Allen Toussaint - Toussaint (1970)
Allen Toussaint『Toussaint』
ニューオーリンズ音楽の歴史を創り上げた至高のマエストロ、アラン・トゥーサン(Allen Toussaint)が1970年にScepter Recordsから発表したセカンド・ソロ・アルバム。後に『From a Whisper to a Scream』へと改題され再発されたことでも広く知られる本作は、1960年代を通じてリー・ドーシーやアーニー・K・ドウ、アーマ・トーマスらの名曲を手掛け、裏方としてニューオーリンズ・サウンドを確立してきた彼が、満を持してシンガー/ピアニストとしてフロントに立った記念碑的名盤である。
制作背景・エピソード
本作には、同郷ニューオーリンズの盟友ドクター・ジョン(Dr. John / Mac Rebennack)がオルガンおよびギターで参加。さらにフレディ・ステールやジョン・ブードローといった名ドラマー陣、そしてメリー・クレイトンやヴェネッタ・フィールズらのソウルフルなバック・ヴォーカルがトゥーサンの滋味深い歌声を支えている。
盟友マーシャル・シーホーンとともに築き上げたSansu Enterprisesの美学が細部にまで息づいており、自作自演による豊かなソングライティングと、緻密にしてレイドバックしたアレンジメントがスタジオ全体を支配している。
時代の文脈
1970年という時代は、Sansuのハウスバンドであったザ・ミーターズ(The Meters)が台頭し、ニューオーリンズ特有のセカンドライン・リズムを土台としたファンク革命がまさに世界へと波及し始めた瞬間であった。ロックやソウルが急速に先鋭化していく中で、トゥーサンはクレオール文化に根ざした泥臭いルーツ・ミュージックの感触を失うことなく、驚くほど知的でエレガントなピアノ・タッチと洗練されたホーン・アンサンブルを構築。独自の「バイユー・ファンク/ニューオーリンズ・ソウル」の様式美を見事に完成させた。
後世への影響とサウンドの聴きどころ
アルバム前半はトゥーサンの温かく語りかけるようなヴォーカル曲、後半は変幻自在のローリング・ピアノが唸るインストルメンタル・ファンクという構成が鮮やか。跳ねるビートに乗せて強烈なメッセージを放つ「From a Whisper to a Scream」をはじめ、リー・ドーシーへの提供曲を深みのあるセルフカバーで再構築した「Working in the Coal Mine」や「Everything I Do Gonna Be Funky」、ボニー・レイットが取り上げた「What Is Success」、そしてヴィンス・ガラルディの名曲を鮮やかに料理した「Cast Your Fate to the Wind」まで、息をのむ名演が連続する。
本作のサウンドと楽曲は、後にロバート・パーマーがトゥーサンとミーターズを迎えて制作した歴史的名作『Sneakin' Sally Through the Alley』をはじめ、リトル・フィートやザ・バンド、そしてエルヴィス・コステロ(2006年の共作名盤『The River in Reverse』)へと至る、ロック界のニューオーリンズ探求の決定的な道標となった。
トラックリスト
- A1 From A Whisper To A Scream 3:27
- A2 Chokin' Kind 3:23
- A3 Sweet Touch Of Love 3:20
- A4 What Is Success 3:34
- A5 Working In The Coal Mine 3:13
- B1 Everything I Do Gonna' Be Funky 3:12
- B2 Pickles 4:27
- B3 Louie 3:04
- B4 Either 2:52
- B5 Cast Your Fate To The Wind 3:19
動画プレイリスト
このアーティストについて
Allen Toussaint(アレン・トゥーサン)は、1938年1月14日にルイジアナ州ニューオーリンズで生まれた、アメリカのプロデューサー、ソングライター、ア...
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