーティスの姿勢は、ブラック・キャピタリズム(経済的自立)の象徴としても社会に絶大な勇気を与えた。
アルバムは米ビルボードのトップR&Bアルバム・チャートで19位を記録。シングル・カットされた「Fool For You」が全米R&Bチャート3位(総合Hot 100で22位)、「This Is My Country」がR&Bチャート8位(総合Hot 100で25位)のスマッシュ・ヒットを記録し、新設レーベルの門出を華々しく飾った。
音楽的特徴と後世への影響
本作は、1960年代のシカゴ・スウィート・ソウルから、1970年代のニュー・ソウル/コンシャス・ソウルへの決定的な架け橋となった。ジョニー・ペイトとダニー・ハサウェイの手腕によるホーンやストリングスの端正な響き、カーティスならではの繊細なカッティング・ギター、そしてFred Cash、Sam Goodenとの三位一体による至福のヴォーカル・ハーモニーは、甘美さとメッセージ性の奇跡的な調和を成している。
カーティスが切り拓いた社会意識に満ちたソウル・ミュージックの地平は、Marvin Gayeの『What's Going On』やStevie Wonderの諸作に決定的な影響を与えた。また「Gone Away」はGladys Knight & The Pipsら数多くのアーティストにカヴァーされたほか、90年代以降のヒップホップやネオ・ソウル世代にも繰り返しサンプリングされ、時代を超えたクラシックとして今なお熱烈に愛され続けている。
トラックリスト
- A1 They Don't Know 2:45
- A2 Stay Close To Me 2:02
- A3 I'm Loving Nothing 2:27
- A4 Loves Happening 3:07
- A5 Gone Away 3:42
- B1 You Want Somebody Else 3:10
- B2 So Unusual 2:55
- B3 My Woman's Love 2:58
- B4 Fool For You 2:50
- B5 This Is My Country 2:47
動画プレイリスト
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The Impressions - They Don't Know
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The Impressions - Stay Close to Me
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The Impressions - I'm Loving Nothing
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The Impressions - Love's Happening
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The Impressions - Gone Away
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The Impressions - You Want Somebody Else
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The Impressions - So Unusual
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The Impressions - My Woman's Love
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The Impressions - Fool for You
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10. The Impressions - This is My Country
このアーティストについて
The Impressions(ジ・インプレッションズ)は、1958年にアメリカ・イリノイ州シカゴで結成された伝説的ソウル/R&Bボーカル・グループ。洗練され...
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