France Joli - Now! (1982)
France Joli 1982

France Joli - Now! (1982)

Electronic Funk / Soul Boogie Soul Disco

France Joli『Now!』(1982)について

France Joliの『Now!』は、1982年にUSのPrelude Recordsから出た3作目のアルバムである。前年までのディスコ路線を引き継ぎつつ、ここではファンキーなソウル、ブギー寄りのダンス・サウンドへ重心を移している。カナダ・ケベック州出身の彼女は、1979年の「Come to Me」で早くから知られる存在になったが、本作はその後のキャリアの中で、単なるディスコ歌手ではない部分を前に出した作品として位置づけられる。

制作背景と録音環境

録音はニューヨークのSigma Sound Studiosで行われ、一部の曲はRight Track Studioでも録音されている。ミックスはAlpha International-Philadelphiaで実施され、制作面では複数のプロデューサーとアレンジャーが曲ごとに関わっている。クレジットを見ると、楽曲ごとに役割分担が細かく、当時のダンス・アルバムらしい作り込みがはっきりしている。ストリングスやホーンを含む編曲も厚く、クラブ向けの推進力と、ソウル・アルバムとしてのまとまりを両立させる構成になっている。

Prelude Recordsはニューヨークを拠点にしたインディペンデントのダンス・レーベルで、1970年代後半から1980年代半ばにかけて活動した。本作もそのレーベルの持ち味がよく出た一枚で、ダンス・チャートを意識したシングルと、アルバム全体の流れがしっかり結びついている。

代表曲「Gonna Get Over You」

このアルバムを語るうえで外せないのが「Gonna Get Over You」である。France Joliの代表曲の一つとして知られ、彼女の国際的な知名度を支えた楽曲だ。ここでは、初期の「Come to Me」で印象づけた伸びのある歌声に、よりタイトでリズミカルな感触が加わる。ディスコの華やかさを残しながら、ビートの押し出しが強く、80年代初頭のダンス・ソウルらしい輪郭が見える。

もう一曲の「Your Good Lovin'」もダンス・チャートで一定の成功を収めたとされる。アルバム全体の中では、ヒット曲だけが突出するのではなく、曲ごとに異なるプロデューサーの手触りが見える点が特徴になっている。特定の1曲だけで終わらず、アルバム単位で聴くと色の違いが分かる作りである。

France Joliのキャリアの中での位置づけ

France Joliは1963年生まれのカナダ出身シンガーで、幼いころから歌に親しみ、10代で「Come to Me」を録音した。あの曲は1979年に大きなヒットとなり、彼女の名前を一気に広めた。本作『Now!』は、その成功の延長線上にありながら、同じ型をなぞるだけではない。ディスコの枠に収まるよりも、ソウルやブギーの要素を強めて、歌手としての幅を見せる方向に進んでいる。

1984年には東京で開かれたWorld Popular Song FestivalでMost Outstanding Performance Awardを受賞しており、1980年代前半の彼女が国際的な舞台でも注目されていたことが分かる。『Now!』は、その時期の活動をつなぐ重要なアルバムとして見ることができる。

サウンドの印象

実際に聴くと、まず耳に入るのはリズムの明確さである。ベースとドラムが前に出て、そこにホーンやストリングスが重なる。音の密度は高いが、歌が埋もれる感じは少ない。France Joliの声は、明るさだけで押すのではなく、フレーズの切り方に少し柔らかさがある。そのため、ダンス・トラックの中でも単調になりにくい。

また、アルバム全体に80年代初頭らしい空気がある。70年代ディスコのきらびやかさを残しつつ、サウンドの芯はより引き締まっている。Prelude Records周辺の作品に共通する、フロア志向とソウル・ミュージックの感触が同居する作りで、同時代のダンス・シーンを追ううえでも興味深い一枚である。

オリジナル盤について

オリジナル盤には、マスタリング違いが2種類ある。ラベル下部の「Mastered by」表記とランアウトの識別情報で見分けられる仕様で、同じ1982年のUS盤でも細部が異なる。コレクションの観点では、この点も本作の面白さのひとつである。

まとめ

『Now!』は、France Joliがディスコの成功のあとにどの方向へ進んだかを示す作品である。ヒット曲「Gonna Get Over You」を軸にしながら、ソウル、ブギー、ダンス・ミュージックの要素をまとめたアルバムで、1982年という時期のクラブ・サウンドの輪郭がよく出ている。Prelude Recordsのカタログの中でも、彼女の歌とプロダクションのバランスが分かりやすい一枚として残っている。

トラックリスト

  1. A1 Your Good Lovin' 5:42
  2. A2 Gonna Get Over You 4:09
  3. A3 Can We Fall In Love Again 7:22
  4. A4 I Wanna Take A Chance On Love 6:18
  5. B1 Now 4:14
  6. B2 I'm Still Thinking Of You 3:37
  7. B3 I Need Someone 7:35
  8. B4 Everlasting Love 4:57

動画プレイリスト

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