Buari - Buari (1975)
Buari『Buari』(1975)
ガーナ出身のパーカッショニスト/シンガー、シディク・ブアリ(Sidiku Buari)が1975年に米メジャーのRCAから発表したデビュー・アルバム。もとは陸上選手としてオール・アフリカ競技大会などで金・銀・銅メダルを獲得したトップアスリートであり、その競技実績を機に音楽奨学金を得て渡米したという異色の経歴を持つ。西アフリカ伝統の土着的なリズムとニューヨークの洗練されたファンク/ソウルが融合した、アフロ・ファンク/アフロ・ディスコ黎明期の金字塔である。
制作の経緯とNYセッション陣
録音の契機となったのは、留学先の音楽学校ヨーク・インスティテュートの指導員アーヴィン・メカニック(Irvin Mechanic)が、ブアリのガーナのガ語(Ga language)による歌唱とパーカッションに強い可能性を見出したことだった。アフリカの伝統的歌唱にアメリカの本格的なリズム・セクションを配し、米国のリスナーに提示するプロジェクトが動き出した。
レコーディングはニューヨークのオパール・スタジオ(Opal Studios)で行われ、ルー・ヘムジー(Lou Hemsey)がプロデュースとアレンジを担当。特筆すべきはバックを固めた錚々たる顔ぶれで、ドラムの神様バーナード・“プリティ”・パーディ(Bernard "Pretty" Purdie)、スタッフ(Stuff)のベーシストとして名高いゴードン・エドワーズ(Gordon Edwards)、名キーボード奏者のポール・グリフィン(Paul Griffin)、ギタリストのジェリー・フリードマン(Jerry Friedman)らが参加。ブアリの祝祭的なパーカッションとチャントに、東海岸トップセッション陣の強烈なタイトさとグルーヴが注ぎ込まれた。
収録曲とサウンドの特徴
アルバムは躍動するホーンと怒涛のパーカッションが疾走する「Karam Bani」で口火を切り、「Them Yebtheyet」の重厚なファンク・グルーヴへと展開。続く「Ku Ka Maria」は、バーナード・パーディによる極太かつタイトなドラム・ブレイクが炸裂するキラー・トラックで、B-Boyやブレイクビーツ愛好家を熱狂させてきた。「Advice From Father」は粘りつくベースラインとポリリズミックなチャントが陶酔を呼ぶ傑作であり、ケニー・ドープ(Kenny Dope)をはじめとするハウス/クラブDJ陣からも絶大な支持を獲得している。
キャリアにおける位置づけと後世への影響
本作は米メジャー・レーベルから世に出た初期アフロ・ファンクの代表作として、レアグルーヴ以降のクラブ/DJカルチャーにおいて長年ウォントが絶えない名盤である。とりわけ「Ku Ka Maria」のドラム・ブレイクや「Advice From Father」は、ヒップホップやハウスのプロデューサーたちによってサンプリングやリエディットの対象となり、ダンス・ミュージックの現場で脈々と受け継がれてきた。
ブアリは後にガーナ音楽家組合(MUSIGA)の会長を歴任し、2019年には音楽・映画産業への多大な貢献から生涯功労賞(Lifetime Achievement Award)を授与されるなど母国の重鎮となったが、その音楽家としての出発点となった本作は、アフリカとアメリカのブラック・ミュージックが交差して生まれた奇跡のマスターピースとして輝き続けている。
トラックリスト
- A1 Karam Bani 4:27
- A2 Them Yebtheyet 5:12
- A3 Ku Ka Maria 2:45
- A4 Advice From Father 5:46
- B1 Iro Le Pa 4:55
- B2 Ye Koaba 4:27
- B3 Peace 3:00
- B4 Oh! Africa 5:37