Tim Bowness - Powder Dry (2024)
Tim Bowness『Powder Dry』
Tim Bownessのソロ8作目となる『Powder Dry』は、Kscope移籍第1弾として2024年に登場した作品だ。本人が作詞、作曲、演奏、プロデュースまで単独で担い、Steven Wilsonがステレオとサラウンドのミックスを担当している。No-Manで知られるBownessが、自身のソロ作としてここまで一人で組み立てた点がまず目を引く。
制作背景・エピソード
Bownessは本作を「最も実験的なアルバム」と位置づけ、10代の頃に惹かれた80年代初頭のポストパンクやエレクトロポップ、具体的にはJoy Division、The Cure、The Theなどへの回帰だと語っている。制作の出発点は「つかの間の感情をできるだけ正確に捉える」ことにあり、「Rock Hudson」は暗い気分から生まれた曲だという。アルバムには2分前後の短い曲が多く、従来の“じっくり積み上げる”作風を意図的に崩している点も特徴になっている。
録音はイングランドのウィルトシャーにあるMiddle Rankで2022年11月から2024年2月にかけて行われ、ミックスはロンドンのNo Man’s Landで2023年3月から2024年3月にかけて進められた。収録曲のクレジットでは、全曲がReal World Works Ltd./Sony/ATV Music出版となっている。Kscopeの紹介では、「Lost/Not Lost」は率直なエレクトロポップ、「When Summer Comes」は処理されたピアノとメロトロンのフルート、ほろ苦いヴォーカルを備えた映画音楽のようなバラードとして説明されている。
なお、Rough TradeのUK店舗ではサイン入りアートプリント付きの限定版として案内されたが、実際にはBurning Shedで初回分に付属していたものと同じプリントだった、という記録も残っている。盤面のシュリンクには「kscope1242」のステッカーが貼られていた。
時代の文脈
『Powder Dry』は、長く続いてきたNo-Man的な室内的で耽美的なサウンドから少し距離を取り、短く鋭いポップと実験性を前に出した作品として紹介されている。Louderのレビューでは、Bownessを「epic melancholyの達人」と見てきた人には驚きのある内容だと評され、37年に及ぶキャリアの中での転換点として扱われた。Bowness本人も、Kscopeがポスト・プログレッシブ系の拠点として知られていることと、本作のダークで実験的な方向性が合っていると説明している。
また、Steven Wilsonはこの作品について「これまでで最も創造的」と述べ、特に“本当にソロ作品”である点を高く評価した。LouderのChris Robertsは、Bownessの声を「mellifluous(滑らかで美しい)」としつつ、1曲あたり約2分という短さがアルバム全体を刷新していると書いている。Kscopeの告知では、Classic Rockが8/10、Progが4.5/5、Record Collectorが「新たな始まり」と評したコメントも紹介された。
チャート
英国のチャートでは、Official Scottish Albumsで36位、Official Albums Salesで29位、Physical Albumsで28位、Rock & Metal Albumsで4位、Independent Albumsで12位、Progressive Albumsで6位を記録している。
トラックリスト
- A1 Rock Hudson 2:04
- A2 Lost / Not Lost 2:09
- A3 When Summer Comes 2:59
- A4 Idiots At Large 2:50
- A5 A Stand-Up For The Dying 4:59
- A6 Old Crawler 1:18
- A7 Heartbreak Notes 1:33
- A8 Ghost Of A Kiss 1:36
- B1 Summer Turned 2:06
- B2 You Can Always Disappear 2:38
- B3 Powder Dry 2:38
- B4 Films Of Our Youth 1:30
- B5 This Way Now 2:20
- B6 I Was There 4:07
- B7 The Film Of Our Youth 2:17
- B8 Built To Last 2:32
動画プレイリスト
このアーティストについて
Tim Bownessは、1963年11月29日にイングランドのウォリントンで生まれたシンガー・ソングライターで、ロックの中でもProg Rock、Art Rockの文脈で語ら...
Tim Bowness のプロフィール・作品一覧