Gloria Gaynor - Love Tracks (1978)
Gloria Gaynor『Love Tracks』
グロリア・ゲイナーの『Love Tracks』は、1978年にPolydorから出たアルバムで、「I Will Survive」を収録したことで広く知られている。プロデュースはフレディ・ペレンとディノ・フェカリス。録音とリミックスはロサンゼルス近郊スタジオ・シティのThe Mom & Pops Co. Storeで行われた。
制作背景・エピソード
この作品の中心にある「I Will Survive」は、もともとB面曲として生まれた。フェカリスによれば、7年間専属作家を務めたモータウンを1970年代半ばに解雇されたあと、テレビで自作曲が流れているのを見て「生き延びてやる」と思ったことが発想の出発点だったという。曲はペレンとの共作で、しばらくのあいだ適任の歌い手が見つからず、2年ほど眠っていた。
ゲイナーが「人の心に触れる、いい歌詞の曲が好き」と話したところ、2人は茶色い紙に走り書きした歌詞を見せ、彼女はすぐにヒットを確信したという。ギターのロバート・“ブギー”・ボウルズによれば、3時間のセッションの大半がA面の「Substitute」に費やされ、B面に残った時間は約35分しかなかった。ミュージシャンたちは曲名もメロディも知らないまま、コード進行から伴奏の多くを即興で組み立て、曲は2つに分けて録ってつなぎ合わされたという。
ドラムのジェームス・ギャドソンは、帰ろうとしていたところでペレンから「もう1曲」と頼まれ、ペレンが弾いたアルペジオがイントロになったと回想している。ゲイナー自身も、転倒による後遺症でコルセットを着けたまま歌った。彼女は、けがと母の死を経験していたからこそ「あれほどの確信を込めて歌えた」と語っている。参加ミュージシャンには、ギターのロバート・“ブギー”・ボウルズ、ギターのワー・ワー・ワトソン、パーカッションのパウリーニョ・ダ・コスタ、ベースのスコット・エドワーズが含まれる。
なお、原盤の米国プレスでは「I Will Survive」は4分52秒のシングル尺で収録され、のちに8分2秒のディスコ・バージョンに差し替えられた版もある。アルバムを売るため、12インチ・シングルがすぐに廃盤にされたとされる。
時代の文脈
ゲイナーは1975年の『Never Can Say Goodbye』で、A面3曲を切れ目なくつないだ19分のメドレーをヒットさせ、ディスコの広がりに関わった存在として知られていた。『Love Tracks』はその3年後、1978年11月に出た作品だ。
当時、ゲイナーは1975年の「Never Can Say Goodbye」以降、大きなヒットに恵まれていなかった。Polydorは契約を更新しないと決め、その直後、ゲイナーはニューヨークのビーコン・シアターでの公演中にステージで足を滑らせ、翌朝には腰から下が動かなくなっていた。脊椎の手術を受けて3か月入院し、退院後も何か月もコルセットを着けて過ごした。母親を数年前に亡くした悲しみも癒えていなかった。その後、Polydorの社長が交代し、ゲイナーのファンだった新社長が、南アフリカのグループCloutがヒットさせたばかりの「Substitute」で彼女を再起させようとした。ペレンはその制作を引き受ける条件として、B面に自分たちの曲を入れることを求めた。ところが、レーベルは「I Will Survive」をA面にすることを拒んだため、ゲイナーの夫がスタジオ54のDJリッチー・カツォーに持ち込み、そこからDJやラジオ局がB面の「I Will Survive」をかけ始めた。結果として、レーベルはこの曲をA面として出し直すことになる。
「Substitute」は全米107位止まりだった一方で、「I Will Survive」はその後に全米1位、イギリスとアイルランドでも1位を記録した。アルバム自体も全米トップ10入りし、RIAAのプラチナ認定を受けている。
後世への影響
「I Will Survive」は、第22回グラミー賞(1980年)で、その年だけ設けられた最優秀ディスコ・レコーディング賞を受賞した。2012年にはグラミーの殿堂入り、2016年にはアメリカ議会図書館の国家録音登録簿にも選ばれている。
エイズ危機が始まる時期と重なったこともあって、この曲はLGBTコミュニティのアンセムとして特別な意味を持つようになり、さらに抑圧された人々や困難を抱えた人々の歌として広く歌われてきた。カバーも多く、ダイアナ・ロス、アレサ・フランクリン、ケークなどが取り上げている。ケークによる1997年の版では歌詞の一部が変えられ、ゲイナーは不快感を示したという。1998年のワールドカップでは、フランス代表の非公式な応援歌にもなった。VH1は2000年に「最も偉大なダンス・ソング100」の1位に選出している。
『Love Tracks』は、アルバム単位では「Anybody Wanna Party?」がR&Bチャート16位を記録し、AllMusicは4.5つ星、ロバート・クリストガウはB+とした。
トラックリスト
- A1 Stoplight 3:41
- A2 Anybody Wanna Party? 5:14
- A3 Please, Be There 4:30
- A4 Goin' Out Of My Head 5:35
- B1 I Will Survive 8:02
- B2 You Can Exit 5:16
- B3 I Said Yes 3:59
- B4 Substitute 3:15
動画プレイリスト
このアーティストについて
Gloria Gaynorは、1943年9月7日生まれ、アメリカ・ニュージャージー州ニューアーク出身のシンガーだ。ジャンルはFunk / Soulに分類され、スタイルとし...
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