ZZ Top - Eliminator (1983)
ZZ Top 1983

ZZ Top - Eliminator (1983)

Rock Pop Rock

ZZ Top『Eliminator』(1983年・US盤)

ZZ Topの8作目にあたる『Eliminator』は、1983年3月に発表されたアルバムで、バンドのキャリアの中でも特に大きな転機になった作品だ。テキサス州ヒューストン出身のトリオが、それまでのブルース色の強いロックから一歩踏み出し、シンセサイザーやドラムマシンを前面に押し出してヒット作へ到達した流れが、この1枚にははっきり刻まれている。US盤はWarner Bros. Recordsからのリリースで、あの改造1933年型フォード・クーペ「エリミネーター」を配したジャケットも印象的だ。

作品の位置づけ

ZZ Topは1970年代から、ギターリフ、乾いたグルーヴ、ダブル・ミーニングを交えた歌詞で独自の地位を築いてきたバンドだが、『Eliminator』ではその持ち味を保ちながら、80年代前半の空気を強く取り込んでいる。制作はフランク・ビアードの自宅スタジオを起点に、メンフィスのArdent Studiosやテリー・マニングの自宅スタジオで進められた。ここでの大きな変化は、打ち込み的なビート感とシンセの導入。バンドの骨格は三人組のロックのままだが、音像はかなり整えられている。

この方向性を後押ししたのが、プリプロダクションで関わったリンデン・ハドソンだ。楽曲のテンポ設計に関わったとされ、後年にはクレジットをめぐる訴訟も起きた。制作の裏側まで含めると、『Eliminator』は単なる“売れ線への接近”ではなく、時代の制作手法を取り込みながら完成したアルバムとして見えてくる。

収録曲とヒット曲

この作品を語るうえで外せないのが、「Gimme All Your Lovin'」「Sharp Dressed Man」「Legs」の3曲だ。いずれもMTVで大量に放送されたミュージックビデオと結びつき、ZZ Topを一気に全米規模の存在へ押し上げた。特にこの3本は“エリミネーター三部作”として知られ、ジャケットの車を軸にした演出が共通している。

「Gimme All Your Lovin'」は、冒頭からリフとリズムの噛み合わせが明快で、曲の輪郭がすぐに立ち上がる。「Sharp Dressed Man」は、軽快な推進力とコーラスの抜けが強く、80年代的なラジオ向けの手触りがある。「Legs」は全米Hot 100で自己最高の8位を記録し、アルバムの中でも最も広く知られた一曲になった。ほかにも「Got Me Under Pressure」や「TV Dinners」など、硬質なギターと機械的なビートの折り合いが面白い曲が並ぶ。

聴感上の印象

実際に耳を通すと、まず感じるのは音の整理のされ方だ。70年代のZZ Topにある土臭さやラフな揺れは残しつつ、各パートの配置がかなり明確で、リズムの芯が前に出ている。ギターは分厚いが、過剰に暴れない。ベースとドラムの反復が曲を引っ張り、その上でビリー・ギボンズのギターが短いフレーズを重ねる構図。派手さはあるが、音数で押すタイプではない。

シンセやドラムマシンの使い方も、当時のポップ・ロックの中ではかなり実用的だ。装飾として置くのではなく、リフを支える土台として機能しているため、曲の推進力が落ちにくい。80年代のハードロックやアリーナ向けロックの中でも、ZZ Topらしい乾いたユーモアと整然とした音作りが同居しているのが面白いところだ。

USオリジナル盤について

このUS盤はWarner Bros. Recordsの1983年リリースで、ラベル表記は白地に大きなWBシールド、背景に薄いシールドが浮かぶ時期のデザインに当たる。78年から83年初頭に見られたタン系ラベルから切り替わった後の仕様で、80年代前半のWarner Bros.らしい見た目だ。盤面の情報としては、BurbankのWarner Blvd.表記や1983年の著作権・製造表記が入り、当時のUSプレスらしいまとまりがある。

時代背景と影響

『Eliminator』が出た1983年は、MTVの存在感が急速に増した時期でもある。音だけでなく、映像込みで楽曲が広く流通する環境の中で、このアルバムは非常に強く機能した。ブルース・ロックの基盤を持つバンドが、ニューウェーブやダンス・ロックの感覚も取り込みながら大きな商業的成功を収めた例として、同時代のロックの変化をよく示している。

結果として本作は、Billboard 200で9位を記録し、全米だけで1000万枚を超えるセールスを残した。ZZ Topにとって最大のヒット作であり、バンドの代表作として定着した1枚だ。ブルース由来の骨格、80年代的な録音感、MTV時代の視覚イメージ、その3つがきれいに噛み合ったアルバムとして記憶されている。

トラックリスト

  1. A1 Gimme All Your Lovin' 3:59
  2. A2 Got Me Under Pressure 3:59
  3. A3 Sharp Dressed Man 4:13
  4. A4 I Need You Tonight 6:14
  5. A5 I Got The Six 2:52
  6. B1 Legs 3:33
  7. B2 Thug 4:17
  8. B3 TV Dinners 3:50
  9. B4 Dirty Dog 4:05
  10. B5 If I Could Only Flag Her Down 3:40
  11. B6 Bad Girl 3:16

動画プレイリスト

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