OutKast - Speakerboxxx / The Love Below (2003)
OutKast『Speakerboxxx / The Love Below』(2003)
アウトキャストの『Speakerboxxx / The Love Below』は、2003年にUSのAristaから出た2枚組アルバムだ。ビッグ・ボーイの『Speakerboxxx』とアンドレ3000の『The Love Below』を1作にまとめた構成で、アナログ盤ではA〜D面が前者、E〜H面が後者に割り振られている。結果として、同じグループの2人が別方向へ進んだソロ作品を、OutKast名義の作品として着地させた形になっている。
2人の個性がそのまま分かれる2枚組
この作品の面白さは、1枚のアルバムの中で方向性がかなりはっきり分かれている点にある。Big Boi側の『Speakerboxxx』は、アトランタのサウス由来のラップを軸に、硬いビートとファンクの感触を前面に出した作り。Andre 3000側の『The Love Below』は、生楽器や歌を多く使い、ポップ、ジャズ、ファンクの要素を組み合わせた内容になっている。録音はアトランタのStankonia Recordingを中心に、ロサンゼルスの複数スタジオでも進められた。
もともと2人はそれぞれソロ作として構想していたが、最終的にはOutKast名義の2枚組として発売された。デュオの作品でありながら、実際には別々のアルバムを並べたような作りで、OutKastという枠の広さがそのまま出ている。
ヒット曲の強さとアルバムの広がり
この作品を語るうえで外せないのが「Hey Ya!」だ。Andre 3000側を代表する曲で、明るい曲調と反復の強いフックが前に出ている。ビルボードのHot 100では9週連続1位を記録した。その後に1位へ上がったのがBig Boi側の「The Way You Move」で、同じアルバムから連続して首位を取った流れも話題になった。「Roses」もヒット曲として知られている。
アナログ盤では、H2の「My Favorite Things」がジャケットには記載されず、レーベル表記のみという点もある。『The Love Below』側の中では、既存曲の引用やサンプリングが多く、原曲の輪郭を保ちながら別の文脈へ移す作りが目立つ。たとえば「Take Off Your Cool」ではR&B的な流れが強く、「She Lives in My Lap」や「Roses」では編曲の細かさが際立つ。
2003年のヒップホップの中での位置づけ
2003年時点のヒップホップは、地域性の強いラップとポップ寄りの大型ヒットが並走していた時期だが、この作品はその両方をまたいでいる。OutKastは90年代から南部ヒップホップの中心的存在だったが、『ATLiens』『Aquemini』『Stankonia』を経て、ここでさらに作風を広げた。特に『Stankonia』で見えた実験性を、2枚組という大きな器にそのまま持ち込んだ形だ。
比較対象としては、同時代のヒップホップ作品の中でも、1枚の中に複数の方向性を詰め込んだアルバムとして扱われることが多い。英ガーディアンが『Sign o' the Times』や『ホワイト・アルバム』にたとえたのも、そうした分裂と統合の同居ゆえだろう。OutKastが単なるラップ・デュオではなく、アルバム単位で構成を組み立てるアーティストだったことがよく分かる。
評価と受賞歴
『Speakerboxxx / The Love Below』は商業的にも大きく成功し、Billboard 200で初登場1位を獲得した。OutKastにとって全米1位アルバムはこれが初めてだった。のちにRIAAではダイヤモンド認定を受け、さらに認定を更新している。2004年のグラミー賞では最優秀アルバム賞と最優秀ラップ・アルバム賞を受賞し、「Hey Ya!」も別部門で受賞した。
批評面でも評価は高く、Metacriticでは91点とされている。2000年代を代表するアルバムとして扱われることが多く、ローリング・ストーン誌の歴代名盤リストにも入っている。実際に聴くと、Big Boi側のラップの密度と、Andre 3000側の歌ものとしての広がりが、同じ作品内でぶつかりながら並んでいるのが分かる。2人の役割がきれいに分かれている一方で、どちらもOutKastらしい細部の作り込みが強い。
オリジナル盤としてのアナログの魅力
今回のUS盤は2003年当時のオリジナル期のリリースで、Gatefold仕様の2枚組。アルバムの長さをそのまま受け止める前提の作りで、曲順もCDとは別に面をまたいで進む。特にA面からH面までを通すと、Big Boi側からAndre 3000側へ移る流れがはっきりしていて、作品の構造が見えやすい。ジャケットを開いて、片面ごとに性格の違う曲が続く感覚も、この盤ならではだ。
OutKastの中でも、この作品はグループの到達点のひとつとして見られている。南部ヒップホップの文脈にありながら、ポップ、ファンク、R&B、ジャズを自在に横断する2枚組。2003年という年の空気と、2人の別々の方向性が、そのまま収められたアルバムだ。
トラックリスト
- Speakerboxxx
- A1 Intro 1:29
- A2 Ghetto Musick 3:56
- A3 Unhappy 3:19
- A4 Bowtie 3:56
- A5 The Way You Move 3:54
- B1 The Rooster 3:57
- B2 Bust 3:08
- B3 War 2:43
- B4 Church 3:27
- C1 Bamboo (Interlude) 2:09
- C2 Tomb Of The Boom 4:46
- C3 E-Mac (Interlude) 0:24
- C4 Knowing 3:32
- C5 Flip Flop Rock 4:35
- D1 Interlude 1:15
- D2 Reset 4:35
- D3 D-Boi (Interlude) 0:40
- D4 Last Call 3:57
- D5 Bowtie (Postlude) 0:34
- The Love Below
- E1 The Love Below (Intro) 1:27
- E2 Love Hater 2:49
- E3 God (Interlude) 2:20
- E4 Happy Valentine's Day 5:23
- E5 Spread 3:51
- E6 Where Are My Panties? 1:54
- F1 Prototype 5:26
- F2 She Lives In My Lap 4:27
- F3 Hey Ya! 3:55
- F4 Roses 6:09
- G1 Good Day, Good Sir 1:24
- G2 Behold A Lady 4:37
- G3 Pink & Blue 5:04
- G4 Love In War 3:25
- G5 She's Alive 4:06
- H1 Dracula's Wedding 2:32
- H2 My Favorite Things 5:13
- H3 Take Off Your Cool 2:38
- H4 Vibrate 6:33
- H5 A Life In The Day Of Benjamin André (Incomplete) 5:11
動画プレイリスト
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Intro
-
GhettoMusick
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Unhappy
-
Bowtie
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The Way You Move
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The Rooster
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Bust
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War
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Church
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Bamboo (Interlude)
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Tomb of the Boom
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E-Mac (Interlude)
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Knowing
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Flip Flop Rock
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Interlude
-
Reset
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D-Boi (Interlude)
-
Last Call
-
Bowtie (Postlude)
-
The Love Below (Intro)
-
Love Hater
-
God (Interlude)
-
Happy Valentine's Day
-
Spread
-
Where Are My Panties
-
Prototype
-
She Lives in My Lap
-
Hey Ya!
-
Roses
-
Good Day, Good Sir (Interlude)
-
Behold a Lady
-
Pink & Blue
-
Love In War
-
She's Alive
-
Dracula's Wedding
-
The Letter
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My Favorite Things
-
Take Off Your Cool
-
Vibrate
-
A Life In The Day of Benjamin Andre (Incomplete)