Genesis - The Lamb Lies Down On Broadway (1974)
Genesis『The Lamb Lies Down On Broadway』(1974)レビュー
Genesisの6作目にあたる『The Lamb Lies Down On Broadway』は、1974年11月にUKのCharismaから出た2枚組アルバムだ。Peter Gabriel在籍時の最後のスタジオ作でもあり、バンドの初期を締めくくる作品として位置づけられている。プログレッシヴ・ロックの代表作として語られることが多いが、内容は単なる長尺曲の集合ではなく、主人公Raelがニューヨークの地下世界をさまよう物語を軸にした、かなり明確なコンセプト・アルバムになっている。
この時期のGenesisは、複雑な曲構成、緻密な演奏、そしてGabrielの演劇的な歌唱と舞台表現で知られていた。本作でもその特徴はそのまま残りつつ、過去作よりも物語性が強く、曲同士のつながりも濃い。作詞はGabrielが単独で担当していて、ここが以前の共作中心の作品群と少し違うところだ。制作当時はメンバー間の緊張も伝えられているが、音だけを追うと、その緊張感が作品の密度につながっている印象がある。
制作と録音の背景
曲作りはハンプシャーのHeadley Grangeで進められ、録音は1974年8月から10月にかけて、ウェールズのGlaspant Manorに持ち込まれたIsland Mobile Studioで行われた。プロデュースはJohn Burnsとバンド自身。Brian Enoが参加し、ヴォーカルに電子的な処理を加えている点も重要だ。クレジット上は「Enossification」と記されている。
ジャケットはHipgnosisによるもので、モノクロ写真を使ったストーリーボードのような構成が印象に残る。アール・デコ調の新しいGenesisロゴもこの作品で使われた。UK初回盤はマットな見開きジャケットで、CG1とCG2の番号が入った歌詞・クレジット入りの内袋付き。ラベルはCharismaの“Mad Hatter”デザインで、A-2U/B-2Uという初期のランアウトを持つ盤が知られている。
曲の流れと聴きどころ
全体は2枚組らしく曲数が多いが、単独で存在感を持つ曲もある。「Counting Out Time」は比較的わかりやすいリズムとユーモアを持った曲で、アルバムの中でも耳に残りやすい。「The Carpet Crawlers」は後年までバンドの代表曲として扱われ、静かな旋律と反復の強さが際立つ。「The Lamb Lies Down On Broadway」もタイトル曲として冒頭を飾るだけあって、作品全体の入口を作る役割がはっきりしている。
一方で、通して聴くと、各曲が独立しているというより、場面転換のように連なっていく。物語の進行に合わせて音の質感も変わり、硬いリフ、静かなパート、シンセやギターの細かな動きが入れ替わる。派手なメロディだけで押すタイプではなく、細部の積み重ねで引っ張る作りだ。聴き込むほどに、短い曲の中にも情報量が多いことがわかる。
作品の位置づけ
このアルバムは、Peter Gabrielが1975年8月に脱退する直前の最後のスタジオ作品でもある。ツアーでは全曲が演奏され、巨大なスライド映像やGabrielの衣装替えを含む演出で知られた。中でも「The Colony of Slippermen」での異形の姿は、この時代のGenesisを象徴する場面としてよく語られる。
発表当時の評価は一様ではなかったが、後年はプログレッシヴ・ロックの古典として定着した。Genesisの初期を支える要素、つまり構成の複雑さ、演劇性、物語性、そして演奏の精密さが、最も大きな形でまとまった作品として見られている。King CrimsonやYes、Van der Graaf Generatorなど同時代のプログレ勢と並べて語られることも多く、その中でも本作は特にコンセプトの強さで印象を残す。
まとめ
『The Lamb Lies Down On Broadway』は、Genesisのキャリアの中でも節目がはっきりした一枚だ。Gabriel期の集大成であり、同時に終わりの作品でもある。UKオリジナル盤はCharismaの“Mad Hatter”ラベル、B & Cによるマーケティング表記、そして内袋や歌詞表記の細かな違いまで含めて、1974年当時の空気をそのまま閉じ込めたような仕様になっている。音楽面では、物語を追いながら聴く楽しさと、断片を拾い集める楽しさの両方がある作品だ。
トラックリスト
- A1 The Lamb Lies Down On Broadway
- A2 Fly On A Windshield
- A3 Broadway Melody Of 1974
- A4 Cuckoo Cocoon
- A5 In The Cage
- A6 The Grand Parade Of Lifeless Packaging
- B1 Back In N.Y.C.
- B2 Hairless Heart
- B3 Counting Out Time
- B4 The Carpet Crawlers
- B5 The Chamber Of 32 Doors
- C1 Lilywhite Lilith
- C2 The Waiting Room
- C3 Anyway
- C4 Here Comes The Supernatural Anaesthetist
- C5 The Lamia
- C6 Silent Sorrow In Empty Boats
- The Colony Of Slippermen
- D2 Ravine
- D3 The Light Dies Down On Broadway
- D4 Riding The Scree
- D5 In The Rapids
- D6 It
動画プレイリスト
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Genesis - The Lamb Lies Down On Broadway (Official Audio)
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Genesis - Fly On A Windshield (Official Audio)
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Genesis - Broadway Melody Of 1974 (Official Audio)
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Genesis - Cuckoo Cocoon (Official Audio)
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Genesis - In The Cage (Official Audio)
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Genesis - The Grand Parade Of Lifeless Packaging (Official Audio)
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Genesis - Back In NYC (Official Audio)
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Genesis - Hairless Heart (Official Audio)
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Genesis - Counting Out Time (Official Audio)
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Genesis - Carpet Crawlers (Official Audio)
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Genesis - The Chamber Of 32 Doors (Official Audio)
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Genesis - Lilywhite Lilith (Official Audio)
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Genesis - The Waiting Room (Official Audio)
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Genesis - Anyway (Official Audio)
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Genesis - Here Comes The Supernatural Anaesthetist (Official Audio)
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Genesis - The Lamia (Official Audio)
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Genesis - Silent Sorrow In Empty Boats (Official Audio)
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Genesis - The Colony Of Slippermen (Official Audio)
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Genesis - Ravine (Official Audio)
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Genesis - The Light Dies Down On Broadway (Official Audio)
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Genesis - Riding The Scree (Official Audio)
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Genesis - In The Rapids (Official Audio)
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Genesis - It (Official Audio)
このアーティストについて
Genesisは、1967年にイギリス・サリー州ゴダルミングのチャーターハウス・スクールで結成されたロック・バンドだ。プログレッシブ・ロックの文脈で語...
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