Di Melo - Di Melo (1975)
Di Melo『Di Melo』(1975)
『Di Melo』は、1949年レシフェ生まれの歌手・作曲家Di Melo(本名Roberto de Melo Santos)のデビュー作だ。画家、彫刻家、詩人でもある彼は、タクシー運転手でギタリストの父と歌手の母のもとで育ち、母の影響を強く受けた。13歳で最初の曲を書いたという。1968年にはJorge BenからマネージャーのRoberto Colossiの名刺を渡され、サンパウロでの足場を得た。その後、1973年から1974年にかけて東京で暮らし、のちに発表する曲の一部をそこで書いている。
制作背景・エピソード
本作は、Alaíde Costaの紹介でEMI-Odeonのディレクター、Moacir Meneghini Machadoとつながり、自作曲を聴かせたことから契約に至った。録音は8日間で行われ、Hermeto Pascoal、Heraldo do Monte、Geraldo Vesparといった腕利きの奏者が参加している。収録曲「Kilariô」は、CartaCapitalによれば東京で働いていたころに作られた曲で、プロモ用シングルとして「Pernalonga」とともに出ている。
当時の話としては、ラジオ向けに3000枚がプレスされ、曲はよく放送され、初回プレスは売り切れたとされる。Wandoが「Volta」を、Jair Rodriguesが「Paspalho」を録音しており、Di Meloの曲は他の歌手にも取り上げられた。一方でDi Melo本人は、著作権料の四半期分として受け取ったのが11クルゼイロだけだったと振り返っている。さらに、軍事政権下でプロデューサーから政治的な曲を止められ、レーベルとの契約を解いてバーで歌う生活に戻ったとも語っている。
時代の文脈
1975年は、ブラジルのブラック・ミュージックの担い手たちが次々と活動を始めた時期にあたる。本作はその中で出たアルバムで、当時の批評家からも称賛されたという。Di Melo自身は「幻滅した」と語り、CartaCapitalは彼のキャリアが1975年から2015年まで途切れていたと書いているが、本人は「歌うことも作曲することも決してやめなかった」としている。
後世への影響
1997年、「A Vida em Seus Métodos Diz Calma」がコンピレーション『Blue Brazil 2』に収録され、イギリスのDJたちがこのアルバムを再発見した。1990年代初めには、Di Melo自身が酔ってバイクでサンパウロのピニェイロスを走っていた際、2台のトラックを避けて橋から川に飛び込む事故に遭い、半年間リハビリが必要になった。その後に死亡説が広まった。この出来事から、彼のあだ名「imorrível」が生まれている。1999年にはロンドンの友人から、自分の声が世界のトップ10に選ばれていることと、バイク事故で死んだことになっていることを聞かされ、「死んだのに知らせ忘れられていた」と冗談を言ったという。
2002年にはCharles Gavinが監修したOdeon創立100年記念シリーズで再発され、Gavinはこの盤を「本当に素晴らしい」と評した。2009年ごろからは海外のリスナーが改めて注目し、2011年にはドキュメンタリー『Di Melo: O Imorrível』が公開された。同年にはブラック・アイド・ピーズの「Don't Stop the Party」のミュージック・ビデオにもこのアルバムが映っている。オリジナル盤はコレクターズ・アイテムとなり、ブラジルでの平均取引価格は2017年に約600レアル、2021年には約3000レアルまで上がった。
Fatiado Discosによるアナログ盤の再発では、1975年当時の歌詞インサートに加えて、初めて全参加ミュージシャンのクレジットが掲載された。2022年には、ポッドキャストDiscoteca Básicaの投票で、ブラジル音楽の名盤500枚のひとつに選ばれている。
サウンド・聴きどころの評され方
再発盤のレーベル解説は、ブラジルのサンバやバイアォンに、北米のソウルやファンク、イギリスのサイケデリアを融合した作品と紹介している。
トラックリスト
- A1 Kilariô 2:49
- A2 A Vida Em Seus Métodos Diz Calma 3:45
- A3 Aceito Tudo 2:58
- A4 Conformópolis 2:45
- A5 Má-Lida 3:32
- A6 Sementes 1:34
- B1 Pernalonga 2:46
- B2 Minha Estrela 2:32
- B3 Se O Mundo Acabasse Em Mel 4:09
- B4 Alma Gêmea 3:59
- B5 João 2:28
- B6 Indecisão 2:00