Jura Soundsystem - Transmission One (2018)
Jura Soundsystem 2018

Jura Soundsystem - Transmission One (2018)

Electronic Funk / Soul Reggae Latin Downtempo Ambient Disco Dub Psychedelic

Jura Soundsystem『Transmission One』について

『Transmission One』は、アデレード出身のKevin GriffithsによるJura Soundsystem名義で2018年にリリースされた作品で、本人が主宰するIsle Of Juraから登場した初のコンピレーションでもある。タイトルからもわかるように、単発のシングルや通常のアルバムというより、これまでに埋もれていた音源やVinyl初出の楽曲をまとめ、ひとつの流れとして聴かせる構成に重きが置かれた内容だ。レーベルの方針とも強く結びついた一枚で、失われた音楽の再発見というIsle Of Juraの姿勢が、そのまま作品の輪郭になっている。

収録内容は9曲で、70年代のライブラリー音源から、80〜90年代のダブ、エレクトロ、ニューウェイヴ、バレアリック系まで、年代も地域もまたぐ選曲になっている。ジャンル表記としてはElectronic、Reggae、Latin、Funk / Soulが挙げられ、スタイル面ではDub、Ambient、Downtempo、Psychedelic、Discoといった要素が並ぶ。こうした並びを見るだけでも、特定の時代や国に閉じない編集意識がはっきりしている。クラブ向けの即効性だけで押すのではなく、音の質感や間合い、曲順のつながりで聴かせるタイプのコンピレーションとして整理されている印象だ。

作品の位置づけ

Kevin Griffithsは2014年にロンドンからアデレードへ移住しており、その後の現地のヴィニール志向のDJ文化が、レーベル運営やこの作品の方向性に影響したと語っている。『Transmission One』は、そうした環境のなかで育った選曲眼をそのまま反映した作品と見てよさそうだ。本人は、未発表のまま埋もれていた音源を掘り起こし、Vinyl初出の曲を中心にまとめたと説明しており、単なるアーカイブ整理ではなく、自身のDJ感覚に沿って組み立てた“聴かせるアルバム”として構想されたことがうかがえる。

Jura Soundsystemという名義は、制作とDJの両面を担うKevin Griffithsの別働隊のような存在で、Isle Of Jura Recordsの活動とも密接につながっている。つまりこの作品は、アーティスト単独の名義作であると同時に、レーベルの美学を示す案内板のような役割も持っている。後年の再発発掘路線を理解するうえでも、かなり重要な入口になっている。

音の流れと文脈

この作品の面白さは、ひとつのジャンルに収まりきらないところにある。ダブの低音処理やエコーの使い方が前景に出る場面もあれば、ニューウェイヴ寄りの機械的なリズム感、あるいはディスコやバレアリックに通じる推進力が顔を出す場面もある。そこにライブラリー音源らしい機能性や、アンビエント的な空気の置き方が重なるので、単純な“レア音源集”とは少し違う聴き味になる。年代の違う音が並んでいても、編集の筋が通っているため、散漫さよりも連続性のほうが残りやすい。

Test Pressingはこの盤を、old sounds new and new sounds oldという感触を持つセレクションとして評価していた。確かに、古い音源をただ懐古的に並べるのではなく、現行の耳で聴いても輪郭が立つように組まれているのがこの作品の特徴だろう。特に終盤側に置かれたDJツール的な楽曲の扱いは、実際のフロア感覚を知る人間ならではの配置に見える。曲単体の主張より、流れの中で機能することが優先されている場面が多い。

当時の受け止められ方

2018年当時の評価は好意的で、年間ベストのコンピレーション候補に挙げる媒体もあった。主要チャート入りの記録は今回確認できた範囲では見当たらないが、専門メディアでの評価が作品の存在感を支えていたと言えそうだ。Isle Of Juraというレーベル自体が、広く流通する話題盤を追うというより、見落とされてきた音源を掘り起こして再配置することに価値を置いているので、この反応は自然でもある。

『Transmission One』は、Jura Soundsystemにとっての初のコンピレーションであり、同時にKevin Griffithsの選曲家としての輪郭を示した一枚でもある。レア音源の寄せ集めではなく、異なる時代の断片をDJの視点で接続した作品として、2018年のIsle Of Juraを代表するタイトルのひとつに数えられるだろう。

トラックリスト

  1. A1 Smackos We Can Watch Alf In The Hotel Room
  2. A2 Astral Engineering Seashore Dub
  3. A3 Minus Group Black Shadow
  4. B1 Ken Dang Born In Borneo (Jura Soundsystem Edit)
  5. B2 Trevor Bastow Integration
  6. C1 Kash Percussion Sundance
  7. C2 Tabou Combo Superstars Ooh La La (Jura Soundsystem Edit)
  8. D1 Blindboy Traumerei
  9. D2 MIx-O-Rap All Party People (Special Mix) (Go-Go Style)
  10. Jura Soundsystem Ambient Tools
  11. D3 Jura Soundsystem Jungle
  12. D4 Jura Soundsystem Ocean
  13. D5 Jura Soundsystem Time
  14. D6 Jura Soundsystem Pyramids

動画プレイリスト

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