Malicorne - Almanach (1976)
Malicorne 1976

Malicorne - Almanach (1976)

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Malicorne『Almanach』について

フランスのフォーク・グループ、Malicorneが1976年に発表した『Almanach』は、バンドの代表作としてよく挙げられる1枚だ。伝承曲を軸にしながら、電気楽器も含めた編成で組み立てるこのグループの持ち味が、ここではかなり明確にまとまっている。フランス民謡やケルト圏の要素を、ロックの文脈に置き直した作品として見ても、存在感の大きいアルバムだと思う。

Malicorneは1973年にGabriel YacoubとMarie Yacoubを中心に始動したグループで、フレンチ・フォークの中でも先駆的な存在として扱われている。『Almanach』はその活動初期にあたる時期の作品で、後年の大きな展開を前に、バンドの方向性がかなりはっきり見える時期の録音でもある。1970年代半ばのヨーロッパでは、ブリテンやブリタニー系のフォーク・ロックが注目されていたが、Malicorneはその流れをフランス語圏で独自に進めたグループとして位置づけられる。

12か月を並べたコンセプト

『Almanach』は、12曲で12か月を表す構成になっている。タイトルの通り、暦や年中行事に沿ったつくりで、各曲が季節の移り変わりや民間伝承の空気を受け持っている。収録曲の多くは伝承曲で、フランス各地やケベック由来の素材が含まれている。こうした素材をそのまま並べるのではなく、曲順全体でひとつの年を描くように組んでいる点が、この作品の特徴になっている。

初回盤には8ページのブックレットが付属し、フランス語の歌詞や各月に関するノートが収められていた。見開きのゲートフォールド仕様も含めて、音だけでなくパッケージ全体で「アルマナック=暦」の体裁を作っている。レコードとしての作り込みがかなり丁寧な部類だ。

録音と音の輪郭

録音は1976年春、Studio Acoustiで行われた。ここではHughes de Coursonの加入によって、以前よりもクラシカル、あるいはバロック寄りの色合いが強まったとされる。実際、楽器の組み合わせやアンサンブルの運びには、フォーク・ロックという枠に収まりきらない整理のされ方がある。フィドル、ギター、リュート系の響き、打楽器、そして声の重なりが、曲ごとにきっちり組み上げられている印象だ。

聴いていると、単に「伝承曲を現代化した」というより、古い旋律の輪郭を保ったまま、室内楽的な組み立てに寄せているように感じられる。合唱的な部分と、語りかけるような歌い方の切り替えもはっきりしていて、演奏の密度が高い。派手なロック・サウンドで押すのではなく、音数の置き方で場面を作っていくタイプの作品だ。

代表作としての位置づけ

『Almanach』は、Malicorneの中でも特に評価の高いアルバムとして知られている。AllMusicでは、このアルバムをバンドでもっとも一貫して優れた作品とみなす評価がある。フランス語圏では売上面でも大きく伸び、1977年にはゴールド認定を受けたという記録が残っている。批評面と人気面の両方で、Malicorneの名を広く知らしめた作品と見てよさそうだ。

同時代の文脈で見ると、イギリスのフェアポート・コンヴェンションやスティーライ・スパンのようなフォーク・ロックの系譜と並べて語られることがある。ただしMalicorneは、英語圏のフォーク・ロックをなぞるのではなく、フランスの伝承歌や地方的な民謡素材を中心に据えている点が違う。ブリトン系やケルト系の要素も見えるが、あくまでフランス語の歌として成立させているところに、このバンドらしさがある。

盤としての見どころ

このフランス盤は、1976年当時のオリジナル仕様。ジャケットはゲートフォールドで、内部に8ページのブックレットが綴じ込まれている。歌詞だけでなく月ごとのノートまで入っているため、作品のコンセプトを視覚面でも補強している。レーベルはHexagoneで、フランスのフォークやケルト寄りの音楽を積極的に扱ったレーベルとして知られる。Malicorneがこのレーベルの看板的存在だったことも、アルバムの位置づけを理解しやすい。

『Almanach』は、伝承曲の再解釈、フランス語の響き、そして年の流れをまとめた構成が一体になった作品だ。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れで印象を残すタイプで、聴き終えたあとに各月の景色が断片的に残るような作りになっている。Malicorneの初期到達点として語られるのも、そのまとまり方を見ると納得しやすい。

トラックリスト

  1. A1 Salut A La Compagnie 0:55
  2. A2 Quand J'étais Chez Mon Père 3:39
  3. A3 Margot 0:56
  4. A4 Les Tristes Noces 7:42
  5. A5 Voici Venir Le Joli Mai 0:24
  6. A6 Voici La Saint Jean 3:10
  7. A7 Le Luneux 4:58
  8. B1 Branle De La Haie 2:05
  9. B2 Quand Je Menai Mes Chevaux Boire 4:36
  10. B3 La Fille Au Cresson 3:37
  11. B4 L’écolier Assassin 8:35
  12. B5 Noël Est Arrivé 2:00

動画プレイリスト

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