Father's Children - Father's Children (1979)
Father's Children『Father's Children』
Father's Childrenのセルフタイトル作は、1979年にMercuryから出たアルバム。ワシントンD.C.のアダムス・モーガン地区で、The Dreamsというドゥーワップ・トリオとして始まったグループが、ファンク/ソウル・バンドへと形を変えたあとにたどり着いた作品である。公式バイオによれば、録音時の編成は8人で、ロサンゼルスに移って制作が進められた。
制作背景・エピソード
この作品の前には、1973年にプロデューサーのRobert Hosea Williamsとデビュー作を録音していたが、マネジメント会社の破綻でレーベルが決まらず、スタジオ代も支払えないままテープがWilliamsのガレージに残された。1977年には主要ソングライターだったNick SmithがT.K. Productionsへ移り、グループを離れている。その後、Forest HamiltonのAt Home Productionsにつながり、いくつかのショーケースを経て、Mercuryと契約した。
1978年末、バンドはロサンゼルスへ移動し、十数人のセッション・ミュージシャンを交えて本作を録音した。プロデュースはAt Homeのハウス・プロデューサーで、The Crusadersのトロンボーン奏者でもあるWayne Henderson。Hendersonは10曲中6曲でホーン・アレンジも担当している。さらに、Henderson門下のBobby Lyleがキーボードで参加し、Nick Smithの抜けた穴を埋めた。Side EffectのAugie Johnsonはアレンジとバック・ヴォーカルを担当し、バック・ヴォーカルにはMiki Howardも加わった。
クレジット上の核は、Tony Vaughn(キーボード)、Malik Abdul Khabir(ベース)、Khalik Abdul Hanif(ギター)、Sadik Abdul Hagg(ドラムス)と、Qadir Abdul Mateen、Raheem Abdul Khabir、Hakeem Abdul Ghaniの3人のヴォーカル。公式バイオでは、1972年のツアー中にバン事故に遭ったことや、メンバーのほぼ全員がイスラム教に改宗していたことにも触れられており、本作のクレジットに並ぶ名前もその流れにある。事故の際、グループを指導していたNorman "Saleem" Hyltonは「この運命は、父(the Father)が選んだ子どもたちのために取っておかれたものに違いない」と語ったという。
時代の文脈
アルバムは1979年4月に発売され、7月には唯一のシングル「Hollywood Dreaming」(B面「Shine On」)が切られた。公式バイオは本作のサウンドを「Crusaders風のジャズ感覚、L.A.の洗練されたプロダクション、そして当時のディスコの味付けを少々」と説明している。ディスコ全盛期の末期に、東海岸のバンドがロサンゼルスで仕上げた作品として位置づけられる。
1973年の未発表録音が、ワシントンの荒れた空気を映したザラついたR&B/サイケデリックな音だったのに対し、この1979年作は、スーツ姿で揃えたイメージとともに大きく洗練されたものとして語られている。Agit Readerのレビューでは、この変化がKool & the Gangの「Jungle Boogie」から「Celebration」への移行にたとえられていた。SoundStage!のJoseph Taylorは、Earth, Wind & FireやD.C.の先輩格The Blackbyrdsに通じる70年代ファンクとして取り上げ、ヴォーカル・ハーモニーとリズム・セクションのタイトさを評価している。
曲ごとの見どころとしては、「Hollywood Dreaming」がグループの代表曲として挙げられ、「Shine On」では滑らかなホーンとMalik Abdul Khabirのベース、「Dance Do It」ではクラヴィネットとARPシンセ、「Music Use It」ではEW&Fに近いホーン・チャートが語られている。Mercuryはこの作品のプロモーションから早々に手を引き、シングルはチャート入りしなかった。バンドはまもなく解体へ向かい、メンバーはD.C.へ戻っている。
後世への影響
商業的には大きな結果を残さなかった一方で、「Hollywood Dreaming」と「Shine On」はのちに世界中のダンス・クラブのDJに愛される曲になった。オリジナル盤はディガーの間で高値で取引されるようになり、収録曲はヒップホップでも使われている。「Hollywood Dreaming」はGift of Gabらに、「Wild Woman」はDJ Hondaが1999年に、「Gone Bad」はStatik Selektahが2010年にサンプリングした。
その後、2011年にはNumero Groupが1973年の録音を『Who's Gonna Save the World』として初めて世に出し、Father's Childrenの再評価が進んだ。そこに収められた「Dirt and Grime」は、2016年にKanye Westの「Facts」でサンプリングされている。『Father's Children』自体も、2012年に英VocalionからCDでリマスター再発されている。
トラックリスト
- A1 Shine On 4:00
- A2 Hollywood Dreaming 4:44
- A3 Dance Do It 3:26
- A4 Wild Woman 5:35
- A5 Music Use It 3:31
- B1 Got To Get Away 4:34
- B2 Gone Bad 3:36
- B3 My Grandma 4:25
- B4 Music For Your Mind 2:38
- B5 You Can Get It 4:10