Roy Ayers Ubiquity - Lifeline (1977)
Roy Ayers Ubiquity 1977

Roy Ayers Ubiquity - Lifeline (1977)

Jazz Funk / Soul Disco Jazz-Funk

Roy Ayers Ubiquity『Lifeline』(1977)

ロイ・エアーズ・ユビキティの『Lifeline』は、1977年にUSのPolydorから出たアルバムで、ロイ・エアーズの70年代後半を代表する一枚としてよく挙がる作品だ。ジャズを土台にしながら、ファンク、ソウル、ディスコの要素をまとい、当時のダンス・ミュージックの空気をきちんと吸い込んでいる。ユビキティというバンド名は、ロイ・エアーズが1970年代初頭に立ち上げた自身のグループ名で、「同時にあらゆる場所に存在すること」を意味する言葉から取られている。名前の通り、ジャズの枠に収まりきらない広がりを意識したプロジェクトになっている。

作品の位置づけ

『Lifeline』は、ロイ・エアーズがジャズ・ヴァイブ奏者としての顔だけでなく、ソウルやダンス・ミュージック側へ深く踏み込んでいた時期の到達点のひとつ。1970年代のロイ・エアーズは、エレクトリックな編成と歌ものの感覚を前面に出し、クラブで鳴るジャズ・ファンクを形にしていったが、このアルバムもその流れの中にある。前年までのジャズ寄りの作品と比べても、リズムの押し出しやコーラスの使い方がはっきりしていて、演奏の輪郭がより踊る方向へ寄っている。

制作はロイ・エアーズ、エドウィン・バードソング、ウィリアム・アレンの3人が中心。作曲面でもこの3人の連携が軸になっていて、アルバム全体に統一感がある。録音はニューヨークのElectric Lady StudiosとSigma Sound Studios、ロサンゼルスのRecord Plantで行われた。都市ごとの空気を持ち込んだような作りで、東海岸のソウル・ファンクの感触と、西海岸の軽さが同居している。

サウンドと演奏

聴いてまず目立つのは、ベースとドラムの粘りだ。Bernard PurdieやRicky Lawson、Dennis Davisらが参加し、リズムの芯がかなり強い。そこにPhilip Wooのキーボード、ムーグ・シンセサイザー、ARPストリング・シンセサイザーが重なり、70年代後半らしい電気的な質感が前に出る。ギターはJames MasonやCalvin Banksが支え、管楽器にはJusto Almario、John Mosleyらが入る。ジャズ・ファンクの編成としては王道だが、各パートが細かく絡み合って、単なるリフの反復に終わっていない。

ヴォーカル面では、ディー・ディー・ブリッジウォーターやシルヴィア・コックスが加わり、インスト中心のジャズ・ファンクに歌の温度を持ち込んでいる。ロイ・エアーズの作品群の中でも、このアルバムはメロディとグルーヴの接点が分かりやすい部類で、ファンクの硬さだけで押し切らず、ソウル寄りの聴きやすさも残している。

代表曲「Running Away」

このアルバムを語るうえで外せないのが「Running Away」。ロイ・エアーズとエドウィン・バードソングの共作で、アルバムからの代表曲として知られている。R&Bシングル・チャートでは19位を記録し、アルバム全体の中でも特に認知度が高い。曲の流れは、軽快なビートの上にベースと鍵盤が積み上がり、コーラスが抜けていく構成。ジャズの即興性よりも、反復の気持ちよさと歌のフックが前に出る作りで、当時のディスコ周辺の感覚とも近い。

もうひとつの「Gotta Find A Lover」も同じくエアーズとバードソングの共作で、アルバムのソウル色を支える曲として存在感がある。こうした曲群のおかげで、『Lifeline』はジャズ・ファンクのアルバムでありながら、チャート感覚を持った作品としても機能している。

当時の評価と文脈

当時の評価では、Bay State Bannerが「ほぼすべての曲が人気ソウル・アクトのパロディになっている」と記していて、遊び心のある作りが注目された。たとえば「Cincinnati Growl」をアイズレー・ブラザーズ風のロックン・リズムになぞらえる見方もあり、単純なジャズ・ファンクの枠よりも、当時のブラック・ミュージック全体の流れを踏まえた作品として受け止められていたようだ。

1977年という年は、ジャズ・ファンクがディスコと近づき、ソウルの側でもよりダンサブルな制作が進んだ時期。『Lifeline』はその交差点に置くと分かりやすい。ロイ・エアーズはこの時期、メロディ、リズム、クラブ性をひとつのパッケージにまとめる感覚に長けていて、その後のアシッド・ジャズやネオ・ソウル周辺で再評価される土台にもつながっていく。

USオリジナル盤について

US盤はPolydorのPD-1-6108で、リリースノートには「℗ 1977 Polydor Incorporated」「Manufactured by Polydor Incorporated, New York, N. Y.」とある。Polydorは1969年にUS市場へ入り、1970年代にはPolyGram体制の中で展開していた時期。ラベルのクレジットやレーベル・コードからも、その時代のUSプレスとしての位置がはっきりしている。オリジナル年と盤の年が同じなので、初出時の空気をそのまま持つ一枚として扱いやすい。

『Lifeline』は、ロイ・エアーズのジャズ・ファンクを語るときに必ず触れられる作品のひとつで、演奏者としての手堅さと、プロデューサー的な構成感が両方見えるアルバムだ。踊れること、歌えること、ジャズの手触りが残っていること、その3つが同じテーブルに並んでいる。

トラックリスト

  1. A1 This Side Of Sunshine 3:16
  2. A2 Running Away 3:55
  3. A3 Gotta Find A Lover 7:10
  4. A4 I Still Love You 4:09
  5. A5 Lifeline 2:50
  6. B1 Cincinnati Growl 3:54
  7. B2 Fruit 3:53
  8. B3 Sanctified Feeling 5:42
  9. B4 Stranded In The Jungle 4:30
  10. B5 Together 3:39

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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