Galactic Supermarket - Galactic Supermarket (1974)
Galactic Supermarket / Galactic Supermarket
1974年にドイツでリリースされた、Galactic Supermarket名義のアルバム。レーベルはKosmische Musik、カタログ番号はKM 58010で、クレジット上は「A Cosmic Courier Production」と記されている。Cosmic Jokers周辺のセッションから生まれた作品で、Klaus Schulze、Manuel Göttsching、Harald Grosskopf、Dieter Dierks、Gille Lettmann、Rosi Müller、Jürgen Dollaseといった当時のクラウトロック/電子音楽圏の重要人物が関わっている。コズミック・ジョーカーズの流れを引きつつ、より編集盤的な性格も感じさせる一枚という位置づけだ。
制作背景とリリースの経緯
本作は1973年2月から5月にかけて、StommelnのQuadro-Studioで録音・ミックスされた音源をもとにしている。カバーには「Quadro Stereo + Mono」、レーベル面には「Quadro SQ Stereo + Mono」とあり、当時の立体音響志向も見て取れる。録音・制作の中心にはRolf-Ulrich KaiserとDieter Dierksがいて、Cosmic Jokers周辺のセッションを編集して作品化した流れの中にある。1970年代前半の西ドイツでは、こうした長尺ジャムやスタジオ編集を軸にした作品が複数生まれていて、本作もその文脈にしっかり乗っている。
Cosmic Jokers名義の諸作は、関係者の了解や流通の経緯を含めて語られることが多いが、このアルバムもその周辺にある作品として知られている。音楽そのものだけでなく、制作と発売の仕方まで含めて記憶されている点が、この時代のクラウトロック作品らしいところだ。
音の印象
実際に聴くと、前面に出てくるのは長く続く即興的な流れと、そこに重なるシンセやギターの断片、リズムの反復だ。曲が明確に組み立てられて進むというより、テープ編集を含んだ断続的な展開の中で場面が切り替わっていく。Klaus Schulzeの電子音は広い空間を作り、Manuel Göttschingのギターはフレーズを細かく刻みながら前へ進む。Harald GrosskopfやJürgen Dollaseらの演奏が加わることで、単なるアンビエント寄りではなく、バンド演奏としての推進力も残っている。
同時代のAsh Ra TempelやWallenstein、あるいはTangerine Dream初期の長尺志向を思わせる場面がある一方で、完全に電子音楽へ寄るわけでもない。ロックの反復、サイケデリックなうねり、そしてスタジオでの加工が同じ画面に並ぶ感じで、1974年のドイツ産アンダーグラウンド作品らしい質感がはっきり出ている。派手なフックで押すタイプではなく、断片の積み重ねで時間を作るタイプの作品だ。
この作品の位置づけ
Galactic Supermarketは、Cosmic Jokersの流れをまとめた作品群の中でも重要な一枚として扱われることが多い。Klaus Schulze、Manuel Göttsching、Harald Grosskopfといった後のドイツ音楽史で大きな名前を持つ演奏者が、まだ境界の曖昧な時期に集まっている点が大きい。まだクラウトロックが「ジャンル」として整理され切る前の、スタジオ、即興、編集、宇宙的イメージが混ざり合っていた時期の記録として読むことができる。
レーベルのKosmische Musikは、Ohr系の流れをくむ1970年代前半のドイツ・レーベルで、Space Rock、エクレクティックなクラウトロック、電子音楽を多く抱えていた。本作もそのカタログの中ではかなり象徴的な位置にある。ジャケットやレーベルデザインを含め、当時のKosmische Musik作品に共通する統一感もあるため、音だけでなく物として見ても時代性が濃い。
オリジナル盤について
オリジナルは1974年のドイツ盤で、盤面の表記はKM 58.010、カバー表記はKM 58010。runoutはスタンプ刻印で、当時のメトロノーム系プレスらしい仕様になっている。こうした細部は、後年の再発盤と比べると資料性の高いポイントだ。再発盤ではレーベルや表記が変わることがあるが、オリジナル盤はKosmische Musik期のデザインと表記がそのまま残っている。
収録内容は、ヒット曲を中心にした構成ではなく、セッションの流れを聴かせるタイプの作品である。なので、1曲ごとの知名度よりも、アルバム全体の進行や編集の手つきを追うほうが、この作品の輪郭はつかみやすい。1974年のクラウトロック、スペースロック、実験音楽が交差する地点にあるアルバムとして、今も資料価値の高い一枚だ。
トラックリスト
- A Kinder Des Alls 18:54
- B Galactic Supermarket 19:24