Vent D'Est - Vent D'Est (1980)
Vent D’Est『Vent D’Est』
フランス、ストラスブールの5人組 Vent D’Est が1980年に残した唯一のアルバムが『Vent D’Est』。レーベルは Müsic'Al(OM 67017)で、ジャケットとレーベル表記には「Made in France」とある。確認できる範囲では、この作品はバンドのまとまった録音としては1枚きりの記録になっている。
制作背景・エピソード
Rock Made in France によると、Vent D’Est はジャン=リュック・ヴィソッキとクリスチャン・ドヴォがギター/歌、ジャン=リュック・ジーグラーがベース、ジャン=マルク・フィシェがドラム、パトリス・ヴィットが鍵盤という編成。スタジオは TN Productions、アレンジは Ksovreli Marina とされている。収録曲は民謡や既存曲の再構成が中心で、ジプシーや東欧色の強いレパートリーをまとめた内容として紹介されている。制作の核にあるのは、オリジナル曲だけで組み立てた作品ではなく、既存曲の素材を組み替えてアルバム化した点にある。
同じ資料では、長めのギター・ソロが前面に出る構成も触れられている。演奏面では、ギターと鍵盤を軸にした5人編成の役割分担が見えやすい作品として語られている。
時代の文脈
このアルバムは、1980年という時点で、すでにパンク以後の空気が強まっていた中で発表された。Rock Made in France は、その状況のなかであえてプログレッシブ・ロックの作法で作品を出した点を特徴として挙げている。紹介文では、フランスのメロディックなシンフォニック・プログレの流れに置かれ、Atoll や Cortex のあいだに置ける作品としても言及されている。
別の評では、アンジュやモナ・リザを参照点にしつつ、よりポップ寄りで、西海岸風の軽やかさもあるとされている。つまり、重厚な一方向ではなく、フランスのプログレ文脈の中で、ジャズ・ロックやポップの要素も交えた作品として見られている。2022年のブログ評では「1980年には少し時代遅れ」とも書かれており、その“時代とのずれ”も含めて語られている。
後世への影響
今回確認できた範囲では、明確なカバー、サンプリング、後続アーティストへの直接的な影響は見つかっていない。再評価の大きな波についても、具体的な記録は確認できなかった。商業的なヒットやチャート実績の情報も見当たらず、作品としては「唯一のアルバム」という位置づけが前面に出ている。
その一方で、Rock Made in France では「今でも十分楽しめる」と評されている。評価の中心は、プログレ、ジャズ・ロック、ポップをまたぐ構成と、長尺のギター・ソロ、そしてフランス的な叙情を持つシンフォニック・プログレとしてのまとまりに置かれている。
1980年のフランスで、民謡や既存曲の再構成を軸に、ストラスブールの5人組が残した1枚。後年の広い影響関係はまだ見えにくいが、資料上は、時代の流れの中で旧来のプログレの形式を保った作品として記録されている。
トラックリスト
- A1 Traveller
- A2 La Toile
- A3 Your Eyes
- A4 La Dame En Noir
- B1 La Madonne Des Sleepings
- B2 California's Calling
- B3 Eastwind
- B4 Nighttime