Aerosmith - Permanent Vacation (1987)
Aerosmith『Permanent Vacation』(1987)
アメリカを代表するハード・ロック・バンド、エアロスミス(Aerosmith)が1987年8月にゲフィン・レコード(Geffen Records)から発表した通算9作目のスタジオ・アルバム。深刻な薬物依存と長期の低迷を乗り越え、バンド史上最大の奇跡的カムバックを果たした記念碑的一枚である。ビルボード200で11位を記録し、全米だけで500万枚(5×プラチナ)を超える大ヒットを達成した。
制作背景と完全なシラフでの復活
復活劇を主導したのは、ゲフィンの名物A&Rマンであるジョン・カロドナー(John Kalodner)。メンバー全員がリハビリを経て完全なシラフ(素面)の状態でカナダ・バンクーバーのリトル・マウンテン・サウンド・スタジオ(Little Mountain Sound Studios)に入り、ボン・ジョヴィらで時代の頂点を極めたプロデューサーのブルース・フェアバーン(Bruce Fairbairn)、エンジニアのボブ・ロック(Bob Rock)とタッグを組んで録音を行った。
さらにカロドナーの強い後押しにより、外部ソングライターとしてデズモンド・チャイルド(Desmond Child)、ジム・ヴァランス(Jim Vallance)、ホリー・ナイト(Holly Knight)を招聘。スティーヴン・タイラー(Steven Tyler)とジョー・ペリー(Joe Perry)のブルージーな骨太ロックに、80年代らしい明快なメロディとフックが注入された。
時代の文脈とMTV世代への適応
1986年のRun-D.M.C.との「Walk This Way」のクロスオーバー・ヒットで息を吹き返したエアロスミスが、MTV全盛期のメインストリームに見事な適応を見せた。きらびやかなホーン・セクションや分厚いコーラスを導入し、スタジアム映えする華やかなサウンドを確立した。
モトリー・クルーのヴィンス・ニールとのエピソードから生まれた痛快な「Dude (Looks Like A Lady)」(全米14位)、デズモンド・チャイルドとの共作による壮大なパワー・バラード「Angel」(全米3位)、跳躍するシャッフル・ビートが炸裂する「Rag Doll」(全米17位)と、シングル・ヒットを連発。一方で「Hangman Jury」のような泥臭いルーツ・ブルースや、ビートルズのカバー「I'm Down」も収録し、バンド本来のブルース・ロック愛も色濃く残している。
評価と後世への影響
本作の商業的・批評的成功によってエアロスミスは「過去のレジェンド」から「現役最強のロック・モンスター」へと返り咲いた。ここでの成功体験と制作チームは、続くメガヒット作『Pump』(1989年)や『Get a Grip』(1993年)へと直結し、1990年代にかけての第2の黄金期を決定づけた。
トラックリスト
- A1 Heart's Done Time 4:42
- A2 Magic Touch 4:40
- A3 Rag Doll 4:21
- A4 Simoriah 3:21
- A5 Dude (Looks Like A Lady) 4:23
- A6 St. John 4:12
- B1 Hangman Jury 5:33
- B2 Girl Keeps Coming Apart 4:12
- B3 Angel 5:10
- B4 Permanent Vacation 4:52
- B5 I'm Down 2:20
- B6 The Movie 4:00