The Isley Brothers - Brother, Brother, Brother (1972)
The Isley Brothers『Brother, Brother, Brother』
アイズレー・ブラザーズが1972年5月に自身主宰のレーベルT-Neckから発表した通算10作目のスタジオ・アルバム。当時のシンガーソングライター・ブームを貪欲に吸収し、独自のブラック・ロック/ファンクへと昇華させた名盤であり、翌1973年の金字塔『3+3』へと連なる黄金期前夜の重要作である。
制作背景・エピソード
ロックやフォークの名曲を独自の解釈でカヴァーした前作『Givin' It Back』(1971年)の路線をさらに推し進めた本作では、稀代のソングライターであるキャロル・キングの楽曲に焦点を当てた。名盤『Tapestry』や『Music』から表題曲「Brother, Brother」や「Sweet Seasons」、そして世界的大ヒット「It's Too Late」をセレクト。とりわけ10分半におよぶ「It's Too Late」の長尺ファンク・ジャムは、ロナルド・アイズレーの熱を帯びたソウルフルな歌声と、若きアーニー・アイズレーのジミ・ヘンドリックス直系のファズ・ギターが火花を散らすハイライトとなっている。
レコーディングにはロナルド、ルドルフ、オーケリーのヴォーカル・トリオに加え、弟たちのアーニー・アイズレー(ギター/ドラム)、マーヴィン・アイズレー(ベース)、義弟クリス・ジャスパー(キーボード)が全面参加。のちに正式な6人組となる「3+3」体制の原型がすでに完成しており、強靭なバンド・アンサンブルを響かせている。
時代の文脈
モータウンを離脱後、独立レーベル「T-Neck」(ブッダ・レコード配給)を再興したアイズレー・ブラザーズは、レーベル運営と制作の完全な主導権を握っていた。1970年代初頭のニューソウル運動と呼応しながら、黒人と白人の音楽的境界線を打破していく彼らのアプローチは極めて先駆的であった。
カヴァー曲の秀逸さもさることながら、自作のファンク・ナンバー「Work To Do」はビルボードR&Bチャート11位のスマッシュヒットを記録。「Lay Away」や「Pop That Thang」とともに、バンドのタイトで重厚なファンク・グルーヴを強烈にアピールしている。
後世への影響
「Work To Do」はアヴェレイジ・ホワイト・バンド(Average White Band)にカヴァーされたほか、ヒップホップ黄金期にはピート・ロック&C.L.スムースやア・トライブ・コールド・クエスト、さらにはヴァネッサ・ウィリアムスらにサンプリングされ、ブラック・ミュージック史に燦然と輝く定番クラシックとなった。
メロウなバラードとハードなファンク/ロックを高次元で融合させるアイズレー・サウンドの黄金フォーマットは、本作で実質的に確立されたと言える。
盤について
1972年リリースのUSオリジナルLP(T-Neck TNS 3009、Buddah Records配給)。見開きゲートフォールド・ジャケット仕様。アナログならではの太く躍動感に満ちたベースとドラム、空間を切り裂くギターの音圧が生々しく刻まれている。
トラックリスト
- A1 Brother, Brother 3:16
- A2 Put A Little Love In Your Heart 3:01
- A3 Sweet Seasons 2:55
- A4 Keep On Walkin' 2:15
- A5 Work To Do 3:11
- A6 Pop That Thang 2:53
- A7 Lay Away 3:08
- B1 It's Too Late 10:31
- B2 Love Put Me On The Corner 6:32
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Isley Brothersは、アメリカ・オハイオ州シンシナティ出身のR&B/ソウル・グループだ。1950年代前半に活動を始め、ロック、ポップ、ファンク...
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