War - All Day Music (1971)
War『All Day Music』(1971)
Warの『All Day Music』は、1971年にUSのUnited Artists Recordsから発表された4作目のアルバムである。まだ「War」という名前が前面に出る前の共同名義期を経て、バンドが独立した形で歩み始める重要な時期の作品にあたる。ソウル、R&B、ファンクを土台にしながら、演奏の間合いや反復の作り方に独特の粘りがあり、後の大きな成功作へつながる流れがこの段階でかなり見えている。
バンドの輪郭がはっきりしてくる時期の一枚
Warは南カリフォルニアで結成されたラテン色の強いファンク・グループで、もともとはR&Bカバー・バンドの流れから生まれた。プロデューサーのジェリー・ゴールドスタインが彼らを見出し、エリック・バードンとの共演を経て、独立したバンドとして活動を進めていく。本作はその過程で出たアルバムで、翌1972年の『The World Is a Ghetto』の前段階にある。
制作はサンフランシスコのWally Heider Recording Studio、ロサンゼルスのCrystal Studiosなどで行われ、リモート録音も取り入れられている。クレジットを見ると、プロデューサーのジェリー・ゴールドスタインとクリス・ヒューストンに加え、メンバー自身が作編曲に深く関わっている点が目立つ。外部のプロデュースだけで押し切るのではなく、演奏集団としての輪郭をそのまま記録した作りである。
収録曲とシングルの動き
先行シングルとして表題曲「All Day Music」が1971年7月に発表され、その後「Slippin' Into Darkness」が同年11月にリリースされた。「Slippin' Into Darkness」は、バードン脱退後のWarにとって初めて大きく広がった代表曲で、Billboard Hot 100で22週チャートインした。1972年の年間ソング・チャートでは23位を記録し、ゴールド認定も受けている。アルバム全体の知名度を押し上げた曲として、かなり重要な位置にある。
実際に聴くと、「Slippin' Into Darkness」は低く構えたリズムと反復の強さが前に出る曲で、派手な展開よりもグルーヴの持続で引っ張っていく作りになっている。ホーンやパーカッションの入り方も細かく、演奏が少しずつ熱を帯びていく感触がある。「All Day Music」も同じく、メロディを大きく誇張せずに、曲全体の流れの中で耳に残すタイプのナンバーである。
サウンドの特徴
このアルバムの核にあるのは、ファンクとプログレッシブ・ソウルの接点にあるような演奏感である。Warの音楽は、後年の「Low Rider」や『The World Is a Ghetto』で知られることが多いが、『All Day Music』ではその前段階として、まだ荒さの残るバンド・サウンドがそのまま収められている。リズムの置き方、ベースの粘り、ホーンの応答、ハーモニカの差し込み方など、各パートがはっきり役割を持っていて、曲が進むにつれ輪郭が固まっていく印象がある。
同時代のファンクやソウルと比べると、いわゆるヒット狙いの整った作りよりも、演奏の現場感が前に出ている。Sly and the Family StoneやCurtis Mayfield、The Isley Brothersのような同時代の黒人音楽の流れの中でも、Warはよりバンド内部のグルーヴで押す側にいる。ラテン的なニュアンスや長めの反復も含めて、のちにヒップホップでサンプリングされる要素がすでに見える。
作品の位置づけ
『All Day Music』は、Warが単なるバック・バンドや共同名義の延長ではなく、自分たちの名前で機能するグループへ移っていく節目の作品である。商業的な大成功はまだ先だが、ここで示された演奏の設計や曲の運び方が、翌年以降の大きな飛躍につながっている。批評面でも評価は高く、後の代表作へ向かう橋渡しとして扱われることが多い。
また、このアルバムは1971年のUS盤で、カバーには折りたたみポスターが付属していた。レーベルはUnited Artists Records、品番はUAS-5546。録音場所や制作クレジットまで含めて見ると、当時のWarがどのようにスタジオ作業とライブ感の両方を扱っていたかが伝わってくる一枚である。
トラックリスト
- A1 All Day Music 4:04
- A2 Get Down 4:29
- A3 That's What Love Will Do 7:17
- A4 There Must Be A Reason 3:50
- B1 Nappy Head (Theme From "Ghetto Man") 6:05
- B2 Slippin' Into Darkness 7:00
- B3 Baby Brother 7:38