Trikolon - Cluster (1969)
Trikolon『Cluster』(1969 / 2004 reissue)
Trikolonの『Cluster』は、1969年にドイツのオスナブリュックで録音された、バンド唯一のLPとして知られる作品だ。2004年にAmber SoundroomからLP再発されており、今回の盤はその再発盤にあたる。Trikolonは1967年結成のドイツ産サイケデリック・ロック・トリオで、後にHendrik Schaperを軸とする流れがTetragonへつながっていく前史にも位置づけられている。
作品の位置づけ
オリジナルの『Cluster』は、Raumpool Acousticで録音され、当時の私家盤としてごく少数だけ制作された作品として語られている。一般流通のアルバムというより、バンドの活動の記録に近い性格を持つ一枚で、のちの再発によって広く知られるようになった。Trikolonにとっては、単独作品であると同時に、その後のTetragonへ至る流れをたどるうえでの重要な記録でもある。
メンバーはHendrik Schaper、Ralf Schmieding、Rolf Rettbergの3人。中心にいるのはキーボードのHendrik Schaperで、彼のプレイが作品全体の輪郭を決めている。ギター、ベース、ドラムの基本編成に、キーボードが強く前へ出る構成で、当時のドイツのプログレ、サイケデリック・ロックの文脈に自然につながる。
音の内容
このアルバムでまず目を引くのは、オルガンの存在感だ。音数は多すぎず、演奏の隙間にキーボードが入り込み、曲の流れを押し進めていく。録音はライヴに近い空気を残していて、整いすぎたスタジオ作とは違う、演奏の勢いがそのまま出ている。ジャズ寄りの即興感、クラシック由来のフレーズ、ブルースの感触が一つの曲の中で行き来する場面もあり、単純なサイケデリック・ロックの枠には収まりにくい内容だ。
収録曲は4曲構成で、長めの展開を持つ曲では、オルガンとドラムのやり取りが前面に出る。とくに「Blue Rondo」として紹介される楽曲は、リズムの押し引きがはっきりしていて、バンドの演奏力が見えやすい。トランペットを含む変則的な色合いもあり、音の厚みは編成以上に感じられる。派手な装飾よりも、演奏の推進力で聴かせるタイプの作品だ。
同時代のドイツ・ロックとのつながり
1969年という時期を考えると、ドイツではサイケデリック・ロックからプログレッシブな方向へ移る動きが進んでいた。Trikolonの『Cluster』も、その流れの中にある。のちのクラウトロック的な実験性を先取りした作品群と比べると、よりバンド演奏の熱量が前に出ていて、まだロックのフォーマットを強く保っている。Hendrik Schaperの後年の活動まで視野に入れると、この作品は彼の鍵盤主導のスタイルが形になり始めた地点として見えてくる。
再発盤には写真のインサートが付属しており、オリジナル盤の記録性を補う作りになっている。Amber Soundroomは長く廃盤だったプログレ系LPの再発を得意とするドイツのレーベルで、この盤も180gの限定プレスとして出された。オリジナルと比べると、資料性を重視した再発という印象が強い。
まとめ
『Cluster』は、Trikolonという短命ながら重要な存在を示す記録盤であり、1969年当時のドイツ・サイケデリック・ロックの一側面をそのまま残した作品だ。完成度の高い名盤というより、演奏の現場感、鍵盤主導の構成、そして後年のTetragonへつながる流れを確認できる一枚として見ておきたい。再発盤であっても、その性格は大きく変わらず、当時の空気を濃く保ったまま聴ける内容になっている。
トラックリスト
- A1 In Search Of The Sun 14:31
- A2 Trumpet For Example 7:22
- B1 Hendrik's Easy Groove 11:05
- B2 Blue Rondo 10:30