Ananda Shankar - Ananda Shankar And His Music (1976)
アナンダ・シャンカール『Ananda Shankar And His Music』
アナンダ・シャンカールは、インドのシタール奏者で作曲家。父はウダイ・シャンカール、叔父にラヴィ・シャンカールという音楽一家に生まれた人物で、本作『Ananda Shankar And His Music』は1976年にインドのHis Master's Voiceから出たアルバムである。ジャケットには「I humbly dedicate this album to my father」とあり、父に捧げる作品として位置づけられている。
制作背景・エピソード
アナンダ・シャンカールは1960年代末に渡米し、ロサンゼルスでジミ・ヘンドリックスらと交流したのち、1970年に米Repriseから1stアルバムを発表している。その作品ではローリング・ストーンズやドアーズの楽曲を、シタールとモーグ・シンセサイザーでカバーして注目を集めた。そうした経緯のあとにインドへ戻り、1975年にインド現地レーベルのEMI/HMVから発表したのが本作である。
前作のようなカバー中心の構成から離れ、オリジナル楽曲を軸にした内容になっている。インドの古典音楽と欧米のファンク、サイケデリック・ロックを本格的に組み合わせたことが大きな特徴。カバー裏には父への献辞が記され、製造・流通はThe Gramophone Company of India Ltd.が手がけた。
時代の文脈
1960年代後半から1970年代にかけては、ジョージ・ハリスンやジョン・マクラフリンのように、西欧側のミュージシャンがインド音楽へ接近する動きが広がっていた。その流れの中で、アナンダ・シャンカールは逆方向の視点を担った存在として語られている。インド人アーティスト自身が、自国の伝統的な楽器や旋律をファンクや電子音楽のフォーマットに組み替えていく試みであり、東洋発のクロスオーバー/フュージョン音楽の先駆的な実践となった。
サウンド・聴きどころの評され方
シタール、タブラ、フルートといったインドの民族楽器に、太くうねるファンクのベースライン、ヘヴィなドラムビート、モーグ・シンセサイザー、歪んだファズギターが絡み合う、極上のサイケデリック・ファンクが展開される。
とりわけオープニングを飾る「Streets Of Calcutta(カルカッタの街角)」は、緊迫感あふれるシンセベースのうねりと疾走するシタール、タイトなビートが一体となったキラー・チューンとして名高い。また、ラストの「Dancing Drums」は、怒涛のドラムブレイクとパーカッション、パーカッシブなシタールのリフが交錯する圧倒的なフロア・アンセムとして語り継がれている。メロウで瞑想的な「The River」や幽玄な「Dawn」など、静と動のコントラストも秀逸だ。
後世への影響
1990年代に入ると、本作はロンドンのレアグルーヴ/アシッドジャズ・シーンや、デイヴィッド・マンキューソ(The Loft)ら地下クラブのDJたちによって掘り起こされ、熱狂的な再評価が進んだ。1996年のコンピレーション『Blue Juice Vol. 1』に「Streets Of Calcutta」と「Dancing Drums」が収録されたこともあり、ヒップホップDJやビートメイカーの間でサンプリング・ソース、あるいはダンスフロア向けの楽曲として渇望されるようになった。
さらに、1990年代後半の「Asian Underground」ムーヴメントでは、タルヴィン・シンやState of Bengalらの流れの中で精神的な先駆者として参照され、晩年にはState of Bengalとの共作アルバム『Walking On』(1999年)を発表。次世代のクラブカルチャーと直接的な架け橋となった。
レコードの注記では、ラベル上の「Nipper」ロゴが陰影のある描写になっており、カバー表記では1976年、ラベル表記では1975年のクレジットが確認できる。
トラックリスト
- A1 Streets Of Calcutta
- A2 Cyrus
- A3 The Lonely Rider
- A4 The River
- A5 Vidai (Parting)
- A6 Back Home
- B1 Dawn
- B2 Renunciation
- B3 Dancing Drums
動画プレイリスト
このアーティストについて
Ananda Shankar(アナンダ・シャンカール、1942年12月11日 - 1999年3月26日)は、インド・西ベンガル出身のシタール奏者/作編曲家。インド古典音楽の...
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