Mops - Exit (1974)
ザ・モップス『Exit』について
ザ・モップスの『Exit』は、1974年に日本でリリースされたライブ盤で、同年4月23日に中野サンプラザで行われた「さよならコンサート」を収めた作品だ。グループ・サウンズ期から活動を続けてきた彼らにとって、事実上の最終作にあたる。1960年代後半のサイケデリック路線で知られるバンドが、70年代半ばの日本ロックの空気の中でどこに着地したのかを記録した一枚として見ておくと、位置づけがつかみやすい。
モップスは、初期にはベンチャーズ系のインストゥルメンタル色を土台にしつつ、のちにサイケデリック・バンドとして強く記憶された存在だ。『Exit』はその長い流れの最後尾に置かれた作品で、単なる回顧ではなく、活動の終わりをそのまま封じ込めた記録として機能している。タイトルも、その役割を端的に示すものになっている。
モップスの終幕を刻んだライヴ
この作品の核は、解散直前の空気感にある。スタジオ盤で作り込まれた音ではなく、ステージ上での演奏を収めたライブ盤なので、曲そのものよりも、演奏の流れやバンドのまとまり、会場の熱量が前に出る。ザ・モップスは、初期の荒っぽいガレージ感と、後年の整った演奏感の両方で語られることがあるが、『Exit』では後者の側面がはっきりしている。60年代の勢いだけで押す感じではなく、演奏の輪郭が整理され、バンドとしての年輪が見える内容だ。
同時代の日本ロックでは、はっぴいえんど周辺の言語感覚や、ブルースロック、フォークロックの流れが強くなっていた時期でもある。そうした中でモップスは、グループ・サウンズから出発したバンドが70年代にどう変化したかを示す存在として見られてきた。『Exit』は、その接続点を残した作品として扱われている。
作品の位置づけ
モップスの代表的なイメージは、やはり1968年の『Psychedelic Sound in Japan』にある。こちらはサイケデリック色の強いスタジオ作として知られ、「Someone to Love」「White Rabbit」「Light My Fire」などのカバーや、バンドの当時の方向性がよく出た内容で、グループ・サウンズの枠を越えた記録として評価されてきた。一方の『Exit』は、その路線の延長というより、長い活動の締めくくりに置かれた別の意味を持つ作品だ。
1971年の「Gekko Kamen (Moonlight Mask)」のようなヒットで一般層にも届いた時期を経て、1972年の「Tadoritsuitara Itsumo Amefuri」なども含め、モップスは時代ごとに音の重心を変えていった。その最後に置かれた『Exit』は、人気曲の再確認というより、バンドとしての最終到達点を記録する役割が強い。解散コンサートの記録という性格が、そのまま作品の輪郭になっている。
聴きどころとしてのライブ感
実際に聴くと、スタジオ盤よりも演奏の流れが見えやすい。曲間のつながり、バンドの呼吸、会場の反応がそのまま残るため、単独の名曲を並べたベスト盤とは違う手触りがある。モップスの音は、初期の粗さと後期の整いが同居してきたが、この盤では後者が前面に出て、終盤のバンドらしいまとまりを感じさせる。サイケデリック・バンドとしての印象だけでなく、70年代の日本ロックの中で演奏力を磨いてきたグループとしての顔が見える。
『Exit』は、モップスの歴史を総括する作品というより、活動の終わりを具体的な日付と会場名ごと残した資料性の高いライブ盤だ。グループ・サウンズ、サイケデリック、ブルースロックへと移っていった彼らの変化を、最後のステージという形で確認できる一枚である。
トラックリスト
- A1 Introduction
- A2 Walk Don’t Run
- A3 House Of The Rising Sun
- A4 San Francisco Night
- A5 I Love You
- A6 Somebody To Love
- A7 Asa-Made Matena
- A8 Purple Haze
- A9 Iijanaika
- A10 Tadoritsuitara Itsumo
- A11 Exit
- B1 Wara No Kotoba
- B2 I Want To Hold Your Hand
- B3 Boom Boom
- B4 Sea Of Joy
- B5 To Love Somebody
- B6 Nobody Cares
- B7 Asa Made Matenai