Wapassou - Wapassou (1973)
Wapassou 1973

Wapassou - Wapassou (1973)

Rock Prog Rock

Wapassou / Wapassou(1973年作品、1987年フランス盤)

フランス、ストラスブール発のプログレッシブ・ロック・グループ、Wapassouのデビュー作。1973年に録音された本作は、ギター、ヴァイオリン、キーボードを中心に据えた編成で、一般的なロック・バンドの推進力よりも、組曲的な展開と音の重なりで聴かせるタイプのアルバムだ。バンドの初期作品として位置づけられる一枚であり、のちの作品群につながる独自性の土台がここで形になっている。

静かな立ち上がりから、長尺曲で広がる構成

このアルバムは、前半の室内楽的な運びと、後半で少しずつロック色を強めていく流れが印象に残る。特に「Rien」「Trip」といった長めの曲では、旋律の受け渡しや楽器同士の間合いがはっきりしていて、単純に音を厚くするのではなく、少ない要素を丁寧に積み上げていく作りになっている。打楽器の主張が前面に出る場面は少なく、ヴァイオリンとギターが曲の輪郭を作り、キーボードがその隙間を埋めるように入ってくる。

聴感上の特徴としては、リズムで押し切る場面よりも、フレーズの反復や音色の切り替えで場面転換を作る点が目立つ。初期Pink Floyd、Amon Düül II、Ash Ra Tempelのような70年代前半の実験性を思わせる要素はあるが、Wapassouの本作はそこに室内楽の感覚を混ぜたようなまとまりがある。ロックの形式に寄りかかりすぎず、クラシック寄りの構成感を持った作品として聴こえる。

バンドの出発点としての意味

Wapassouは1970年代初頭にストラスブールで結成されたグループで、初期の活動ではフレディ・ブルアが作曲面の中心を担っていたとされる。本作は、その後の長い組曲形式や、ギター、ヴァイオリン、キーボード、女性ヴォーカルを軸にした独自のスタイルへつながる出発点にあたる。のちのアルバム群ではさらに構成が整理され、方向性も変化していくが、このデビュー作には、まだ手探りの段階ならではの生々しさが残る。

同時代のフランス・プログレの中でも、Wapassouはかなり異色の存在として扱われてきた。派手な技巧や分厚いコーラスで押すタイプではなく、音数を絞ったまま長い曲を成立させるところに個性がある。フランス産のプログレというと、Magmaのような強い様式性や、Atollのような劇的な展開が思い浮かびやすいが、Wapassouはそこから少し外れた場所にいる。

1987年フランス盤について

今回の盤はOmega Studioのフランス盤で、Wotre Music向けの再発として出たもの。ジャケットやラベルには「Made in France」の表記があり、スリーヴにはPhilippe Brassartのクレジットと「Dernières Nouvelles de Strasbourg」という記載が入っている。オリジナル期の作品を80年代後半に改めて流通させた一枚で、初出当時の空気をそのまま持つというより、後年の再評価の流れの中で手に取りやすくした盤と見てよさそうだ。

レーベルのOmega Studioは、ストラスブールの録音スタジオ兼レーベルとして、70年代後半から80年代前半にかけてプログレやフュージョン、地元アーティスト作品を数多く出していた。Wapassouの再発もその文脈の中にあり、フランス地方都市の音楽シーンを支えた小規模レーベルの仕事としても興味深い。

まとめ

Wapassouの『Wapassou』は、フランス産プログレの中でも、ロックの基本形をそのままなぞらない作品だ。ギター、ヴァイオリン、キーボードの編成が作る線の細い緊張感、長尺曲の中で少しずつ景色が変わっていく構成、そして打楽器に頼りすぎない進行が、このアルバムの核になっている。デビュー作としての初期衝動と、のちの独自路線の芽が同居した一枚。70年代前半のフランス・プログレを掘るうえで、外せない位置にある作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Mélopée 4:02
  2. A2 Rein 10:38
  3. A3 Musillusion (Wapassou) 4:00
  4. B1 Châtiment 6:54
  5. B2 Trip 13:41

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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